サウンドプログラマーとは?仕事内容・活躍業界・目指すステップを解説
アニメやゲーム、映画などの音楽から、パソコンの起動音や操作音などのちょっとしたエフェクト(効果音)まで、私たちはさまざまなシーンで多種多様な音を耳にしています。音楽の制作に携わるのは作曲家以外にも「サウンドクリエイター」や「サウンドディレクター」など、たくさんの名称や職業があります。
この記事では、音楽を制作する職業の1つであるサウンドプログラマーの仕事内容・活躍業界や、サウンドプログラマーを目指すためのステップを解説します。
サウンドプログラマーの概要と仕事内容
ここでは、サウンドプログラマーの概要と仕事内容を解説します。
サウンドプログラマーとは
サウンドプログラマーとは、作成したBGMやエフェクトなどの音楽を、プログラミング作業を経てゲームなどのデジタルデバイスに最適化する職業を指します。コンテンツの制作を手掛ける会社や仕事の方針次第では、すべての作業を1人でこなす場合もあります。しかし、基本的には音楽の総指揮を取るサウンドディレクター、作曲を行うサウンドクリエイター、プログラミング作業で最適化させるサウンドプログラマーなどに分業しています。
人気のあるサウンドプログラマーにもなると、有名な音楽家と契約を結んでプロデューサーを務めるケースもあり、すでに海外での知名度が高いサウンドプログラマーも存在します。
サウンドプログラマーの仕事内容
サウンドプログラマーは、ゲームで使用する音楽が適切な音量や重奏で表現できているか、開始から停止するまでのタイミングは正しいかなどを調節するのが主な仕事内容でした。しかし、近年ではゲームで使用する音楽以外でも、電車のホームで流れるメロディやテレビCMの音楽といった制作活動に携わることも多くなり、仕事の幅が広がっています。
また、サウンドプログラマーはパソコンを用いて音楽を作成する作業で、通称DTM(デスクトップミュージック)を行って音楽をデジタルに最適化させますが、DTMを活用するにあたってはコンピューターシステムが必要です。コンピューターシステムはDAW(デジタルオーディオワークステーション)と称されており、特徴の異なる機材が多数存在しているため、自らが制作する音楽にフィットしたDAWを選択します。DAWの主な名称には「Cubase」「Logic」「Ableton Live」があります。
DTMを用いる以前の音楽制作の方法は、作曲家が手掛けた楽譜を基に演奏して楽曲を収録するのが一般的でした。しかし、DTMを用いた楽曲制作が主流となってからは、パソコンとDAWを操作できれば楽器を所持していない人や、楽譜を読めない人でも楽曲制作ができます。
サウンドプログラマーの将来性
サウンドプログラマーとしてのキャリアを積み重ねるには、コンテンツ制作会社やDAWのシステム開発を手掛ける企業の社員になって、実力を付けてから独立するなどのステップアップを踏むのが一般的です。
最初から企業に所属せずにフリーランスから始めたり、アルバイト・パートから始めたりすることも可能ですが、その場合は実力や知名度が上がるでは長期にわたって低賃金で働くことになるため、サウンドプログラマーのみで生活を送るのは困難でしょう。また、さまざまなジャンルのコンテンツ制作に携わる職種のため、一定の需要と供給はありますが、知名度が低いフリーランスのサウンドプログラマーは依頼が少ないなどの懸念もあります。
サウンドプログラマーとして独立を目指す場合は、仕事のスキルやノウハウを専門学校などで学び、企業に就職してさらにスキルアップを図ることが一番の近道だといえるでしょう。
求められる資質・スキルと活躍の場
ここでは、サウンドプログラマーに必要な資質・スキルと活躍業界を解説します。
サウンドプログラマーに向く資質
サウンドプログラマーは機械や音楽の知識以外にも、コミュニケーション能力や簡単に挫折しない根性も必要となります。たとえば、楽曲制作はどんなコンテンツにおいても自分だけで作り上げるわけではないため、チームや依頼先と綿密な打ち合わせを行って、作品のテーマに沿った楽曲にする必要があります。そのためには、お互いのニーズをくみ取り、的確な指示や連携を取れるだけのコミュニケーション能力が必要なのです。また、サウンドプログラマーはいろいろな楽器の音色を個別に切り取って、デジタル音楽へと適合させていくことから、地道な作業でもコツコツとこなせる人に適正があります。
求められるスキル・資格
サウンドプログラマーはDTM・DAWに関する知識や技術が必要不可欠です。また、DTMはパソコンを用いて作業を行うため、C言語やJAVA言語などのプログラミングに関する知識もあることが望ましいです。
そのほかにも、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)を操れるスキルもあると良いでしょう。MIDIは、楽器とパソコンを繋げて転送し音楽データを一体化できる共通規格で、音楽電子事業協会が行っているMIDI検定は、サウンドプログラマーを目指している人が所持していると一定の能力があることを証明できる資格です。
主な就職先や活躍業界
サウンドプログラマーとして就職したい場合は、ゲームやアニメ、パチンコ・パチスロなどのコンテンツ制作会社や、DAWのシステム開発企業に勤務するのが一般的です。しかし、コンテンツ制作会社やDAWのシステム開発企業は、実務経験や成果を重視しているため求人倍率は極めて高いのが現状です。
コネクションやタイミングなどの運的な要素も少なからずある業界のため、会社に所属せずにフリーランスでキャリアを積み重ね、多くの企業と契約を交わして活躍するケースもあります。
サウンドプログラマーを目指せる学校・専攻
ここでは、サウンドプログラマーを目指せる大学や専門学校を紹介します。
くらしき作陽大学・音楽学科
くらしき作陽大学・音楽学科は、西日本でも有数となる充実の音楽施設が完備されており、学生専用の練習棟は約80にも及ぶ練習室を朝8時から無料で使用可能です。さらに、レコーディングスタジオやアンサンブル室なども備わっているため、音楽に集中できる環境が用意してあります。また、音楽デザイン専修では楽曲の自主制作からレコーディングやWebを利用した情報発信までを行う、トータルサウンドクリエイターを育成しています。
大阪スクールオブミュージック専門学校・カレッジ音楽科
カレッジ内の施設・設備はプロ仕様となっており、自由に使用して知識を深めることが可能です。さらに、4種類のレコーディングスタジオや個人ブースも備わったDTMルームプリプロダクションスタジオや、映像制作をマルチに行えるエディットルームなど最新の設備が整っています。
名古屋工学院専門学校・映像音響科
音響・照明コースでは設備の整ったサテライトスタジオで、実習を通してイベント業界での活躍を目指します。機材・設備はすべて持ち出し可能なので、自主的な学習も捗る環境です。また、映像音響科では校内外のさまざまなイベントを年間30本以上実施しており、学習した成果を発揮できる機会が多数用意されています。
東京工学院専門学校・音響芸術科
音楽業界で活躍するために、経験豊富な講師陣から録音・編集・加工とすべての過程を実践的に学べます。授業にはデジタル機器の基礎やシステムを学べるデジタルオーディオ授業や、人が音を聞く構造や心理状態にどのような効果が及ぶかを学習できる音響心理授業があります。
岡山科学技術専門学校・映像音響学科
岡山科学技術専門学校は資格認定校に指定されているため、舞台や音響に関わる国家資格の舞台機構調整技能士2級を受験するために必要な実務経験が免除されます。将来的にコンサートホールやPA・ミキサーを操作する就職を目指したい方には必要不可欠な資格のため、効率的に学習を進められます。さらに、実際の職場を体験できるインターンシップ制度を導入しているため、プロのツアースタッフやテレビスタッフとしての経験を積める機会もあります。
まとめ
この記事ではサウンドプログラマーになるためのステップや、主な仕事内容・活躍業界を解説しました。
サウンドプログラマーとして活躍するには、まずは専門学校や大学で音楽、DTM、プログラミングに関する知識や技術を学ぶところから始めるのがおすすめです。また、知識や技術だけではなく、根気やコミュニケーション能力も必要となるので、サウンドプログラマーを目指す方は日頃から意識的にスキルを磨くようにしておきましょう。
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