AIエンジニアとは?業務内容やなるために必要な知識・スキルを徹底解説!
AIは私たちにとって、もっとも身近な最先端技術といえるでしょう。家電にすら当たり前のようにAIを搭載する時代です。今や誰もがその恩恵を受け、利便性や将来性について認識しています。そんなAI関連の仕事のなかでよく耳にするのが「AIエンジニア」です。AIの将来性を考えると需要・年収ともに高そうな職業ですが、名前をよく聞く一方で、実際に何をする職種なのかは分からないという方は多いのではないでしょうか。この記事ではAIエンジニアの業務内容や、仕事に就くために必要な知識・スキルについて解説していきます。
AIエンジニアとは
AIエンジニアとは、人工知能の開発に携わる技術者のことです。AIを開発する仕事をするのは科学者も同様ですが、科学者が「理論を作成」することに重きを置くのに対し、AIエンジニアは「理論の実装」に重きを置きます。AIエンジニアの主な仕事として「機械学習」があります。機械学習とはAIにデータを与えて処理させることで、AIを教育することです。AIは、機械学習により、いちいち指示を下さずとも自律的に命令をこなせるようになります。
AIエンジニアの魅力・やりがい
現在、先端技術にAIは欠かせません。そのため、AIエンジニアは業務を通じておのずと新しいテクノロジーに触れる機会が多くなります。「ビッグデータ」や「ロボット」などの最先端技術と近い位置で仕事ができることもAIエンジニアの魅力の1つといえるでしょう。実利面でも各企業で需要が高く、腕の良いAIエンジニアはどの企業でも引っ張りだこです。実際に、アメリカの大手企業では優秀なAIエンジニアに数千万~数億円の年収を支払うケースもあります。技量次第でいくらでも高収入が狙えるのもAIエンジニアのやりがいといえるでしょう。
AIエンジニアの業務内容
AIエンジニアの業務内容は、機械学習などのAI開発です。ここでは、具体的にどのような業務があるか説明していきます。
リサーチ業務
最新技術に関わる研究や論文のリサーチは、AI開発で非常に重要視される作業です。AI分野は日々、飛躍的な進歩を遂げています。そのため、AIエンジニアは情報を集めることで常に最新技術を網羅し、それを踏まえたうえで研究をしていかなくてはなりません。
企画
これから新しく開発するAIをどのようなものにするのかを企画、考案する業務です。AIで可能なこと、AIで解決したいことなどを整理したうえで企画を練ります。一般企業においてAIを企画する場合にはビジネス目的でAIを活用するため、ビジネス上でどのようなプラス効果が得られるのかという視点も大切になります。企画の仕事では、AIの専門的知識を持たない相手にAIの活用法を伝える業務もあるため、営業力や提案力も問われます。
AIシステムの開発
Pythonなどに代表されるプログラミング言語を利用し、ベースとなるAIシステムの構築を行います。この時点では単なるシステムにすぎず、AIとして機能させるためにはデータを注いで学習を深めさせる必要があります。
AIの学習
AIを学習させるためには、一般的に「トレーニングデータ」「開発データ」「テストデータ」の3つを揃える必要があります。また、機械学習に使うデータはそのままでは使えないことが多く、データクリーニングなどの「前処理」が必要です。学習に必要となる最適なデータを集めて、欠損や傾向を把握し、Pythonライブラリや分析ツールを用い可視化したデータの特徴を掴むことも、重要な業務の1つです。
そして、準備した学習データをもとに「未知のデータ入力がなされた時に結果を予測できるようなロジック」を構築し、AIに一定のモデルを学習させます。
テストと評価
学習を終えたAIに対して期待通りの動きをするか、間違った動作はないかなどをテストし、性能を評価します。たとえば、検索エンジンで用いるAIである場合、検索ユーザーの求める検索結果が上位にくるかをテストします。また、会話型AIであれば、期待する会話応答やコミュニケーションなどができるかをテストします。AIは、最初からすぐに期待した機能をするとは限りません。想定した動作をしない時には再び学習を繰り返し、その都度性能をチェックしながら精度を高めていきます。
IT・Webエンジニアなど関連職種との違い
IT・Webエンジニアがクライアントの依頼に則ったシステムを構築する一方、AIエンジニアはAIの性質を理解することでAIを学習させ、利益に繋げることを模索します。そのため、AIエンジニアは、クライアントにAIのビジネスでの活用方法を提案することもあります。
AIエンジニアに向く資質とスキル
AIエンジニアはデータ構造やアルゴリズムを扱うため、物事を理論的に考えられる人に適性があります。ITエンジニアで文系出身の人は珍しくありませんが、AIエンジニアの場合はほとんどが理系出身の人で占められています。これは、ITエンジニアが仕事で高等数学を使わないのに対し、AIエンジニアは機械学習で「線形代数」「微分積分」「統計」などの高等数学を使うことが必須となるためです。
また、AI分野の発達は日進月歩です。新しい情報に目を向けていないと取り残されてしまうため、常にAI分野に興味を持ち続けなければなりません。AIという分野でずっと勉強していく意欲を持ち続けられることも資質の1つとして挙げられるでしょう。ここからはAIエンジニアになるのに必要なスキルである「プログラミング」「数学知識」「インフラ・クラウド」について解説していきます。
プログラミングのスキル
AIエンジニアの業務には、機械学習やAIの構築・修正などのプログラミングスキルが必要です。また、基本的なプログラミングスキルのほか、AI技術と相性の良い「Python」というプログラミング言語への理解も不可欠となります。Pythonが重要視される理由としては、以下の点が挙げられます。
・人工知能に利用できるプログラムがライブラリで数多く提供されている
・構文がシンプルで読み書きしやすい
・関連書籍や記事など学習素材が豊富
Pythonは初心者から熟練者まで幅は広く使用され、アメリカでは大学のプログラミング初等教育でも頻繁に用いられている使用率トップクラスの言語でもあります。AIエンジニアを目指すなら、基礎としてPythonを習得しておくのがおすすめです。
数学や統計のスキル
AIエンジニアと数学は切っても切れない関係です。特にAIにデータを区分させる「線形代数」、データ処理の誤差を少なくする「微分積分」、解を導き出す「統計」はAIエンジニアの仕事をするにあたって必須の知識となっています。分かりやすい例としてはチェスのAIが挙げられます。チェスのルールや動きを担当するのがプログラムですが、そのプログラムがどのような手を打つか決めるのは統計によるデータです。統計の精度の高さがAIの動作を左右するため、AIを自律的に動かすには統計など高等数学を熟知している必要があるのです。
インフラ・クラウド関連のスキル
AIが精密に動作するには、システムインフラの整備が必須です。開発環境は、システム・データ、ストレージの拡張性確保や処理性能が最適であることが求められるため、AIエンジニアは、実行環境となるAzureやAWS(Amazon Web Service)といったクラウドサービスの知識も必要です。また、これらのシステム構築は上流工程で行われるため、スキルだけではなくAIエンジニアとしての経験とシステム全体を見渡せる広い視野が求められます。
まとめ
AIエンジニアに求められるスキルは高度なものが多く、ハードルの高い職種です。数学・理論に秀でた人物でなければスキルの習得が難しいことに加えて、AIの進化に合わせて自身の知識を常にアップデートしていかなくてはなりません。一方で、その需要と将来性は非常に高く、収入に関しても実力次第でいくらでも高収入が狙えます。また、シンプルに技術力が評価される点も魅力的でしょう。求められる能力水準が高く狭き門ではありますが、その努力に見合うだけのやりがいと見返りがある仕事といえます。
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