ビジネス誌やニュースの中で「ニューノーマル」という言葉を目にする機会が増えています。
そこで今回は「ニューノーマル」という用語について掘り下げて解説していきたいと思います。
そもそもニューノーマルとは
新しい状態がいきなり出来上がること
ニューノーマルを直訳すると、「新しい標準」です。ニューノーマルは日本語では「新状態」と言われます。
体感としては、「新しい状態がいきなり出来上がること」がニューノーマルと言えるでしょう。
これからは、「新しい状態がいきなり出来上がること」が度々起こってくる可能性があるため、ニューノーマルを見据えていないと、常識を踏まえることができず、ビジネスやプライベートで大きな痛手を受けることになります。
そして、ニューノーマルには大きく分けて5つのタイプに分けることができると言えます。
ニューノーマルの5つの種類
ニューノーマル1:ノーマルの陳腐化
ノーマルが陳腐化し、単に既存のノーマルだったものでは不都合が多くなることを意味します。
新しいノーマルが明確に確立されているわけでなく、自分自身で試行錯誤し、折り合いをつけ、活路を見いだす必要があります。
コロナで緊急事態宣言が出されたフェーズでは、ノーマルが陳腐化し、不都合と闘う過渡期と言えるでしょう。
ニューノーマル2:ノーマルの多様化
ノーマルが単に増え続けて、たくさんのノーマルが増え続けるのもニューノーマルの一つ言えるでしょう。
要は、全員が同じような一般的な道を歩んでいくような太いマジョリティが無くなり、一人ひとりが独自の道を歩むことが求められるような世界へどんどん変化していくことです。
ノーマルが多様化すると、組織間、世代間、異性間など、他人を理解することがとても難しくなっていきます。
昔は問題視されなかった価値判断に対して、今では何でもハラスメントが強くになったものも、ノーマルが多様化し、誰かのノーマルと誰かのノーマルがぶつかりやすくなっているからです。
ニューノーマル3:マイナーとメジャーの逆転現象
これまでマイナー視されていたものが、メジャーと一気に逆転するようなタイプもニューノーマルの一つでしょう。
例えば、経済産業省による『我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備』という報告書では、
個人によるインターネット利用時の端末に関する統計データである。この数年スマートフォンの利用が急激に拡大し、2017 年は59.7%とパソコンを逆転している
となっています。これはデジタルデバイス理由のマイナーとメジャーの逆転と捉えることもできるでしょう。
その結果、Web制作の世界では「モバイルファースト」という制作手法が常識の一つになっています。
ネット上の動画コンテンツでは、パソコンデバイスを中心にした世界では、Flashがメジャーといっても過言ではありませんが、今Flashでコンテンツを作るクリエイターは確実にマイナーと言えるでしょう。
ニューノーマル4:アブノーマルのノーマル化
アブノーマルというとやや危ない表現のように聞こえますが、このように一見理解しがたいものですら、常識の一つとして考えるべき時代に突入しています。
異常であることは、「通常ではない」「普通ではない」ということではなく、「自分が理解できていない1つの新状態に過ぎない」と捉え直すということです。
ニューノーマル5:ノーマルそのもののサイクルの変化
これは、VUCA(ブーカ)という概念と一緒に考えると分かりやすいでしょう。
VUCA(ブーカ)は、 「Volatility=変動的である」、「Uncertainty=不確実である」、「Complexity=複雑性である」、「Ambiguity=曖昧である」の頭文字を取って、時代を表現した言葉です。
要はこれからの時代は、より変動が大きく、より不確実かつ複雑で、不透明な中を生きて行く必要があるということです。
このことから、常識が出来上がるサイクルも非常に短期間で大きな変動を繰り返していくことが予想されていくでしょう。
このVUCAの逆を行くのが、日本の従来の雇用制度と言えるでしょう。新卒一括採用で1つの会社に数十年と変わらずに働き定年を迎えることはかなり非VUCA的です。
その結果、経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は、2019年5月7日の定例会見で、終身雇用を「終身雇用を前提にすることが限界になっている」と発表しました。
トヨタ自動車の豊田章男社長は、2019年5月13日日本自動車工業会の会長会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい」と発表しました。
ニューノーマルを生き抜く秘訣
どうすれば、ニューノーマルに対応できるのか?
ニューノーマルに対応し続けるビジネスパーソンになる秘訣は、日常的に変化や挑戦を取り入れながら試行錯誤することに他なりません。
この点から言えば、不安定さを手の平で転がしながら生活している起業家やフリーランスの中には、ニューノーマルの不安定さを有難いとすら感じているでしょう。
毎日同じことをして稼ぐよりも、複数の状態の中で、複数のキャリアをこなしていたほうが、ニューノーマルに追従しやすいかもしれません。
1つのノーマルに依存して他の行動が主体的に取れないような状態は避けるべきだと言えるでしょう。
明日仕事をクビになったり、今の職種が消え去ったとしても、自分が出せるカードが何枚もある状態にしておくと、ニューノーマルの変化は自分にとって朝日が昇って、夕陽が沈むぐらいの変化になっているでしょう。
会社に組み込まれて1つの機能を担うのではなく、自らワンストップでサービスや商品を提供できるようなメニューが増えれば、経済活動のセルフコントロール力も高まるでしょう。
雑多的でかつ1つ1つを掘り下げていく、これはとても煩わしいことかもしれませんが、その煩わしさがニューノーマルのリスクを大いに下げることに繋がっていくでしょう。
特に日本では、新状態へ先陣を切るようなことをすれば、自分自身の価値を一気に高められるかもしれません。ぜひ、今回の記事も参考にしてみてください。