終身雇用制、年功序列、新卒一括採用など、サラリーマン文化を支えていたものが崩れつつある昨今、私たちは「サラリーマンでいることのリスク」に注目する必要があります。
そこで、今回はサラリーマンでいることのリスクを掘り下げて解説していきたいと思います。
そもそもサラリーマンの何がリスクなのか?
リスク1:不安定な時代にバイオリズムが合っていない
時代が激動の不安定な時代にも関わらず、日々固定され過ぎたタスクのみを行っていると、それはサラリーマンにとって大きなリスクと言えるでしょう。何かしらの大きな社会的インパクトが起こった際に、その固定されたタスクの価値が一気にゼロにまで下がる可能性があるからです。
不安定な時代は、不安定な動きをするほうが、リスクが低くなるとも言えます。例えば、1つの会社で決まりきったマニュアル通りのオペレーションの仕事をしているのであれば、仕事終わりにクリエイティブなアウトプットの仕事に繋がる鍛錬をしていると、時代変化に対応して、別の業種や職種へうまく乗り換えることもできます。
会社員の方には、副業や複業にコミットする時間や精神的余裕がないことを嘆く方もいるかもしれませんが、それ自体もサラリーマンリスクと言えるでしょう。体力や社会的状況を含めて、多動してキャリアを横展開する資産を捻出できないこと、これが大きなリスクなのです。
リスク2:短期間で一気に賃金回収できない
フリーランスや個人経営者(法人化して自身のみで会社設営している人)の場合、「一気に稼いで、一気に休む」といったような行動を取ることができます。
VUCA(ブーカ)の時代は、そもそもビジネスモデルもビジネススキルもすぐに陳腐化するので、一気に稼ぐことができれば、一気に休んで時代の変化に合わせることができます。
会社員の方でも、仕事の成果によって毎月の給料がどんどん高くなる企業で働いている場合は、一気に稼いで、一気に自己投資することができます。
会社員のリズミカルで一定の労働形態はかなり魅力的な部分も多いからこそ、会社員の外で、短期間で賃金を回収できるようなスキル身に付けておくことが、大きなリスクを低下できるのです。
【参考記事】 VUCAとは?を徹底解説!VUCAを意識しないビジネスパーソンはオワコンになる
リスク3:社会的インパクトに対して鈍感になりがち
サラリーマンはどうしても社会的インパクトに対して瞬発性が低くなりがちです。なぜなら、何かの社会的インパクトがあった際に即座にダメージを痛感するのは、個人事業主や企業の経営者です。
会社の経営者がまずはダイレクトにダメージを痛感し、様々な対処をしてそれでもダメだった場合に、会社員へリストラなどのダメージが行き渡ります。要は、サラリーマンは時間差で社会的インパクトの被害を受ける傾向にあるのです。
事業や企業の主ではないため、「時代を読む」ということを求められません。縁の下の力持ちとして企業を支える力に長けたサラリーマンだからこそ、会社以外の場所では「主」となって取り組むことをすると、より低リスクなキャリアを積み上げることができると言えます。
リスク4:節税や補助金の術が少ない
フリーランスや個人経営者の場合、節税しやすい側面があり、自由に扱える可処分所得をかなり大きくできる傾向にあります。
フリーランスは稼いだ売上から経費を計上できますが、原則的に仕事に関わる投資はすべて経費に計上できます。家賃や通信費ですら、事業で使っている割合を自己設定し、計上することができます。
個人経営者の場合、役員報酬のみが個人の所得になりますが、仕事における会食、社宅、退職金積立、保険金積立などは役員報酬の外にありますので、役員報酬が20万円でも、可処分所得的な金額は100万円以上あるという場合もあるでしょう。
また、フリーランスや個人経営者が使える補助金や融資はたくさん存在します。
単に貯金をふやすことも大事ですが、これからの時代は、融資や補助金を含めたうえで、どれだけのキャッシュが手元に残っているかも大事です。
フリーランスのように、稼いだ金額を見越して、経費を計上していけると、自己投資マインドも身についていきます。稼いだ金額から仕事に関する自己投資を抜き、そこから税金が定められます。さらに青色申告の場合は65万円控除も存在します。
リスク5:自己完結でビジネスを展開する力が育ちにくい
サラリーマンは、ある企業の生態系に貢献する役割を担うため、どうしても歯車的な役割を担いがちです。
営業パーソン自体も営業している商品自体は、自分の企画や技術で作ったものではないでしょう。
そのため、自分で考案し、自分で展開し、自分で営業し、自分で提供し、自分で改善するといったワントップの経験が非常に少ない傾向にあります。
社会的環境に、何かに属することから切り離して、自分の身一つで稼ぐということにおいては、かなり苦手な人も多いのではないでしょうか。
技術職や専門職のように明らかに個人の役割や価値が明確な職業であれば、ワンストップで提供するものは、自然に思い浮かぶはずです。今の時代は、マッチングできるプラットフォームはたくさんあるので、一定の品質を提供できれば、すぐに自身で稼ぐことができます。
しかし、自分でワンストップするサービスや商品がまったく思い浮かばないということであれば、それ自体が大きなリスクを持っていることの証とも言えるでしょう。
ビジネスパーソンとしての自尊心が低すぎると、ワンストップで何かをしようとするマインドがかなり弱くなってしまいます。
結果的に、起業やフリーランスを必要以上にリスキーと見なすようになるのです。
サラリーマンにも、フリーランスにも別のリスクがあります。だから、サラリーマンのリスクをカバーするために、フリーランス的なビジネスパフォーマンスを取り入れるべきなのです。
サラリーマンといえど、ビジネスパーソンとして独立的な価値を見いだしていかなければ、自己保存のクセが働き、ますます自分の殻に閉じこもってしまうようになります。
最後に:リスクと真剣に日々向き合うことこそが、一番のローリスク
サラリーマンにこそ大きな可能性に溢れている
サラリーマンの中でも低リスクの人は存在します。それは、市場の中で高いニーズを足し続けるサラリーマンです。
さらに幅広いコミュニケーションスキルがあり、立場や使い所が限定されにくいサラリーマンの方は、好待遇で自分の輝ける場所を常に探し続けることができるでしょう。
これから、1つの企業が固定的リスクを下げようとすると、サラリーマンでも週5日間も雇用しないようになるかもしれません。もしくは1日8時間の仕事を与えないかもしれません。すると、必然的にキャリアをパラレルさせる必要が出てきます。
これからは、時にはサラリーマン的であり、時にはフリーランス的であり、時には経営者的であり、必要に応じて自分の働くモードを変幻自在に変えられる人がローリスクだと言えるでしょう。
店舗経営をしているオーナーでも、何かしらの影響で店舗がストップした際は、別のサービスを展開したり、専門家として活動したり、時には他の会社で務めてスキルを発揮すれば、リスクに対応することができます。
サラリーマンだけがリスクではなく、すべてのビジネスパーソンが既にリスキーな時代で、安全地帯がゼロになってしまったと考える方が良いでしょう。
リスクと真剣に日々向き合うことこそが、一番のローリスクなのです。
ワークライフバランスやワークライフインテグレーションという言葉がありますが、これからは、ワークライフリスクバランス、ワークライフリスクインテグレーションの時代と言えるかもしれません。