社内コミュニケーションの悩みは企業によって千差万別です。社内ではそこそこの会話はあるものの、一体感を強く感じられるほどのコミュニケーションはできていないと悩んでいる企業もあるでしょう。
もっと深刻なケースでは、優しく声を掛けてもダメ、答えやすい質問を心掛けても答えてくれないという社員を抱えている企業も存在します。
そこで、今回は、社内のコミュニケーションを活性化させるために簡単に導入できる方法・施策を5つお伝えしていきたいと思います。
方法1:身体運動で同調する時間を増やす
心を開かせるにはまず「身体」から活性化させる
多くの人は、社内コミュニケーションを活性化させようとする時に、「会話の仕方」「コミュニケーションの取り方」に注目すると思います。
しかし、それよりももっと先にやるべきことがあります。それが社員同士の身体的同調を増やしていくことです。
身体的同調とは簡単に言えば「一緒に体を動かす」ことです。最も定番なものには「ラジオ体操」があるでしょう。
しかし、ラジオ体操は、朝礼時のような仕事の本格的なスタートの前に行う企業が多いと思います。それよりも、身体的同調は、仕事にきちんと取り組んで、社員がオンモードになってから取り入れるべきです。
例えば、昼過ぎに簡単な振り付けのダンスをするのも良いでしょう。社員同士でカラーボールでキャッチボールをするもの良いです。
運動はスポーツである必要はなく、「じゃんけん」でも構いません。とにかく、体を一緒に動かすという時間を増やすことによって、後々のコミュニケーションがとても取りやすくなるのです。
身体運動をしている際は特に会話をする必要はありません。第24回日本健康心理学会で発表された「音楽と身体接触を活用した運動が心理状態と対人関係に及ぼす効果」では、身体的接触を増やすことで、相手に対する認知が肯定的にあり、心理的距離が近づき、実際に対人距離が短縮し、積極的に対人行動が増加することが確認されたとしています。
方法2:社内アンケートで自己開示を流す
「喋る」ではなく「書く」を促せば、活性化する
社員のコミュニケーションを促そうとして、会話を引き出そうと努力するのは構いませんが、もっと広い視野で人間心理を捉えると、社内コミュニケーションは活性化しやすくなります。
そこで、使えるのが社内アンケートです。定期的に社内アンケートを取るわけです。アンケートの内容は他愛もないことで構いません。
趣味・好きなこと・ハマっていること、おすすめの映画・最近行った旅行先など、本当に何でもいいのです。そうした他愛もない質問項目の中に、「最近一番うれしかったこと」「最近一番怒ったこと」など、感情の揺れを開示するような質問を聞くとさらに良いです。
こうしたアンケートに社員が答えること自体に「自己開示効果」があります。つまり、アンケートによって、社員は「自分を少しずつ開示していく」ことを自然に行っているのです。
アンケートの集計結果をミーティングなどで伝えると、自分の意見や内容が僅かに広がった感覚を覚えます。アンケートに対するコメントを求めるなどするのも良いでしょう。
単に質問に答えるアンケートに社員全員が慣れてきたら、社員から社員への個別質問コーナーを設けるようにすると良いでしょう。
会話の時間軸や反射神経では自分の気持ちを上手く吐きだせない社員も、「書く」というスタイルなら、自分の本音をすっと開示できるというケースもあります。
方法3:本業とは無関係なシュミレーションゲームを行う
仕事を度外視できれば、心は活性化する
シュミレーションゲームなら、仕事や業務における力関係が発生しないという安心感のもと全員が取り組める可能性が高くなり、本音が自然に開示されやすくなります。
例えば、ボードゲームにしても、ゲーム研修で使用されるお仕事ボードゲームを活用すると良いでしょう。
飲みニケーションなど、社外で打ち解け合うコミュニケーションが社員にとってハラスメントになる時代ですから、業務の一環として、業務内の時間にシュミレーションゲームを定期的に行うことによって、新たな関係、より深い関係を築いていくことができるようになります。
営業やプレゼンテーションのロールプレイをするときも、仕事の色合いを削ぎ落してゲーム性を高めるような機会をたまに取り入れてみるのも良いでしょう。
仕事や業務に対する自尊心や自己肯定感や自己否定感などによって、なかなか本音を開示しにくい社員、遠慮がちな社員にはシュミレーションゲームは効果的です。
シュミレーションゲームでは性格スキルやマインドが強固なのに、仕事では弱気な社員がいることが分かれば、その社員がより強固なマインドで業務に取り組むためのヒントを見つけることができます。
最後に:社内コミュニケーション活性化は会社の財産である
打ち解け合って上手くいく方が社員にとっても良い
社内コミュニケーションを活性化させる3つの方法を解説してきました。どれも再現性が高い施策です。
社内コミュニケーションを活性化させるためには、社員が会社で自分の心をアクティブにすることを心地良いことだと思わせる必要があります。
どんなにこちらが親切なアプローチを取ったとしても、社員のマインドが硬直し、「私はこの会社で自分をさらけ出すことはサムいことだ!」と認知していれば、コミュニケーションを活性化させることはできません。
だからこそ、身体的運動で全員が同調するところから始めなければいけないのです。コミュニケーションの問題というのは、会話以外の要素を改善することから始めるほうが、うまく舵を取れることが多いと感じています。
ぜひ、今回の3つの施策を社内に取り込んで、社内コミュニケーションを活性化させてみて下さい。