「損失回避の法則」:なぜ、人の損失回避欲求は高いのか?

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「損失回避の法則」:なぜ、人の損失回避欲求は高いのか?
COLUMN 2020.4.22

「損失回避の法則」:なぜ、人の損失回避欲求は高いのか?

損失回避の法則とは?

損した時の恐怖は喜びよりも2.25倍も大きい

損失回避の法則とは、人間は「得をすること」よりも「損をしないこと」を選んでしまうという法則です。

損失回避の法則を後押したのが、2002年ノーベル経済学賞したダニエル・カーネマンが行った実験です。

この実験により、「確率が既知の状況下」で、人は目の前に利益があると、

利益が手に入らないというリスクの回避を優先

損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする

という傾向が分かりました。

この実験は行動経済学の代表的な成果と言われ、プロスペクト理論とも呼ばれています。プロスペクトとは、「prospect」、見込み、予測、見晴らし、期待などを意味します。

では、なぜ、人は損失を回避したいと思うのか?

理由1:損失回避と現状維持バイアス

現状維持バイアスとは、「大きな変化や未知を避け、現状を維持したくなる心理効果」を意味します。

大きな変化や未知に向き合うには、脳に大きな負担を強いることになります。そもそも人間の脳はシンプルで居られることを望みます。

また、既存の自己像や自分の価値観を否定し、変化や未知へ飛び込む必要もあります。自己否定感を募らせ、自尊心を下げる行為に対して人は回避行動を取ります。現実逃避は、一気に請け負う自己否定感が過剰になってしまうからこそ、起きてしまうのです。

理由2:損失回避と闘争・逃走反応

人間の長い歴史の中で遺伝的に組み込まれているのが「闘争・逃走反応」です。この反応は、脅威と感じたものに対し、「戦うか」「逃げるか」と瞬時に判断を下す反応です。

狩猟をしていた際の人間は、獲物や動物を目の前にすると、瞬時の判断を下す必要がありました。そして、狩猟の人間の生活は、ストレスが短時間に一気に跳ね上がり、それ以外は低ストレスな生活を送っていました。

今のデスクワークのようにずっとストレスにさらされるわけではなかったため、この「闘争・逃走反応」が人間に備わっているわけです。

現代の生活における脅威に対しても、「闘争・逃走反応」で反応してしまいます。

その際、現代の逃走は、過去の逃走と類似しています。勝負しなければいいわけです。

しかし、現在の闘争はあまりにも手法や選択が多いですよね。「目の前の敵をやっつける」と言っても、狩猟時代とはまったく違います。

このため、現代人はそもそも「どんな闘争をしていいのか」を明確に予期できないのではないかと思います。

一方、起業家などでチャレンジングに何度も成功体験を重ねていくと、より瞬間的に、新しいチャレンジに対しても「闘争方法」が浮かんでくるため、積極性を出せるのでしょう。

理由3:損失回避と悲しみの持続時間

損失回避とは「悲しみを持続させたくない欲求」と関与していると考えられます。

ベルギーにあるルーヴェン大学のフィリップ・ヴァーダイン教授とサスキア・ラブリセン教授が学生233名に対して行った研究では、喜びの持続時間が35時間だったのに対して、悲しみの持続時間は120時間であることが分かりました。

その他、憎しみが60時間、絶望・希望・心配・失望が24時間、満足が24時間、嫉妬が15時間と、いずれも悲しみのように大きな持続時間を示しわけではありません。

損失回避とは、ネガティブ回避の中でも、とりわけ「悲しみを避けたい」という欲求に由来していると考えることもできます。

損失回避性と日本人気質

日本人は損失回避欲求が強い

日本人の気質と言えば、何を思い浮かべるでしょうか?

・内向的
・恥の文化
・同調圧力
・平均思考

などをよく耳にするかと思います。日本社会そのものが、損失回避欲求がそもそも高いように思えます。

これからますます損失回避の法則は強まる

一発アウト時代と損失回避

インターネットやスマートフォンなどのテクノロジーによって、失敗が勢いよく流布し、デジタルタトゥーとして色濃く残る時代になりました。

こうした世の中は、「一発アウト時代」「一発退場時代」「レッドカード一発退場の時代」などと呼ばれています。

これからますます私たちの損失回避欲求は高まっていくでしょう。

最後に:人にとって、何が損失回避になるのかを深慮しよう

他人の損失回避欲求を知ることは仕事に大きく活きる

以上、損失回避の法則について、独自の見解も交えながら掘り下げて解説してきました。

行動経済学の分野では、自社の製品をセールスする際に、潜在顧客(ターゲット層)が抱えるリスクを煽り、そのリスク回避を実現する一つに自社製品を勧めるライティングを勧めるものもあります。

ランディグページなどでは定番で、情報商材などは、あまりにもリスク回避欲求を刺激し、潜在顧客の現在を痛烈に否定するものもあります。

セールスのうえでは、相手がどんなことを「損失」と見なすのかを知ることができれば、より相手へ伝わる営業トークやプレゼンテーションが可能になります。

損失回避を別のエネルギーに変換するのが上手な人もいます。特に成功する起業家は、「自分がサラリーマンでいることがあまりにも損失だ」と自認し、「起業するしかなかった」という強いエネルギーに転換させている人は少なくありません。彼らにとって、起業はリスクではなく、当然の行動選択というのも面白いですよね。

ビジネスコミュニケーションやマーケティング施策で、「他人の損失」を分析すると、大きな手掛かりを得られるはずです。ぜひ、今回の記事も参考にしてみてください。

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