新型コロナの影響で、クリエイターの働き方は大きな変化を強いられています。新型コロナによって、「今までの普通」が大きなリスクへと変化しました。
また、企業や個人がそもそも潜在的に抱えていた課題を一気に浮き彫りにしました。
では、コロナによって、クリエイターの働き方はどのように変わっていくのか、今回はコロナによって変わるであろうクリエイターの働き方を掘り下げていきたいと思います。
働き方1:テキストヒアリング能力の高い内向的なクリエイターが求められる
SNSでの発信によってクリエイティブを巻き込むように、クライアントワークでもオンライン上の振る舞いが非常に重要なファクターとなっていきます。
リモートで高いクリエイティブパフォーマンスを出すためには、相手のテキスト(文字・声)から、相手の意図やニーズを的確に捉えることがより重要になってきます。
対面では、表情や空気を読むスキルが求められましたが、リモートではテキストを読むスキルが、クライアントの本意を掴む大きな要素になります。
そう考えると、これまでリアルで外向的な人よりも、あまり対面コミュニケーションが得意でない内向的なクリエイターにスポットが当たると考えることもできます。
なぜなら、内向的な人の方が、静的な状況に対して多様に気にする、気を遣うことができるからです。
チャットなどの静的テキストをうまく気にしながら、ニーズを満たすクリエイティブパフォーマンスを発揮すれば、あなたはリモートコミュ力抜群なクリエイターと認知されます。
対面では、会話がスムーズであったり、面白くて楽しい人間らしいコミュ力があるような感じがしますよね。しかし、これからのクリエイティブワークでは、こっちがテキストで伝えたことを静かに汲み取り、何も余計なことを聞くことなく、そのまま期待を超えるものを創り上げた人のほうが、「コイツ、話が分かる!」となっていくのです。
働き方2:クリエイティブチームが少数精鋭化する
リアルな場を共有し、一体感を感じられれば、お互いのコミュニケーションが絶えず交差することは自然なことだと認知できます。
しかし、これが、それぞれが遠隔な場所に居て、絶えず労働時間中、カメラや音声で繋がっているというのはどうでしょうか?なんだか監視されているように感じませんか?
要は、アフターコロナのクリエイティブプロジェクトでは「放任」が重要なキーワードになります。リアルで行っていたマネジメントは、監視という居心地の悪さを与えるだけでなく、ハラスメントへと変わっていく可能すらあるからです。
そのため、なるべく少数精鋭のコント―ロールしやすいメンバー内で仕事を行う流れになっていきます。
働き方3:ゼネラリスト型のクリエイターが重宝される
テキストヒアリング能力が高いクリエイターを少数精鋭の中に組み込むことを考えると、1つの深い専門性のあるクリエイターよりも、ゼネラリスト型のクリエイターの方が重宝されていくかもしれません。
例えば、Webデザイン制作において、ライティングもデザインもコーディングもできるクリエイターがいれば、あとはディレクター、バックアップのアシスタントデザイナーやコーダーは外注という形になるかもしれません。
小規模案件であれば、一人でワンストップできるクリエイターにスポットが当たるでしょう。デザインができるフルスタックエンジニアなど、ゼネラリスト的なクリエイティブパフォーマンスがあれば、一人で納品までこぎ付けることができます。
ゼネラリストタイプは、リモートで距離が遠くても、発注側は「右腕感」を感じられます。経営者としても雇いやすいですよね。
ゼネラリストタイプのクリエイターは、時代の変化に合わせて、自分の持っているスキルの引き出しを調合し、その都度、新たなサービスや商品を作るためのクリエイティブを発揮することができます。
フリーランスであれば、即座にセルフプロモーションできるサービスや商品を時代に合わせて構築できるでしょう。会社員クリエイターなら、経営方針に応じて、経営者の意図を組んで、その都度、クリエイトするべきものを変えることができます。
ゼネラリストクリエイターは、複数のスキルに向き合っていく経験、分野を横にまたぐ経験から、新しい変化に強く、新しいことに向き合い、自分でなんとかモノにすることに慣れています。そのため、時代の変化に強いクリエイターであり、アフターコロナ後は、ますます求められていくでしょう。
働き方4:既存素材を生かす「編集」の質とスピードが問われる
アフターコロナ後のクリエイティブはリスクとコストをより嫌うようになるでしょう。そのため、既存の素材を生かして低リスクかつ低コストで仕上げる編集力を持った人がかなり喜ばれます。
これまで素材をたくさん購入してストックしているクリエイターはそれだけでも大きな武器になるでしょう。
自分の過去の制作物をテンプレ化、パターン化しておくなどすると、それも大きな資産として企業へのアピール材料になるでしょう。
クリエイティブマネジメントは、身体的距離感を近くに保ち、相手を強制することができなくなり、放任せざるを得なくなるので、「クリエイターがそっちで勝手にうまくやってくる」という信頼関係が非常に大切になります。
その点、編集力が優れているクリエイターは、素材を丸投げして放任するだけで済むため、アフターコロナの時代の空気感にぴったり寄り添うでしょう。
働き方5:スキルよりもアウトプットの質が重視される
これは編集力と近いのですが、「何ができるか」じゃなく「何を作ってきて、今後何を作れるか」というアウトプットが大きく重要になるということです。
アウトプットとは、スキルを上手に使うスキルのこと、つまり「編集力」も含まれますが、メンタル的な部分も大きく関わってきます。
例えば、「どんな物事にも興味・関心を注ぐことができる」、「素直に話を聞く」といった一面です。深く掘り下げる精神性があれば、一回のやり取りで多くの事を引き出し、多くの編集材料を吸収することができるからです。
単にクライアントワークで、プロジェクトの一員として、一つの役割をこなすだけでなく、自己完結でクリエイティブしたプロダクトやコンテンツを定期的に作っていき、ポートフォリオを積み重ねていく必要があるでしょう。
最後に:今後はもっと主体的にクリエイティブに関わる人間が強くなる
アフターコロナの世界では、なるべく少ないクリエイターに深く主体的にコミットしてもらい、問題が解決することが理想であるという状況が多くなるでしょう。
特にリモートコミュニケーションの黎明期では、ヒアリング能力に長けたクリエイターが他のクリエイターを大きく出し抜くことになるでしょう。
リモートでのテキストヒアリング能力が高ければ、ちょっとした電話とチャットで、クライアントやディレクターの本質を捉え、一回の作業でほぼほぼ要望通りの制作物を仕上げることもできるでしょう。
一方で、テキストヒアリング能力が低く、主体性もないプロフェッショナル型のクリエイターは、作っては修正の繰り返しでプロジェクトがかなり間延びしていきます。
内向的でコミュ力はなかったものの、どんどん自分で主体的なアイデアは出せていて、それをリアルでは発揮できなかったクリエイターが、アフターコロナ後には一気に才能を開花させることも予想できます。
ディレクターはこうしたことを念頭に置き、クリエイターに発注していきたいですね。
コロナでクリエイターの働き方や、クリエイターの長所、求められるスキルや行動体質が変わってきます。
しかし、どんな時も前を向いて、変わることを受けいれていけば、どんな時代でも活躍できるクリエイターになっていくでしょう。ぜひ、今回の記事も参考にしてみてください。