クラウドサービスとは?選ぶ際のポイントや利用時の注意点なども解説
これまでのデータ管理は、自社内でサーバーを用意してデータの管理・運用を行うオンプレミス型が多く、システム構築にかかる工数や費用、専門的知識のある人材が必要でした。この課題を解決するために登場したのがクラウドサービスです。この記事では、クラウドサービスについて徹底解説します。また、利用時の注意点も併せてご紹介します。
クラウドサービスとは
以下では、クラウドサービスの特徴や注目される理由、メリット・デメリットなどをご紹介します。
特徴
クラウドサービスは、データの保存やアプリケーションサービスなどをネットワーク経由で提供するサービスです。必要とするリソースへ容易にアクセスでき、月額制ではなく月々の使用量に応じた従量課金制の費用形態が多い傾向にあります。
注目されている理由
クラウドサービスは、BCP対策に適しているといわれています。BCP対策とは、企業が自然災害や火災の被害に見舞われた際に、事業資産の損失を最小限に留めつつ中核事業の早期復旧・継続を可能とするための計画です。クラウドサービスを導入している企業のデータは、自社から離れた土地のサーバー環境などで保管されています。そのため、自社が被害に遭ったとしてもデータを損失リスクが限りなく低くなります。
また、ネットワークがつながる環境であれば活用でき、サテライトオフィスや在宅勤務など、多様な働き方が可能になります。セキュリティ面が不安であれば、アクセス権限設定やセキュリティソフトを活用して情報漏洩リスクを軽減させましょう。
メリット・デメリット
クラウドサービスには、サーバーの用意やシステム構築に費用がかからないため、低コストで利用できるのがメリットです。また、ネットワーク環境下であれば、媒介や場所を選ばず利用できること、クラウドサービスを活用した開発を行う際の拡張性が優れていることもメリットとして挙げられます。
しかし、システムのカスタマイズ性に制限があることや、サービスの終了・情報漏洩のリスクなどのデメリットもあるため注意しましょう。
クラウドサービスの種類
クラウドサービスは主に3つの種類に分かれています。以下では、それぞれの特徴について詳しく解説します。
SaaS
SaaSとは、ネットワーク経由でソフトウェアやアプリケーションを提供するサービスです。特徴は、ソフトウェアの購入やインストールをしなくても、必要な時にだけ利用できますが、利用にはOSやハードウェアの用意が必要です。主なSaaSサービスとしては、Googleマップやメール、カレンダーアプリなどがあります。
PaaS
PaaSとは、ネットワーク経由でソフトウェアやアプリケーションを構築・稼働するためのプラットフォームを提供するサービスです。開発に必要な機能やOSを提供しているため、開発コストを大幅に抑えられます。ただし、開発環境がサービス提供会社ごとで決まっているため、事前に開発環境を確認しておくといいでしょう。主なPaaSサービスは、AWSやAzureなどがあります。
IaaS
IaaSとは、ネットワーク経由で情報システムを稼働させる際に、必要な機材やネットワークなどのインフラを提供するサービスです。サービス当初は、「HaaS」と呼ばれサーバーやネットワーク回線の提供を目的としたサービスでしたが、時代とともに事業規模に応じてIT基盤そのものを提供するものに変化しています。
特徴は、自社のシステムを実行するためのOSやCPUなどを自由に選べることや拡張性に優れているところです。しかし、利用するOSやハードウェアに関する知識が必要なため、自社に専門知識を持つ人材がいるかあらかじめ把握しておきましょう。主なIaaSサービスは、GCPやニフクラなどがあります。
クラウドサービスを選ぶ際のポイント
以下では、クラウドサービスを選ぶ際のポイントをご紹介します。
コスト
クラウドサービスの多くは、利用する量に応じた従量課金制の料金形態ですが、その費用は提供会社ごとに異なります。コストだけにフォーカスしてしまうと、必要としている機能が搭載されていないこともあるため、自社にとって費用対効果の一番高いサービスを選ぶようにしましょう。
機能
クラウドサービスはコスト同様、提供会社ごとに備わっている機能が異なるため、自社業務に合わせた機能を持つサービスを選ぶことが重要です。特に、パソコンとスマホどちらからでも利用できる機能が搭載されているサービスが便利なので、テレワークでの利用もスムーズになるよう、社外でのアクセスに制限がないものを選びましょう。また、移動中などに業務を行いたい場合は、スマートフォンやタブレットに対応しているサービスがおすすめです。
業務効率やセキュリティ面の向上のために、汎用性の高い機能があるかどうかもサービスを選ぶうえでの判断基準になります。
データ容量
事業活動においては、日々新たなデータが蓄積されていくため、なるべくデータ容量の多いサービスを選ぶようにしましょう。事業内容によっては、多くのデータ容量を必要とする業種も存在し、限界容量を超えてしまうことでデータの保存ができず、業務効率の低下につながります。また、事業規模によって必要なデータ容量に差があるため、万が一容量が足りなくなった場合にも対応できるように、容量を追加で増やせるサービスを選ぶといいでしょう。
サポート・セキュリティ体制
企業が保管しているデータには、個人情報や機密情報も含まれることから、ネットワーク経由での保管に不安を感じるケースもあるでしょう。そのため、万全のセキュリティ対策が整っているサービスを選ぶことが重要です。具体的には、外部からのサイバー攻撃などからデータを守るため、情報の暗号化や二重認証、IPアドレス制限などの体制が整っているサービスがおすすめです。また、情報漏洩リスクの少なさに配慮されていると尚良いでしょう。
クラウドサービスを利用するうえでの注意点
ここでは、クラウドサービスの利用に関する主な注意点をご紹介します。
障害によるデータの消失
クラウドサービスでは、データの保管などをサービス提供会社に任せているため、障害が発生した場合は自社で対応ができず、データの復旧ができなくなる可能性もあります。データの消失は、事業活動に大きく影響を及ぼすため、何としても防がなくてはなりません。
企業にとって大切な財産であるデータを守るためには、障害が発生するリスクを加味したうえで別のシステムでも定期的にバックアップをとっておくようにしましょう。
データの外部漏洩
企業のデータを管理しているサービス提供会社がサイバー攻撃などの被害に遭った場合、自社のデータが外部に漏れる危険性があります。セキュリティ対策に力を入れるサービスが大半を占めますが、万が一のことを考えて、自社で事前にデータを分別して重要なデータの管理を行うことも大切です。
第三者による悪用
クラウドサービスは外部サーバーを利用するため、ID・パスワード・ネットワーク環境さえ整っていれば、誰でもログインできます。しかし、サービスがウイルスに感染し、利用しているユーザーのIDとパスワードが流失した場合、第三者によって不正にログインされてしまう恐れがあります。現在多くのサービスで、不正ログインによって悪用されるリスクを軽減するための認証プロセスを備えていますが、利用しているサービスごとにIDやパスワードを使いまわさないように、企業側が心がけることも大切です。
まとめ
クラウドサービスは、ネットワーク経由でデータの管理やアプリケーションなどを利用できるサービスで、自社が災害に見舞われた際に早期復旧ができる対策やネットワーク環境であれば、多様な働き方を実現できることで注目されています。サービスを選ぶ際には、費用対効果の高いコストであるかの確認や必要とするデータ容量の限界、万全のセキュリティ体制が整っているかに着目しましょう。また、利用するうえでサービス障害によるデータの消失、外部攻撃からのデータ流失などに注意して運用しましょう。
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