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マスカスタマイゼーションとは?注目されている背景なども解説
TIPS 2022.2.02

マスカスタマイゼーションとは?注目されている背景なども解説

従来の製造業といえば、商品を生産して消費者に提供する流れが一般的でしたが、近年では顧客のニーズに応えるため、サービスそのものを製造するという視点が広がっています。しかし、顧客のニーズに応えることは発注から納品までのリードタイムを増加させ、生産効率を下げることに直結します。

そこで、注目されているのが「マスカスタマイゼーション」と呼ばれる取り組みです。今回の記事では、マスカスタマイゼーションの概要や、注目されている背景についてご紹介します。

マスカスタマイゼーションとは

マスカスタマイゼーションとは

ここでは、マスカスタマイゼーションの概要について詳しくご紹介します。

マスカスタマイゼーションの考え方

大量生産を意味する「マスプロダクション」と、要望に応じた製造などを意味する「カスタマイゼーション」を合わせた言葉です。生産・販売の規模を活かしつつ、顧客ごとのニーズに合わせた商品・サービスを販売する取り組みのことを指します。

従来のマーケティングは、すべての顧客を対象とする「マスマーケティング」が主流でしたが、時代の移り変わりにより、顧客のニーズを満たす「One to Oneマーケティング」に変化しつつあります。そこで、大量生産に近い生産性を保ちつつ、顧客のニーズに対応した商品やサービスを提供する、新たなモノづくりの考え方が生まれました。

マスカスタマイゼーションを実現するための条件

マスカスタマイゼーションの推進には、顧客ニーズのデータ化、商品・サービスの設計や製造の効率化、受発注から出荷までのシステム連携といった3つの条件を満たす必要があります。大量生産と受注生産の両立には、商品の共通部分とそうでない部分を明確に定義し、顧客からの要望に柔軟な対応ができるシステム構築が必要です。

そのため、顧客のニーズをデータ化して対応する体制作りをしなければなりません。また、内容の異なる大量発注に対応するため、生産管理の統合とシステム間の連携が重要になります。

マスカスタマイゼーションのメリット・デメリット

マスカスタマイゼーションは「大量生産」と「受注生産」を掛け合わせたもので、それぞれメリットが異なります。大量生産のメリットとして、1つの商品あたりにかかる生産コストの削減や、1つの設計で大量生産を行うことによるリードタイムの短縮などが挙げられます。

一方で受注生産は、それぞれの顧客に対応した細かい仕様変更や、在庫数の削減が可能です。ただし、大量生産と受注生産の両立を完璧にこなすことは困難なため、マスカスタマイゼーションの取り組みを行う前に、どのような生産方式でサービスを提供したいのか明確にする必要があります。

マスカスタマイゼーションが注目されている背景

マスカスタマイゼーションが注目されている背景

ここでは、マスカスタマイゼーションが注目されている背景についてご紹介します。

顧客ニーズの多様化

インターネットの発達もあり、かつてなく顧客が商品やサービスに関する情報を容易に入手できる時代を迎えています。そのため、比較・検討により目が肥えた顧客のニーズが著しく多様化しました。激化する市場競争に勝ち抜くためには、多様化した顧客のニーズに対応できる力が必要です。

特に、海外企業との競争は、より正確な対応力が求められます。市場で生き残るためには、大量生産によりコストダウンを図るだけでなく、ニッチ戦略を的確に打ち出して積極的に販売機会を確保していかなければなりません。

市場製品価値の低下

画期的な商品やサービスを開発しても、時間が経過することで似たようなモノが市場に出回り、価値が低下するのが製造業界の宿命です。特に大規模な市場の場合は、顧客が商品やサービスに対して価値を感じなくなる影響で、供給過多によるコモディティ化が起こる傾向にあります。

その影響で、企業同士の低価格競争が起こるため、利益への悪影響が懸念されています。市場競争を勝ち抜くには、価格ではなく価値を顧客に提供することが大切です。

受注生産のリードタイム短縮の必要性

顧客満足度を高めるために重要な受注生産は、企業側が顧客に対して提供できる価値の1つです。しかし、業務工数の関係から、リードタイムの増加が問題視されています。

リードタイムは納期と密接に関係しているため、販売機会を逃してしまうケースにもつながります。受注生産の対応を効率化するためにも、システム体制を整える必要があるでしょう。

マスカスタマイゼーション実現に向けて必要な技術

マスカスタマイゼーション実現に向けて必要な技術

ここでは、マスカスタマイゼーションを実現するために必要な技術を3つご紹介します。

ジェネレーティブデザイン

設計者がソフトウェアに一定の情報を入力することで、0の状態から最適な商品設計を生成する技術です。

入力した使用する材料や重さ、製造過程などのパラメーターから、AIが要件に当てはまるものを3Dモデルで生成します。顧客の求める条件を満たした形状の商品を自動生成できるため、カスタマイズの向上とリードタイムの短縮に効果があります。

デジタルファブリケーション

デジタルデータを基にモノづくりをする技術です。3Dプリンターなどのデジタル工作機械を使用し、デジタルデータを木材やアクリルなどの素材から切り出して成形できます。

従来の技術で成形が困難だったものも作成できるため、今までモノづくりに携わってこなかった人材の参画や、デジタルファブリケーション専用機器が設置された施設が建てられています。

デジタルツイン

リアル空間にある情報をIoTなどで収集し、送信されたデータを基に仮想空間の中でリアル空間を再現する技術です。

従来の仮想空間とは異なり、収集したデータをAIが分析・処理することによって、よりリアリティのある空間をリアルタイムで再現できます。そのため、リアル空間の将来的な変化を、仮想空間上でシミュレートすることが可能となり、リアル空間で実際に起こるかもしれない変化に備えられようになりました。

マスカスタマイゼーションの導入事例

マスカスタマイゼーションの導入事例

ここでは、実際にマスカスタマイゼーションを導入した企業の事例をご紹介します。

アディダス

ドイツのスポーツ用品メーカーで、世界的なスポーツカンパニーとして確固たる地位を築いています。スニーカーの人気ブランドとして有名ですが、顧客それぞれのニーズに応えたカスタマイゼーションのパイオニアとしても知られています。

アディダスでは、顧客ごとに足の形状をデータ化して工場に送信し、ロボットによる製造で数日中に最適な靴を届ける計画を描いていました。この計画を具現化したものが全自動工場「スピードファクトリー」であり、コアとなる3次元モデル技術「ARAMIS(アラミス)」を活用したオーダーメイドモデルの製造に乗り出しています。ロボットによる大量生産でコストを削減しつつも、設計情報のデジタル化により個々の消費者に合わせた特注品の製造が実現しました。

BMW

ドイツの自動車メーカーで、ブランドによるプレミアム・カーや二輪車の開発・生産販売を主軸とし、金融サービスやモビリティサービスなどの提供も行っています。

BMWのコンパクトカーブランドである「MINI」では、自動車の内外装のパーツを顧客が自由にカスタマイズして注文できる「MINI Yours Customized(ミニユアーズカスタマイズ)」というサービスを2018年から始めました。日本には導入されなかったサービスですが、顧客が指定したインテリアなどのデータを、3Dプリンターで正確に再現できる技術です。また、発注から手元に届くまでの期間がわずか5週間と、リードタイムの短縮も実現しています。

※現在「MINI Yours Customized」のサービスは終了しております。

Yuniku(ユニーク)

眼鏡用レンズ製造の「HOYAビジョンケア」と、眼鏡のデザインを手がける「フート・デザインスタジオ」、積層造形の分野で活躍する「マテリアライズ」の3社が合同で開発したオーダーメイド眼鏡製造用システムです。

システムの製造工程としては、フート・デザインスタジオが提供するフレームを顧客が選択し、3Dスキャンで顔の形状を再現する3次元モデルを生成します。次に、3Dスキャンで生成した顔の形状から最適なレンズ位置を設定し、フレームデザインを顧客の顔に合わせて自動調整していきます。最後に眼鏡着用時の外見をシミュレートで表示し、色やフレームの形状を微調整していく流れです。

システムを開発したことで、顧客ごとに最適なデザイン性や快適性を備える眼鏡を販売できるビジネスモデルが確立されています。

まとめ

まとめ

今回の記事では、マスカスタマイゼーションが注目されている背景について紹介しました。生産コストの削減を目的とした大量生産と、顧客満足度の向上を目的とした受注生産の両立を実現させるマスカスタマイゼーションは、顧客ニーズの多様化への対応や市場製品価値の低下の回避といった理由から注目されています。ただし、取り組みを実現させるためにはテクノロジーが必要になることを覚えておきましょう。

商品やサービスの価値を求める時代の市場競争を勝ち抜くために、マスカスタマイゼーションの取り組みを実践していきましょう。

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