ネットワークエンジニアとは?必要な素質やスキルなどを紹介
インターネットが家庭や企業に普及するとともに、ネットワークエンジニアという職業が生まれました。近年の「働き方改革」から多様で柔軟な働き方が求められるようになったこと、またコロナウイルス流行のために従来の働き方から「テレワーク」が増えたことにより、この職業の需要が高まっています。
この記事では、ネットワークエンジニアの仕事や資格などをみていきましょう。
ネットワークエンジニアとは
ネットワークエンジニアとは、ネットワークの構築から保守・管理・運用までを行う技術者のことを指します。家庭や企業で使用するパソコンやその他の電子機器同士をつなぎ、安全かつ快適に使用できるように通信環境を整える仕事です。ネットワークがつながらないトラブルが発生した場合には、緊急で出向する迅速な対応が求められます。
仕事内容
ネットワークエンジニアの仕事には4つの段階があります。
・ネットワーク設計
依頼者がどのようなシステムを求めているかヒアリングしたり内容を提案したりしながら要件をまとめ、ネットワークの構成・使用する機器の種類や数・使用する回線などを決定します。ネットワークエンジニアは「要件定義書」の内容に準拠して製品の特性や導入事例などを参考にしながら、設計を行います。また、回線費用の維持コストや構築までのスケジュールを決定するのもこの段階です。
・ネットワーク構築
設計書をもとに機器や回線の設置、ソフトウェアのインストール作業や各種設定作業を行います。構築するネットワークの規模により必要な時間は変わりますが、複数の拠点を結ぶ場合は数ヶ月わたって作業を行うこともあります。また、運用に移る前に構築後のテストも行います。
・ネットワークの監視・運用・保守
構築後のシステム維持と管理を行います。障害が起きた場合に対応できるように、トラブルの状況や周囲に与える影響など、全体を見る視野と幅広い知識が必要です。
また、機器の設定変更や構成変更を行うほか、機器の交換を行って円滑なネットワークを維持する力が求められます。利用者のトラブル対応のために、ヘルプデスクのような仕事を兼任する場合もあります。
システムエンジニア・サーバーエンジニアとの違い
ネットワークエンジニアの仕事が各機器をつなげるためのネットワークの構築・運用であるのに対して、システムエンジニアはシステムやアプリの設計・開発を役割としています。
また、サーバーエンジニアは、サービスや機能を提供するサーバーの構築・運用・点検をする職種です。このサーバー同士をネットワークでつなげるのが、ネットワークエンジニアの仕事であるといえます。
平均年収
平均年収は、実務経験や資格の有無に応じて異なります。年収を調査した2021年2月時点の情報によれば、20代では300万円~400万円代、30年代では500万円~600万円代、40代では600万円~700万円代と推移しています。管理職に就くことで700万円~800万円代の年収を得ることが可能なケースもあり、エンジニアとしての十分な実績と関連諸資格の有無によって給与が変わってくる職種です。
また、働く企業の規模が大きいほど、より平均年収は上昇する傾向にあります。近年では外資系の企業やフリーランスで働くエンジニアにおいて、年収1,000万円を目指すことも不可能ではありません。
ネットワークエンジニアになるためには
ネットワークエンジニアになるために必要なスキルや能力、資質はどのようなものでしょうか。
求められるスキル
ネットワークエンジニアに求められるのは、「TCP/IP」という「通信プロトコル」や、「ルーティング」と呼ばれる「パケットに関する経路制御機能」の設定方法、「WAN」「LAN」「IP」などのネットワークに関する知識です。また、ネットワーク機器に関しては「ルータ」や「スイッチ」「ブリッジ」、「VLAN」「IP」、「DMZ」などの設定方法、実際の物理的な設定作業の技術が必要です。
さらに、「ファイヤーウォール」や「IDS」「IPS」などのセキュリティに関した知識も必要です。仕事内容には専門的知識のないクライアントからのヒアリングや状況説明が必要なため、コミュニケーション能力や説明能力・調整力は欠かせません。
向いている人材
ネットワークエンジニアは、コンピューターや周辺機器に対する興味を持ち続け、常に知識をアプデートする姿勢が求められます。また、あらかじめ周到に対策を講じても、何かしらのトラブルは発生するものです。そのため、不測の事態にすぐに対応できる柔軟性が必要です。
ネットワークエンジニアにおすすめの資格
ネットワークエンジニアにおすすめの資格は主に4つあります。
シスコ技術者検定
民間資格「シスコ技術者検定」の1つ「CCNA」とは、ネットワーク関連機器メーカーとしては世界最大手の「シスコシステムズ社」が実施する資格です。取得することにより同社の製品やネットワーク構築・運営・トラブル対応などの技術や知識を証明することができます。
「CCNP」とは「CCNA」の上位資格で、さらに大規模のネットワーク設計・構築・運用・保守の能力を証明するものです。まず「CCNA」を取得することが「CCNP」受験の条件です。
ネットワークスペシャリスト試験
「ネットワークスペシャリスト試験」とは、「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」のさらに上位に位置する国家資格です。取得することにより、ネットワークエンジニアとしてネットワークの構築から保守まで全てを担うことができるスキルを備えていることを証明できます。
難易度が高く、突破するには実務経験に基づいた専門知識の見直し、記述試験に備えた勉強が必要です。
情報処理安全確保支援士試験
「情報処理安全確保支援士試験」とは、「ネットワークスペシャリスト試験」と同様、ネットワークエンジニアとしての高難易度国家試験です。取得することにより、「サイバーセキュリティ対策」のスペシャリストであることの証明となります。
ITパスポート試験
「ITパスポート試験」とは、経済産業省所管の独立行政法人である「情報処理推進機構(IPA)」が認定する国家資格で、ITに関した基本的知識を証明するものです。IT関連知識・経営戦略・マーケティング・財務・法務・プロジェクトマネジメントを含めた総合的なIT知識を問う、エンジニアのみならず一般の人をも対象にした資格です。
ネットワークエンジニアのキャリアパス
ネットワークエンジニアは、大きく分けてジェネラリストとスペシャリストという2つの立ち位置に分かれます。
ジェネラリスト
プロジェクト全体を管轄するジェネラリストは、プロジェクト全体をマネジメントするリーダーを目指すことができます。クライアントとの交渉を行ったり、作業を行うチームの編成をしたり進捗管理などを主な仕事とします。そのため、コミュニケーション能力や調整力・プレゼンテーション能力など、高い対人スキルが必要です。
スペシャリスト
技術者を意味するスペシャリストは、エンジニアとしての実務経験を積み各種分野を1つずつ極めながらスキルの幅を広げることを求められています。ただ、上下関係としては、上流工程を任されるジェネラリストの下にスペシャリストが位置する関係性が通例です。
まとめ
今回は、ネットワークエンジニアの仕事内容や役に立つ資格・キャリアパスなどについて解説しました。ネットワークエンジニアになるためには多くの知識と専門技術が必要ですが、関連資格の取得を通して身につけることも可能です。
また、ネットワークエンジニアは、経験を積んで専門性を突き詰めていくことで、キャリアアップと年収上昇が見込めまる職種です。興味のある方は、ぜひネットワークエンジニアとしての一歩を踏み出してみてください。
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