グラフィックデザインを独学で学ぶには?誰でも始められる学習法を解説
グラフィックデザイナーと言えばおしゃれなオフィスでカッコいいCDジャケットやポスターを生み出すセンスのあるクリエイターという想像をしてらっしゃる方がほとんどではないでしょうか?そして彼らは有名な美術大学やデザイン専門学校を卒業したからこそ、デザイナーになれたのでは、と思っていませんか?しかし、最近ではネットなどを活用して独学でもグラフィックデザイナーになれる環境なってきているのをご存知でしたか?
この記事では、グラフィックデザインにちょっとでも興味がある方が少しやってみようかな?というきっかけになってもらえるよう学習法を解説していきます。
独学でグラフィックデザイナーになるための第一歩とは?
独学でグラフィックデザイナーになるために、はじめに決めなければならないことがあります。それは「デザイナーとしての活動目的」です。ただ漠然とデザインソフト(AdobeIllustratorなど)を購入し触っていても何も作れないでしょうし、必ず飽きます。まずは、自分の趣味などにデザインが活かせないか考えてみましょう。練習なのでどんなアイデアでも大丈夫です、この時、自分のアイデアを否定しないことも大事です。そうすることであなたの「デザイナーとしての活動目的」が見えてくるはずです。そして、その「目的」を大事にちょっとずつ育てていきましょう。
「でも、自分は学校の美術の授業は「2」だったしなぁ…」という「美術センス」に不安な方でも問題なくグラフィックデザイナーになれます。グラフィックデザイナーに一番大切な要素は「美的センス」ではなく「コミュニケーション能力」です。あなたにデザインを依頼した人が本当に必要としているものを「聞き出す・導く」ことができるか、そしてそれを形にするのがデザイナーに本当に必要とされている能力です。
とはいえ、営業経験が豊富でコミュニケーション能力に自信はあるが、Illustratorを一度も触った事が無い、という方がいきなりデザイナーというのは、やはり厳しいです。最低限のデザインスキルとして「Illustrator、Photoshopの基本操作」「レイアウト、色彩などのデザインの基本ルール」「印刷物製作またはWeb画像製作のルール」は必要でしょう。ですが、例えばこの3つを学ぶ為の参考書を買いに本屋に出かけたとしましょう。すると、あまりの本の多さに選ぶことができないはずです。そこで、最初にお話した自分の「デザイナーとしての活動目的」と照らしあわせてみましょう。すると、まず何を学ぶべきで、何を後回しにすればいいかが見えてきませんか?焦ってたくさんの種類の本を買い込んだり、高額なスクールに通ったりする前に、まずは「目的→そのために必要なスキル」という順で自分の作りたいものにあわせてデザインの学習を進めていくのがデザイン上達の一番の近道です。
「デザイナー1年生」に読んでほしいオススメのデザインの本
先にお話ししましたが、自分の目的にあったデザインの参考書を見つけ出すことはとても難しいです。書店の本棚に並ぶたくさんのデザインの文字に頭をかかえてしまうはず。いったいどれが自分の「目的→そのために必要スキルを得る」本なの?となってしまうことでしょう。そこで、ここではいくつかの「デザイナー1年生」にぴったりなデザインの書籍をご紹介します。
なるほどデザイン
「目で見て楽しむ新しいデザインの本。」
デザインとはどんな仕組みでつくられているのか?デザイナーの頭の中を覗き見るのにおすすめの1冊です。内容はイラストが主体で楽しく読み進める事ができます。少しだけ難解な記述があったりしますが、そこは読み飛ばしてしまっても全く問題ありません。是非ずっと手元に置いておいてください。デザインに慣れてきた頃に読み返すと、難しかったところも理解できるようになっているでしょうし、新たな発見もあります。まず手にとってほしい1冊です。
単行本: 272ページ
出版社: エムディエヌコーポレーション
発売日: 2015/7/31
ノンデザイナーズデザインブック
「20年読み続けられてきたデザインの基本書!」
この本は名前の通り日常的にデザイン業務に関わっていない人に向けて書かれたデザイン指南書。ですが、すべてのデザイナーが知っておくべき、業務で使うテクニックが事細かに「わかりやすく」解説されています。この本の面白いところは、まず「ダメなデザイン」を紹介します。そのデザインのなにがダメなのか、そのダメな点は見る人にどんな印象を与えてしまっているのかを解説します。そしてそのダメなデザインを「わかりやすいデザイン」に修正して解説してくれます。読み進めるだけでデザインの「基本原則」を理解できる名著です。本来は洋書なのですが日本語版では和文の取扱い方の補足もあり日本語文字の取扱いの基本も学ぶことができます。
単行本: 260ページ
出版社: マイナビ出版; 第4版 (2016/6/30)
言語: 日本語
発売日: 2016/6/30
デザインのデザイン
「デザインとはいったい何か?」
この本は上記2冊と違いデザイン参考書ではありません、デザインにまつわる「書籍」です。著者は有名なグラフィックデザイナーの「原研哉」さん。名前も顔もしらなくても、「無印良品」のタグデザインに携わったデザイナーと言えば、あぁアレか!となりませんか?そんな原研哉さんの「デザインのデザイン」の内容はデザインの予備知識がないと少し難しいかもしれません。しかし、自身の携わった仕事を中心に、経済成長とデザインの関係性、民芸品とデザインの関係性など面白い視点でデザインについて書かれています。読み終えた時には普段身の回りにあるグラフィック含め様々なデザインに対する見方が変わっていることでしょう。また、書籍の装丁の美しさもよく見てほしいポイント。挿絵は初心者でも真似したくなるようなデザインですが計算されていて勉強になりますよ。
単行本: 224ページ
出版社: 岩波書店
発売日: 2003/10/22
世界一わかりやすい Illustrator & Photoshop 操作とデザインの教科書 CC/CS6対応版
「世界一わかりやすい教科書」
ここまでは「デザイン的思考」にまつわる本をご紹介しましたが、デザイナーの必須アイテム、「Adobe製デザインソフト」の操作テクニックにまつわる参考書をご紹介します。この「世界一わかりやすい教科書」シリーズは名前の通り、ソフトの操作方法を基本から学ぶ事ができます。それだけならどの参考書でもかわらないのですが、イラストでの解説が非常にわかりやすいというのがポイント。さらにデザインの現場で使われるような効率化のテクニックも自然に盛り込まれていて、この1冊をマスターすれば次は難しい応用テクニックの本での勉強に移行できるほどよく書かれている1冊です。「世界一わかりやすい Illustrator & Photoshop 操作とデザインの教科書 」はadobe製のデザインソフトIllustrator & Photoshopの操作方法を1冊でまとめたものになっています。この本とは別に「世界一シリーズ」でIllustrator 、Photoshop それぞれで1冊にまとまっているものもあります。ひとつのソフトを集中的に学びたいという方は、自分が学びたいソフトの本を選択してもよいでしょう。
動画で学べる!ネットを活用したデザイン学習方法!
デザインソフトの操作方法は参考書で学ぶこともできますが、現在は動画での無料講座やYouTubeをつかってテクニックを習得することで勉強の効率化を図ることができます。なにより、動画で解説を聞きながら学ぶのと、参考書だけの勉強では成長速度に雲泥の差がでてきます。さらに、スマートフォンを使えば空いた時間でもデザインの勉強をすることが可能です。それでは、いくつかの動画サービスをご紹介していきましょう。
YouTube
実はYouTubeには各ソフトの初期設定から応用テクニックに至るまで、あらゆるデザインソフトのテクニック動画がUPされています。例えば「イラレ パス」「フォトショ 髪の毛切り抜き」などで検索すると詳しい解説付きの動画がたくさんアップされています。参考書を見て操作してもわからない、つまずいてしまったという時には関連ワードで検索してみてください。また、海外の方のデザイン製作動画がオススメです。普段は目にする機会が少ない海外のデザインはとても刺激になります。その方の話す言語がわからないと詳細を理解するのは難しいのですが、なんとなく眺めているだけでもかまいません。確実にあなたのデザインの引き出しにストックされていくはずです。
SKILLHUB
Webデザイナー向けのHTMLやCSSを無料で学べるサイトです。こちらではIllustratorの講座も準備されています。こちらの無料講座ではWebページをIllustratorで製作する過程でIllustratorの基本を学ぶ事ができます。また、ここからWebデザインに興味をもって学習を進めてみてもよいでしょう。
クラウドソーシング
デザイナーを続けていくにあたって最も大事な事が「成果物(制作物)を出し続ける」という事です。そこでおすすめしたいのが「クラウドソーシング」サイト。実際の企業などのデザイン依頼に挑戦してみましょう。代表的なクラウドソーシングのサイトは「Lancers」「CloudWorks」の2社。ここではさまざまな依頼があるなかにデザインの依頼があります。ここに自分のデザインをどんどん提案してみましょう。プロのデザイナーも投稿していますが、臆せずに自分が学んだデザインの知識、テクニックで腕試ししてみましょう。同じ課題に対して他の人はどんな考え方をしてデザインしたのか、という考察をするのはデザインの学習においてとても重要です。そしてなにより、自分のデザインが選ばれると「デザイン報酬」が支払われます。自分のデザインでお金が発生したなら、あなたも立派なプロのデザイナーです!
昔はPhotoshopが1アカウント10万円しました。現在は月額980円で使用できる時代です。そう考えると誰にでもグラフィックデザイナーになれるチャンスがあると思いませんか?少しでも興味がある方はちょっとした遊びのつもりでデザインの扉をノックしてみてください。その先には楽しい、新しい世界が待っているかもしれません。
▼関連記事
・デザイナーが押さえておくべき心理学のポイント
・グラフィックデザイナーの需要と将来性について
・グラフィックデザイナーになるためには資格は必要?関連する資格をご紹介!
・グラフィックデザイナーを目指す方へ!関東の大学をご紹介!
・現役デザイナーに聞いた!グラフィックデザイナーになるには&キャリアパスについて!(3/3)
・現役デザイナーに聞いた!グラフィックデザイナーのやりがいとは!?(1/3)