ビジネスの通説を語る際に、よく使う枕詞が「仕事ができる人は…」というものです。
そして、その枕詞にくっつく結び言葉の一つに「謙虚」というものがあります。
「仕事 謙虚」
「本当に すごい人 謙虚」
「謙虚な人」
「実力のある人 謙虚」
そこで、今回は「仕事ができる人は、謙虚」という点の構造について掘り下げて解説していきたいと思います。
仕事が本当にできる人が謙虚になっていく心理的理由
自尊心が増すほど、心が自分事から他人事に向かうから
なぜ、仕事ができる人はいたって謙虚なのか、その理由は、仕事ができればできるほど、ビジネス上の自己肯定感や自尊心が高くなるからです。
そのため、ビジネスにおいて「常に自分には余裕を感じられる」わけです。
余裕とは、「場を制する予期できる」「ビジネスを主導できる雰囲気が自分の中にある」「やり抜けるコントロール感」に繋がります。
これらは「自己効力感」とも言われます。「ビジネス上の自分は常に力が効くという感覚」ですね。
自尊心、自己肯定感、自効力感がアゲアゲになると、「自分のことはさておくこと」がすごく簡単になります。
緊張したり、不安になったり、恐怖になったり、予測不能で混乱したり、そんなことが減るからです。自分のことで精神的に忙しくならなくなるわけです。
心理的分量の中で自分へ取り扱う分量が減ると、必然的に他人に気配り・目配り・気遣いする精神資本が高くなります。
また、余裕を持ち、余裕を相手に振る舞えることそのものが、自尊心や自己効力感をさらに高めていきます。
結果、相手にフォーカスして、謙虚な対応をしていくことが自分を上昇させることを熟知&体感していくことになります。
こうしして、仕事ができる人、仕事ができるようになることは、「謙虚さ」と繋がっていくわけです。
謙虚の対極にある人が仕事のできる人になるケースがなぜ存在するのか?
性格の悪い人ほど仕事ができると言われる理由
仕事ができる人、仕事ができるようになることは確かに謙虚さに繋がる性質を持っていますが、それはすべての職種やビジネスパーソンに言えることではありません。
逆に、謙虚さのような性格の良さとは真逆の傲慢さ、自分勝手さ、ずるさなどで仕事を成功に導くこともできるわけです。
「ずるい人 出世」
「仕事ができる人 性格が悪い」
「仕事ができる人 きつい」
「仕事ができる人 人間性」
「仕事できる やつ うざい」
では、「仕事ができるほどに謙虚になる人」と「仕事ができるほどに傲慢になる人」の違いはどこにあるのかというと、それは日常的な内向的習慣の差があると言えるでしょう。
自己肯定感が低い幼いころから内向性が強く、内向的な時間と向き合うようなことをしてきた人は、仕事などの成功体験で、自分の内面がどのように成熟していくのかを明確に捉えられる可能性が高くなります。
「あんなに自己肯定感が低く余裕のない自分が、単にできる力や実績を積み上げて、失敗や慣れを繰り返して、余裕を持つことができた、だから、不利な立場や苦しい立場の人、後輩には今度は自分が余裕を盛ってエスコートしてあげよう」と思えるようになります。
逆に、外向的で、外向性が高すぎる人は、物事の結果、外側(目に見える部分)だけで物事の本質を判断しがちです。内向的なことを評価する思慮がないため、「結果が出せればいい」「結果を出したら偉い」という傲慢な感性へ繋がる可能性が高くなるのです。
謙虚さが必要な仕事、謙虚さが仇となる仕事
謙虚さはビジネスの成果に大きな影響を与える
高いコミュニケーション能力を求められるマネジメント職では、謙虚さは「チームの内情を俯瞰する力」と言えるでしょう。
これまで話した通り、謙虚さとは「内向的なマインド」であり、「内情を俯瞰する力」とはいたって内向的な力です。
内向的感覚に、コミュニケーション能力を足していくことが、組織作りやプロジェクトマネジメントにはとても求められます。
謙虚さはヒアリングを見落とさず、ディレクションを見誤らない判断力になるのです。
一方で、決められたマニュアルをただひらすらこなすような仕事は、謙虚さが馬力を失わせることになるでしょう。
強引な営業マニュアルをいかに加速的にお変えるかが、ビジネスの成果として組み込まれている場合は、謙虚さは躊躇や疑惑を生むことになるでしょう。
決められたことをパフォーマンスするような仕事よりも、精神性の高く、マニュアルやノウハウが曖昧なものほど、謙虚さは問題解決のヒントを手繰りよさせる力へ繋がります。
こう考えると、「仕事ができる人ほど謙虚」とも言えますし、「難しい仕事ほど謙虚さが必要になるケースが多い」とも言えるでしょう。
最後に:本当にビジネスで活きる「謙虚さ」を身に付けよう
謙虚さは、ビジネスの心地を格段に引き上げてくれる
以上、「仕事ができる人ほど謙虚」というビジネスロジックについて掘り下げてきました。
謙虚さが仕事に与える精神構造が理解できたかと思います。
仕事ができる謙虚さというのは、単に謙遜していることではありません。
相手を見つめる余裕、相手を見つめる内向性を持つことです。
なので、表層的に謙虚で振る舞うことが仕事のできる人が持つ謙虚さではないことはこの記事からも既に述べてきた通りです。
本当の謙虚さのためには、自分の行動や言動を内省していく時間を日々重ねながら、結果やスキルを積み上げていくしかありません。
謙虚さを突き詰めると、ビジネス上の自尊心、自己肯定感、自己効力感も高まります。内向的に成功する術を知るため、「狙って成功」できることが多くなります。
また、相手の本質を深く理解できることができるようになり、ビジネスパーソンとしてモテるようになります。
謙虚さは、ビジネスの心地を格段に引き上げてくれるのです。