クリエイターに好かれるWebディレクターの脳科学的5つの特徴
クリエイターに好かれるということの本質
Webディレクターに好意的なクリエイターとは
Webディレクターとしては、プロジェクトを通してクリエイターから好かれるに越したことはありません。
Webディレクターに好意的であるということは、プロジェクトそのものに好意的であることを意味します。
つまり、クリエイターのパフォーマンスが高くなるのです。
Webディレクターにクリエイターが好意的であるとき、ストレスホルモンであるコルチゾールが低レベルに、報酬系であるドーパミンが高レベルに保たれます。また、幸せホルモンであるオキシトシンが豊富に分泌され、精神バランスに関わるセロトニンが高レベルで安定し、心と脳が生き生きとし、クリエイターが自身の力をより十二分に発揮してくれるのです。
そこで、今回は、脳科学の観点からクリエイターに好かれるWebディレクターの特徴についてお伝えしていきたいと思います。
特徴1:ステータスを引き上げる
クリエイターに好かれるWebディレクターは社会的地位の向上感を与える
Webディレクターと仕事をする中で、クリエイター自身がステータスの向上を感じられることは、クリエイターにとって仕事への大きな安心感や快感となり得ます。
ステータスの高まりを感じると金銭よりも大きい報酬の感覚が得られ、逆にステータスの低下を感じると命が危険にさらされているように脳は感じます。ステータスは脳にとって、一次的報酬にも一次的脅威にもなるのです。
Webディレクターが自分の立場を利用し、クリエイターを雑に扱いすぎると、クリエイターはステータスへの脅威反応を示します。
すると、ストレスホルモンのコルチゾールが血中への大量に放出されたり、明瞭な思考を妨げる感情的な部位である大脳辺縁系へのリソースの流入が生じたりして、クリエイティブな発想を妨げてしまいます。
Webデザイナーやライターの案に対して、修正すべき点があった場合、修正点だけを簡潔に述べるのでなく、彼らのクリエイティブがいかに社会的に優れているか、もしくは、社会的により大きな可能性があることを伝えるようにしましょう。
要はどんな時もクリエイターのステータス向上に繋がる要素を会話に含めるべきなのです。
あなた自身が社会的に優れたWebディレクターだとクリエイターが認知しているのであれば、あなたが何度でもいいので褒めることが、クリエイターのステータス向上になるでしょう。
特徴2:確実性を強く認識させる
クリエイターに好かれるWebディレクターは不確実な不安を与えない
脳は未来のための回路をほとんど持ちません。それは、電気的刺激は既存の経路を通る可能性が高いからです。
だから、私たちは過去に捉われます。過去は確実にあった不確実性がゼロの出来事だからです。
ライターやWebデザイナーに対して、Webディレクターが明確な道順ややるべき作業を示し続けることは非常に大事なのです。
これは、修正指示における現場で大いに役に立ちます。
難しいプロジェクト、難しいクライアントだとクリエイターが感じると、一気に不確実性が増します。修正が多くなればなるほど、クリエイターは確実性を感じることができなくなります。
そんな時に、Webディレクターが次の修正がどのように転べば、上手くいき、あと何回で確実に終わるのかを示してくれれば、クリエイターは非常にWebディレクターに好意的な態度を示すようになります。
クリエイターのパフォーマンスを高める観点から言えば、Webディレクターはクライアントに対しても、プロジェクトに対して確実性のある取り決めをしておく必要があるでしょう。
特徴3:自律性を最適な度合いにする
クリエイターに好かれるWebディレクターはコントロール感を与える
自律感は報酬や脅威の大きな決定要因となります。コロラド大学ホルダー校のスティーブン・マイヤーによると、回避もコントロールもできないストレスは破壊的な影響をもたらし、同じストレスであっても回避可能だと感じることができれば、その影響は大幅に軽減されるとしています。
Webディレクターからの指示やコミュニケーションによって、与えられた仕事の自律性(コントロール感)が強く成れば、クリエイターはWebディレクターを信頼していきます。
また、クリエイターが好む「自律性」の度合いには個人差があります。ある程度の決まりがあったほうが自分らしく仕事に取り組めるクリエイターもいれば、ある程度自由に任せてもらったほうが自分らしく仕事に取り組めるクリエイターもいます。
クリエイターに合わせた自律性を最適な度合いすれば、クリエイターとWebディレクターはお互いに同調している感覚になり、関係は好意的に発展していきます。
特徴4:つながりを強化する
クリエイターに好かれるWebディレクターは連帯感を与える
脳は誰かを味方と判断した場合、自分の経験を考えるときと同じ部分の脳を使ってやりとりを処理します。
相手を味方と判断すると、ポジティブな情動反応も生じて、ワーキングメモリに新しいアイデアを保持できる余分なスペースが生まれます。
つながりを強化できるWebディレクターは、プロジェクトに直接結びつくこと以外のたくさんのことをライターやWebデザイナーと共有します。
人は自分の思考、情動、目的を他者と共有するとき、喜びの科学物質であるオキシトシンが放出されます。これは安心できるつながりを感じたときの神経化学作用です。
つながりを強化するためには、お互いの深い価値観を開示し合うことです。そして、クリエイターの価値観を尊重することです。相手が大切にしている価値観を強く理解すれば、つながりは自然に強くなっていきます。
特徴5:公平性を保つ
クリエイターに好かれるWebディレクターは道理が通っている
公平感は、それ自体が強い報酬反応を生み出し、不公平感は何日間も続く脅威反応を生み出す場合があります。
人は不公平感を感じると、感情的な部位である大脳辺縁系が強く興奮するからです。
不条理な対応を受けて、何日間もモヤモヤしたり、苛立ったりしたことはないでしょうか?
公平性とは、完全なる相手からの態度によるものです。特に指示を仰ぐだけの立場の場合、後々公平性を主張することはできても、最初は完全に提示された公平性に受け身になるしかありません。
クリエイターに好かれるWebディレクターは、会話の語調から、指示の出し方までに気を配り、クリエイターに公平な対応を受けているという感覚をきちんと与えることができます。
最後に:SCARFモデルを意識してクリエイターと関わろう
クリエイターに好かれるWebディレクターになるために
今回お伝えしたクリエイターに好かれるWebディレクターの特徴は、脳科学研究を用いて個人や組織のパフォーマンス向上を図る事を専門にするデイビッド・ロックのSCARFモデルを参考にしました。
SCARFモデルとは、「Status(ステータス)」、「Certainty(確実性)」、「Autonomy(自律性)」、「Relatedness(つながり)」、「Fairness(公平性)」が、脳のパフォーマンスにおける最重要項目を示したものです。
クリエイターに好かれるといっても、単に気に入られるだけではダメです。
今回ご紹介した、5つの要素を大事にクリエイターとの関わりを持つことができれば、クリエイターはプロジェクトで力を大いに発揮してくれやすくなります。
どんなクリエイターに対してでも、好意的かつ効果的にプロジェクトを進められるようなWebディレクターを目指していきましょう。
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