ブックマーケティング とは?メリットから成功事例までを紹介
ブックマーケティングという言葉を聞いたことがありますか? ブックマーケティングは、効果的に使うことで、さまざまなメリットが得られる新しいマーケティング方法です。
今回はブックマーケティングについて初歩から詳しく解説していきます。
ブックマーケティングとは
ブックマーケティングとは、書籍が持つ信頼性と、出版社が持つ販売経路を生かした企業のマーケティング手法のことです。企業が持つ特別な技術・実績をノウハウという形で読者に届けるほかに、ビジュアルで見せる、企業としての強みを物語に変換するといった最適な形に整理し、1冊の書籍として仕上げてマーケティングに活用します。
ブックマーケティングでできること
出版社などを経由して紙媒体として世に出た情報は、一般的に発信のハードルが低いインターネット上の情報などと比較した場合、信頼性の高い情報として受け取られます。
また、書籍を出版した筆者は「その分野のプロフェッショナル」として知られるようになることも大きなメリットです。一般に流通されている書籍の筆者であるということで、高いブランド価値を生み出せます。
さらに、お金をかけて正しい情報を収集しようとする読者は、頼れる専門家を探し求めている「見込み客」といえるでしょう。そのため、書籍を活用したマーケティング活動は、雑誌・新聞広告やネット広告などに比べヒット率は低いものの、顧客化が近いと思われる見込み客にピンポイントでアプローチすることが可能です。書籍が話題になれば、雑誌・新聞・Webサイトなど、さまざまな情報メディアとへの露出も期待できます。
紙媒体ならではの効果
書籍を購入した読者がそのまま顧客になってくれれば、広告費の削減につながります。例えば、自社のセミナーに書籍を読んだ読者に参加してもらったり、読者から新たな受注を得たりすれば、広告費を抑えた売上の創出も不可能ではありません。
また、Web上の情報は、発信者や情報の真偽が分からないなど、正しい情報を得るには不安な要素が多くあります。また、広告についても、一般的に企業は商品・サービスのメリットしかアピールしないため、信頼性は低くなります。
しかし、書籍は執筆した記事に対し、校正担当者や編集者、発行責任者など多くの人のチェックが入り、一定の信頼性と客観性が確保される媒体です。
出版形式の種類
ここでは、出版形式について、それぞれの特徴などを詳しくみていきましょう。
商業出版
最も一般的な出版方式で、書籍制作にかかる費用を出版社側が負担する出版形式です。出版社に所属する編集者が書籍の企画を立て、筆者が執筆して出版に至ります。書籍の印税と売上を主とした出版形式であり、売れる企画であるかどうかが重視されます。そして、制作された書籍は全国の書店に並びます。
企業または筆者側からみた商業出版のメリットは、制作費が不要なこと、印税収入が得られること、書籍の発行部数が一般的に3,000部以上と多いことです。
その一方で、本を売って利益を得ることが目的であるため、筆者が伝えたいメッセージがうまく反映されないこともしばしばあります。また、書店展開のプランや発行部数などは出版社主導で決まるため、書籍を企業の課題解決に使う場合は、融通が利きづらいなどのデメリットもあります。
自費出版
書籍制作に関する費用負担を筆者側が負担するため、筆者の伝えたいことを比較的自由に表現することができる出版形式です。企画・執筆・編集などの制作段階で出版社側が口出しすることがほとんどなく、題名や本文などを自由に決めて、本当に伝えたいメッセージをしっかり載せることができます。
一方デメリットは、制作費が筆者の負担であることです。資金がなければ印刷部数も少なくなるため、マーケティングの範囲が限定的になる可能性があります。
企業出版
企業出版は、商業出版と自費出版のメリットを盛り込んだ出版形式です。書籍制作に関する費用負担を法人が負担します。
また、ブランディングや集客など、企業の課題解決を主としているため、専門の編集者が企業に対してヒアリングを行い、企業の課題解決に効果がある企画を提案します。
商業出版と異なり、企業側が伝えたいメッセージをしっかり盛り込むことができるのも特徴です。流通網に関しては商業出版と同じように、全国の書店およびネット書店に並べられます。
さらに、書籍をセミナー・講演会などでの活用やネットなど他の媒体と連動することによって、書店というルートを起点とした独自のターゲティングができます。集客やブランディングといった企業の課題解決の手段として書籍を活用するケースには、企業出版が最も適した出版形式だといえるでしょう。
ブックマーケティングの手順
ここでは、実際にブックマーケティングを行う際の手順を紹介していきます。
出版目的を明確化する
ブックマーケティングをしようと決めた時、最初にすべきことは課題の整理です。いま抱える課題はどういうものなのかを整理し、出版目的を明確化しましょう。目的を明確にすることで、書籍に掲載すべき内容や伝えるべきメッセージが決まります。
出版形式の明確化
次に行うのは出版形式の明確化です。例えば紙媒体で展開するのか、電子書籍のみの発行なのか、全国書店展開の書籍を出版するのか、などを決めていきます。
出版社の選定
出版社の選定も重要な作業のひとつです。なかには、出版目的や出版形式などを一緒に考えてくれる出版社もあるため、比較的早い段階で出版社の選定を行うことをおすすめします。
本の制作
最初のミーティングで編集者やライターと顔合わせをして、出版に向けて全体のスケジュールの確認・企画の立案・タイトル決定・表紙デザインなどを共有します。
目次構成が決まったら、執筆やインタビューに入り、本編の作成を行います。ライターに依頼する場合は、書き進める前に導入部分などをライターに執筆してもらい、原稿のテイストや語り口調を確認するとよいでしょう。
執筆期間が終了すると次は編集作業です。編集では、本の見せ方や見出しなどをチェックしていきます。また、分かりづらい言い回しや整合性などの校正作業が終えると、入稿を経て出版となります。
成功事例
ここでは、実際にブックマーケティングを活用した成功事例についてみていきます。
新規顧客の獲得に成功した事例
大手不動産業の野村不動産は、新規の顧客獲得を課題としていました。主催するセミナーへ人を集めるため、自社Webサイトでの告知や新聞広告への出稿も行っていたものの、目立った効果は出ていませんでした。
そこで、企業出版を採用し、自社サービスや過去の業績などを新しい切り口で本にしてまとめます。書店での発売後に開催された出版記念セミナーは、これまでとは一変して満席になりました。これにより、セミナーの集客拡大と見込み客の獲得を同時に達成することができました。
離職率の低減に成功した事例
大手食品メーカーの味の素では、社員教育や企業理念の浸透において課題を抱えていました。また、事業買収の直後でもあり、全社員が一丸となって業務に取り組むことが求められました。
そこで企業出版に取り組みます。ライターが経営陣から設立当時の裏話などを取材しストーリーとしてまとめました。それと同時に年表を作って社史を作成し、会社の歴史を分かりやすく紹介。これにより同社は、社員の離職率を減らすことができました。出版した書籍は新入社員教育の教材としても使われています。
まとめ
ブックマーケティングとは、書籍が持つ信頼性と、出版社が持つ販売経路を生かした企業のマーケティング手法のことです。知名度の向上や顕在層へのアプローチ、メディアへの露出効果などが期待できます。
新規顧客獲得に成功した事例や、社員の離職率の低減に成功した事例などがあり、うまく活用すればさまざまな効果が得られます。
従来のマーケティングで伸び悩みを感じている企業は、ぜひブックマーケティングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
▼関連記事
・SNSマーケティングをはじめよう!手法や成功事例についてやさしく解説
・動画マーケティングとは? メリット・デメリットや事例をご紹介!
・ブランディングとマーケティングの違い・役割・ポイントを丁寧に解説