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クリエイターのイメージを最速で形にし、時間を生み出す“工具箱”であること。
INTERVIEW 2019.3.22

クリエイターのイメージを最速で形にし、時間を生み出す“工具箱”であること。

アドビ システムズ 株式会社 Creative Cloud セグメントマーケティング部 マーケティングマネージャー 岩本 崇

クリエイター、特にデザイナーや映像制作者の間ではなくてはならないツールのブランド。それが “アドビ”である。最初のプロダクト『ポストスクリプト』から数えて36年。クリエイターと共に歩んできた道のりは革新の連続であり、信頼の蓄積であるといっても過言ではない。今回ご登場いただくのはアドビ システムズ 株式会社の名物社員であり、数々のメディアにも登場しているマーケティングマネージャーの岩本さん。自らもフリーのデザイナーだった経験を活かしてアドビ製品に心血を注ぐ岩本さんに、ツールメーカーとしての立場からクリエイティブへの想いを語っていただいた。

ユーザーを代表してこの仕事に就いている、という思い。

―そもそも岩本さんもクリエイターだったと聞いていますが

フリーランスのデザイナーとして旅行関係のフライヤーを作っていました。当時はまだアナログからデジタルへの過渡期で、フォントも少なかったんですよね。その後、東京リスマチックに入社して、サービスビューローで印刷業務に携わるようになります。

―その頃は商用印刷やDTPはみんなサービスビューロ―頼みだったという

そうです、出力屋さん、なんて呼ばれてましてね。リスマチックにはDTPがわかるから、という理由で入社したんですが、サービスビューローの出店担当のほかに社内教育や新機材導入検討など、とにかくいろんな経験を積ませてもらいましたよ。

―その後、アドビに縁あってご入社なさると

僕がアドビに入った目的は『InDesign』を普及させること。僕自身、長きにわたってInDesignユーザーだったので製品を熟知していたし、当然使いこなしてました。ただしツールというのは印刷会社が対応しないと制作会社にも使っていただけないわけで。そのためにも業界内で広く認知してもらうことをミッションに入社したわけです。

―それまでの経験がすべて活かせそうですね

いちばん大きいのはお客様、つまりユーザーの気持ちがわかるということです。これは忘れちゃいけないこと。みなさんを代表してこの仕事に就かせていただいている、と今でも強く意識しています。だからユーザーの声を代弁して、開発側や製品チームに伝えている。この役割はすごく重要だし、責任も重いと痛感しています。

―それから15年。振り返るといろんなエピソードが…

InDesignでいえばコンペティター製品の数字を抜いたときの達成感は他では味わえないものでしたね。あと担当製品も広がり、いまは『Creative Cloud』をメインに扱っているのですが、印刷会社やデザイン会社との関係性も大事で。全国の印刷会社様の対応状況を北は北海道、南は沖縄までCreative Cloudでの入稿へと広げられたことには、大きな手ごたえを感じています。とはいえまだまだこれからですけどね。

製品の進化で10手が5手、3手になっていく。

―入社からの歩みは順調そのもののようですが

とんでもない(笑)至らないところが多くて…まだまだ改善が必要です。やはりユーザーのみなさんはお忙しいので、わかっている手法でモノを作ろうとされるんですよね。それはそれで間違ってはいませんが、僕らは僕らで製品を進化させているわけです。これまで10手かかっていたところが5手に、さらに3手になっていくことがある。

―いいことづくめのはずですよね

残念ながら今のバージョンで満足なのにとか、前と変わらないというフィードバックをいただくこともあります。これは僕らが新製品のバリューをしっかりとお伝えできてない証拠。従来のバージョンよりも確実に優れているので、そこをキャッチアップしてコミュニケーションに力を入れ、触れていただく環境を提供しないといけません。

―アドビ製品の本質的な価値ってどこにあるんでしょうか

ツールメーカーとしてはクリエイターが思い浮かべたイメージをどれだけ短い時間でカタチにできるか、が存在意義だと思います。それがお客様に提供できる最大のバリューだと。特に今の時代、情報を創り配信するまでのスピードが以前より早くなっています。だからアイデアやイメージを形作る時間をセーブできたり、あるいは必要なものを探す行為を容易にしたり…そういったお手伝いができるようになることが、製品の進化なんですよね。

―従来のツールに求められる領域を超えていくんでしょうか

実はアドビでもAIに力を入れていて『Adobe Sensei』というフレームワークで展開しています。クリエイティブインテリジェンス、エクスペリエンスインテリジェンス、コンテンツインテリジェンスの三つの柱で構成され、クリエイティブワークのサポート、反復作業や画像検索などの時間短縮、あるいはユーザー体験のナビゲートを実現します。これらはすでにアドビ製品に組み込まれているんですよ。

―時代の流れは製品に否応なしに影響を及ぼすんですね

だから進化が必要なんですよね。世界的に起きたパラダイムシフトが、インターネットの登場です。紙や電波がネットに移った。情報提供と取得の方法が大きく変わりました。そこに対してコンテンツをデリバリーしなくてはならない。さらにPCからスマホ、タブレットへ。今度はデバイスの壁がなくなりつつあります。こうした目まぐるしく変わりゆく状況下でツールを提供する立場にあるのが、僕らアドビなんです。

クリエイターが欲しいと思ったとき存在するツールであること。

―一方、時代が変わってもクリエイターがいなくなることはありません

僕、ときどき友人のデザイナーで大学講師やっている人に頼まれて、美術大学にお邪魔することがあるんですよ。で、学生さんたちの作品を目にするたびに思うのが、これすごいなぁって。プロとなんら遜色ない作品を創っていて、その発想力や定着させる力たるや。本当にすごいです。若手クリエイターにはどんどん世の中に出て、時代のスピードにご自身の力を乗せてコンテンツづくりを行なっていただきたい。僕らはそれを支援したいんです。

―とはいえ経験が浅いうちは心がけたほうがいいこともありますよね

いい意味でバランス感覚を持つ必要があるとは思います。美術品ではなく、クライアントがいて目的を持ったものを創る以上、限られた時間とコストで創らなければなりません。それって社会に出て一つひとつの経験を積むことでわかるようになるもの。特にスピードとコスト×時間…早いタイミングで身に付けることができればクライアントとの付き合い方、自分の時間の作り方などもわかってきますからね。

―やはり多くの時間と経験が必要なんですね

若いころって、やっぱり頑張らなければならない時ってあると思うんです。やんなきゃいけないときはとことんやる。そこで得たものはその先、必ず役に立つものです。これは時代の移り変わりとは関係ないでしょうね。実力のあるクリエイターに師事するにしても、代理店に勤めるにしても、いま目の前にある仕事で将来役に立つと自分が判断したことには、時間と情熱を注いで向き合った方がいいんじゃないかなと思います。

―そんな若手クリエイターのそばに、アドビのツールは寄り添うんですね

寄り添う対象は決して若手だけではありませんが(笑)、反復作業や時間削減はアドビの得意技ですからね。特に時間削減がユーザーへの最大価値です。そうすることでもう一案つくるもよし、別の仕事でビジネスを広げるもよし。自分の時間も作れますし。おまけにCreative Cloudコンプリートプランは紙からWeb、映像まですべてのメディアに対応できるツール。工具箱のようなものですから、必要なものを引っ張り出してつかってもらう感覚です。

―すごい進化ですね

すごい進化ですよ(笑)。アドビはクリエイターと共に歩んで36年。最初はポストスクリプトからのスタートですからね。ではなぜそんなに進化するのかというと、僕らはクリエイターが欲しいと思ったときにツールがないのでは遅い、と考えているからです。世界中のクリエイターがユーザーである以上、世界標準のスピードで進化しないといけないんです。

―ありがとうございます!最後にこれからのクリエイターに期待することを

よく人間の仕事が機械に取って代わられる、というじゃないですか。デザインなんかも機械でできるんじゃないかって。でも僕らはそんな風には思っていない。みなさんのクリエイティブワークをサポートすることを第一に考えています。本質的なところ、感性の部分は人間じゃないとできないですから。反復的なことはぜひアドビに任せて、クリエイションに時間と力をかけていただきたいと思います。

―本日はありがとうございました!

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アドビ システムズ 株式会社 Creative Cloud セグメントマーケティング部 マーケティングマネージャー

岩本 崇

フリーランスデザイナー、大手印刷会社を経て2004年にアドビ システムズ 株式会社へ入社。Illustrator、InDesignなどのDTPデザインツールを担当。一貫して広くデザイン、印刷市場へ最新製品を訴求。さらに近年ではAdobe FontsやDimensionなどCreative Cloudで追加された、サービスやツール、モバイルアプリにも注力をしている。
担当製品:Illustrator / InDesign / Dimension / Adobe Fonts / Gemini / Photoshop(デザインマーケット向け)/ Photoshop Sketch / Illustrator Draw

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