限られたスペースに即座に伝わるキラーテキストを創り上げるコピーライター。
漫才師が言葉の掛け合いだけで稼ぐ仕事ながら、コピーライターはペンで言葉を練り上げるだけで稼ぐ仕事、だと捉えることができます。
コピーを創り上げるまでの過程には紆余曲折あるのですが、結果的に納品されるものはいたってシンプルな言葉たちです。そのシンプルさゆえに、テクノロジーの進化と共に、コピーライターの将来性を案じてしまう人も少なくありません。
検索エンジンの連想ワードでも、
「コピーライター なくなる」
「コピーライター 現実」
「コピーライター 業界」
「コピーライター つらい」
「コピーライター 厳しい」
「コピーライター 不要」
といったネガティブなものが並んでいます。
そこで、今回は、コピーラーターの需要と将来性について掘り下げていきたいと思います。
将来性1:コピーライターはAIコピーライターに取って代わる!?
パターンで成立するコピーライティングの仕事はAIに刈り取られる
さて、コピーライターの需要と将来性を語る際にしばしば登場するのが「AIコピーライター」の存在です。
米JPモルガン・チェース銀行はAIを使った制作企業であるPersadoと広告制作の5年契約を結びました。
Persado製のAIコピーライティングは、既に広告に使用され、2016年から行われていたパイロット試験でクリックスルー率が450%も伸びた成果を出したと言われています。
この話を聞くと、AIコピーライターがコピーライターの仕事をどんどん奪っていくように感じるかもしれません。
しかし、AIコピーライターの得意とすることは、書き出し、パターンを出すことに優れている。
要はコピーライト100本ノックする能力は、AIコピーラーライターが長けているわけですし、100本とは言わず、1000本ノック、1万本ノックが瞬時に可能なのもAIコピーライターの魅力と言えます。
こうなると、ディレクションやマーケティングやコンサルティング能力に長けているクリエイティブな人間が、弾き出されたコピーを選別し、ブラッシュアップするだけで事済む可能性が高まると捉えることができます。
要は、マーケティング感覚に長けているディレクターやプロデューサーが、AIが出力されたコピーから自分でサクッとカスタマイズして納品するということもできるようになります。
アルゴリズム化しやすくなればなるほど、AIが弾き出す答えは明確になります。
そのため、ディレクターが最初はAIに広範囲で設定したコピー案を出してクライアント打ち合わせをしながら、コピーの中身を絞って、アルゴリズムをより単純化させ、適切なコピーを弾き出すということも可能になってくるかもしれません。
将来性2:システムを駆使できるコピーライターに需要が集中する
コピーライターがシステムを操り、さらにコピーライティングのパフォーマンを高めることができる
コピーライターに限らず、私たちは人類対AIを構図に、仕事のパイを取り合うようなイメージを抱いてしまいます。
しかし、人類とAIは二項対立の構造のみには至りません。AIを人類が飼いならし、より自身のパフォーマンスやクオリティを高めるという関係性も有り得るわけです。
例えば、昔は手描きのイラストレーターに仕事が舞い込んでいたかもしれませんが、今となってはAdobeのソフトを駆使すること(実践的なクリエイティブへのために駆使できること)がイラストレーターの大きな実力になっています。
クリエイターの多くは、Adobeのアプリケーションを使いこなし、Adobeを通じた実践的なクリエイティブアウトプット能力があれば、生きている時代となっているのです。
要は、クリエイターは既にシステムと統合し仕事を行っているのであり、AIも同様です。
AIをツールやシステムとして、コピーライティングのワークフローに組み込めるコピーライターは、自分でも驚くほど爆速で良質なコピーライティングが可能になるでしょう。
AIを含めた様々なオートメーションツールを使いこなして自分自身のコピーライティングパフォーマスを高めることも、コピーライターの生きる術、テクニックとなっていくでしょう。
将来性3:コピーライティングへのスピード感が変わってくる
コピーライターはよりスピーディーに重みのあるコピーライティングを制作することが求められる
広告費を莫大に掛けたり、様々なメディアでプロモーションをしたりする場合、1つのコピーが与える影響はかなり大きいと言えます。
ですから、コピーライターの役割は非常に大切なのです。
しかしながら、時代の流れがスピーディーに激変していく中で、コピーライティングはよりライトなアウトプット体制が求められるでしょう。
短時間、短期間で良いコピーをなるべく生みだし、MAなどのツールで徹底的に効果検証を計り、より適切なコピーへ更新続ける、といったカタチです。
このことから、セールスコピーライターは、単発でコピーを納品するのではなく、セールスの期間に数字が一定のラインに高まるまでライティングへ向き合うということが増えてくるでしょう。
将来性4:意外にも需要が残り続けるクリエイティブコピーライティング
システムやテクノロジーに溺れないストーリーはずっと求められ続ける
これは本サイト的な予測ですが、クリエイティブなコピーを作る仕事のニーズはずっと求められ続けると言えます。
先ほど、セールコピーライティングはスピード感が早くなり、アップデートを繰り返すライティングワークフローになることをお伝えしましたが、CIやストーリーやネーミングなど、一度決めたらなかなか変えられない言葉というのは存在します。
また、システムやテクノロジーが進めば進むほど、解析や数字に溺れてしまう人が存在します。
その点、常識などのフックを簡単に外し、AIのアルゴリズムが及ばない発想や着眼点を持ってクライアントが求めるコピーを作ることには需要が高まり続けるでしょう。
クラアント側も、必ず数字を追っているわけではありません。経済的な効果だけを求めないクライアントも非常に多く存在します。
最後に:言葉を紡ぐコピーラーターだからこそ、言葉を紡ぐ人との関わりを大切に
人との接点を増やし、コピーラーターとしてハイスキルなクリエイターはずっと将来性が明るい
以上、コピーライターの需要と将来性について掘り下げてきました。
まず、コピーラーターは、頭脳とペンだけを使うということだけではなくなっています。
世の中のあらゆるシステムやテクノロジーを自分のコピーラーティングの仕事に適用させ、よりパフォーマンスを高めていくことで、将来性を高めることができます。
GAやMAの解析に長け、CRMを使いこなせるだけでも、様々なコピーライティングの仕事への可能性が生まれます。
Adobeなどのクリエイティブアプリケーションで、動画やデザイン物がアウトプットできるようになれば、コピーライティングと制作を兼ねて請け負うこともできます。
そして、最後は人との関わりだと思います。
実力を日々高め、アウトプットを重ね、様々な人との関りを大切にしていれば、本質的に仕事はどんどん舞い込んできます。
単に机の上で言葉を紡ぐだけでなく、人との関りの中で言葉を紡ぐのです(アフターコロナ以降は、机上のオンラインで人と言葉を紡ぐことも多くなるかもしれませんが)。
実力があり、実力を示すアウトプット物があり、人との関わりの中できちんと言葉を紡ぎ、深い関わりをしていければ、コピーラーターとしてずっと良い出会いに恵まれ続けていくでしょう。