「DX」を意味するデジタルトランスフォーメーションとは、簡単に言ってしまえば「デジタルを当然のように組み込むこと」です。
「企業にもDXを」というのを難しく捉えずに、デジタルをうまく融合させ体系や体制を創り上げる、それがDXなわけです。
2020年の新型コロナの影響によって、DXへの遅れを強く実感した企業も多いでしょう。アナログな施策を封じ込められて、仕組みが崩壊した企業もあれば、スイッチを切り替えるようにデジタルモードへチェンジした企業もあります。
完全デジタル仕様であれば、今度はデジタル資源が崩壊した際に企業活動がストップします。
日常時の企業活動を促進させながら、リスクヘッジとしても機能することにDXの意味があります。
今、多くの企業が次世代の常識や環境に向かってDXにチャレンジしようとしています。しかし、下手なDX会社は、逆に会社の崩壊を招く重大事になりかねません。
そこで今回は、アフターコロナとDXと題し、企業は何からデジタル化すべきなのかを掘り下げていきたいと思います。
事務及び事務処理のDX
単純に一番DXしやすい分野であり、DXにチャレンジする際のリスクが低く、DXに関する恩恵も受けやすい分野です。
そのため、企業がDXを試みるなら、まずは事務作業や事務処理のDXを通し、DXにおける様々なプロセスを体験・体感すべきと言えるでしょう。
プロセスのDX
DXを契機にこれまでのしがらみのあったプロセスモデルを改善できる企業は非常にポジティブな舵取りができるでしょう。
プロセスのDXの一つに、プロセスマイニングというものがあります。
プロセスマイニングとは、業務プロセスの処理パターンをイベントログデータの蓄積により可視化し、改善ポイントを具体的に特定することで業務効率化を支援する手法です。
現在では単にプロセス処理のログを取得、データを解析するだけでなく、最適なプロセスを自動で割り出してくれるものもあります。
プロセス改善や決定をDXに委ねることができれば、特定の個人が作り上げたプロセスに執着しなくなります。つまり、社内政治にプロセスが巻き込まれなくなるわけです。
これは単にプロセスが改善されるだけでなく、社員全体に平等な印象を与える意味でも大きな効果があると言えます。
顧客及び販路開拓のDX
顧客開拓、営業活動などに関するDXは、DXという言葉がもてはやされる前から様々存在しており、顧客管理持続関係システム(CRM)、マーケティングオートメーション(MA)、セールスフォースオートメーション(SFA)などを挙げることができます。
既に数万規模の休眠リストを持っていたり、アナログ営業部門とEC事業部の連結を放置していたりする企業はすぐに行うべきと言えます。
しかし、CRMやMAは、社内で統括する有能で根気のある人材が必要ですし、CRMやMAに即した行動を社内に浸透させる難しさがあります。
単に導入しただけでは、社員の反感を買い、社内にとってお荷物なシステムやツールになってしまうので、注意が必要です。
セキュリティのDX
テレワーク化、リモートワーク化によって、セキュリティDXも非常に大切です。
セキュリティそのものをDXすることも大事ですが、扱うのはあくまで人なので、社員のセキュリティにおけるリテラシーをDXに寄せるのも大切です。
極端な話、セキュリティ―意識が低いと、どんなにネット上のセキュリティを高めても、社員がカフェにパソコンを持ち出し、忘れて帰ってしまえば意味がありません。もちろん、そのパソコンを第三者は開くことはできないかもしれませんが、「どこの会社の社員がパソコンを置いたままにした」というのがSNSで拡散されてしまえば、企業ブランドに大きなダメージとなります。
セキュリティに関しては、ITセキュリティは社内のメンバーで支えつつ、サイバーセキュリティの知見は外部専門家の力で補って、効率的なセキュリティオペレーションを行うことが、DX時代にふさわしいとされています。
また、総務省は、『テレワークセキュリティガイドライン』を出しているので、一度すべてを目に通しておくべきでしょう。
価値観・コミュニケーションのDX
私たちは過去の常識を外し、価値観やコミュニケーションを再定義していくべきです。
既存に捉われないことこそが、何よりのDXと言えるでしょう。過去に引っ張られるほど、DXに否定的になり、DX対して大きな可能性を見出すことはできなくなります。
単純な話、「大勢で会議しない」というのも疑うべきです。「デジタルリーダー企業では、1on1ミーティングを行う例が多いと言われています。
マイナビニュースが行ったアンケートでは新社会人に最も期待することは、「協調性がある」(20.5%)、「コミュニケーションスキルに優れる」(19.2%)というコミュニケーションに関するものが主要という結果となっています、
また、ゼネラルリサーチが行った中途採用に関する調査では、経営者が思う「期待外れの中途社員」の特徴で、『コミュニケーション能力が乏しい(40.5%)』という回答が最も多いことが分かりました。
何が言いたいかというと、テレワークを企業のシステムにフィットさせたいのであれば、コミュニケーションのDXを上手くさせなければいけないということです。
最後に:DXとは単なるシステムやツールではない
以上、アフターコロナとDXについて掘り下げて述べてきました。
デジタルというのは冷たくシステマチックな印象があると思います。導入すれば、システムがよりパワフルに回り出す印象もあるでしょう。
しかし、DXに絡むのは人であり、人は絶えずDXによって心理的な変化を生じさせていきます。
DX導入における人間の機微を考慮することこそが、現実的にアフターコロナのDXを成功させる何よりの秘訣となっていくでしょう。
ぜひ、様々なDXを模索しながら、DXにおけるリテラシーを高めるところから始めてみてください。