フレックスタイムとは、柔軟性がある(フレキシブルな)労働時間制のことを指します。労働者自身が日々の労働時間の長さ、開始時間、あるいは労働時間の配分を決定できる制度です。
労働時間に対して労働者に融通を持たせるのは、表面上はとても聞こえがいいと言えます。しかし、フレックスタイム制は本当にメリットがある労働制度なのでしょうか?
そこで、今回はフレックスタイム制のメリットについて掘り下げて解説していきたいと思います。
メリット1:ワークライフバランスの促進
多様性の時代、ダイバーシティの時代と言われる中で、企業が個人個人の多様な労働時間に対して寛容であることは、労働者に対してポジティブなアピールをすることに繋がります。
もはや、私たちは個人個人がフレックスな時間で過ごす中で、組織を成立させることが当たり前の時代とも言えるかもしれません。
これからの企業は、雇用者のワークライフバランスを保障できる存在でなければならないのです。
そもそも人が働く理由は、ライフにあります。ライフを最低限度の幸福、もしくは自分なりの拡張性を持たした幸福度を実現するために、「ワーク」があるとも言えるでしょう。
働きマンは「ワーク」そのものが「ライフ」になっているわけです。育児や介護を含めた様々なライフの事情に寄り添える点で、フレックスタイムにはメリットがあると言えます。
メリット2:時間によるモチベーションに寄り添える
人間とは環境によって、自分の個性すら変わってしまう生き物です。時間とは環境です。フレックスタイム制は、出勤時間や終了時間を選ぶことができます。
通勤ラッシュのストレスを強く感じていた人は、通勤ラッシュの時間帯を減らすことができます。
フレックスタイム制は、時間と言う要素が与えるモチベーションをよりよい方向に動かすことができるのです。
メリット3:優秀な人材の確保
優秀な人は、ライフの面でも、ワークの面でも、人気で多忙です。そのため、優秀な人が自分らしく過ごすことを考えれば、自分の時間に裁量権があることが望ましいと考えるのはごく自然なことです。
また、優秀な人はセルフコントロールが得です。なので、自分自身のことをコントロールできる権利を与えた方が、生き生きとポジティブに働いてくれる可能性があります。
優秀な人材を取り込む意味でも、フレックスタイム制であることには大きなメリットがあります。
メリット4:単なるフレックス制度を超えた、スーパーフレックス制度
最近では「スーパーフレックス制度」という言葉も登場しています。
スーパーフレックス制度は、従来のフレックス制度からさらに踏み込んで、働く時間や働く場所まで自由に自分で決められるという画期的な制度です。
これって突き詰めたら、フリラーンス的なマインドや動きの社員を「正社員」として扱うような契約ですよね。
ネットがまったく存在していない世界では、リアルを共にすることで、共同体の意味をなしていましたが、今はお互いがリモートワークな関係でも、組織を成り立たせることができます。
もちろん、身体的な動機や距離感が社員の生産性や幸福度を高めるという研究は存在します。
しかし、実質的には、リモートでフレキシブルな関係を組織内に持ち込むことは可能になっているのです。
スーパーフレックス制度は、賛否両論あるとは思いますが、組織として選択の一つとして常に持っておくべき手法だと言えます。
メリット5:始業のコントロール感が、事業のコントロール感に繋がる
身体や脳の疲労度によって、時間をスライドすることができます。人間は思いのまま生きると「フリーラン」と呼ばれる25時間の身体リズムを織り成します。つまり、毎日1時間ずつ生体リズムがズレるわけです。
それが24時間制だったり、周囲の環境で微調整され、なんとか24時間のリズムで生きているわけです。
そう考えると、ストイックな社員ほど、日々の生体リズムは遅れがちになります。それは身体的な回復が25時間仕様なっているからです。
フリーランの概念からすれば、ヒトはどこかでじっくり回復するべきです。週休5日制であれば、水曜や木曜日にフレックスで朝起きる時間を遅くすることで、日々ズレるであろうフリーランの疲労感を補える可能性があります。
朝の始業を遅くすることで、成績やパフォーマンスが上がるといった研究は多数存在します。
「朝の生産性は夜の残業の6倍」という言葉ありますが、これは、朝起きてから、自分の気力がみなぎっていることが前提です。
つまり、疲れている時は、ヒトはしっかり休むべきなのです。休息のコントロールができるフレックスは、自分自身がより主体的にパワフルな活動を取れるように仕向けるメリットがあるのです。
最後に:社員が自律的である企業ほどフレックスタイム制を取り入れるべき
情報刺激が増え、テクノロジーが増え、私たちの日々の選択性が増えるということは、それだけ考えさせられることが増えるということです。
主体的で自律的である社員であればあるほど、日々の様々な状況から様々なことを考えて組み立てていきます。
定められたワンパターンな時間帯に収めることは、固定された習慣を何も考えずに行えばいい分かりやすさはあるでしょう。
しかし、主体的で自律的である社員は、変動的に訪れるチャンスにコミットしたいと考えているでしょう。そのため、自分自身で時間を扱えることは、自分で主体的にチャンスを掴んでいくことに繋がるでしょう。
フレックスが合う合わない人はそれぞれだと思いますが、フレックスを働き方の一つとして、社員に提案することができれば、より社員は活発に結果を残していくでしょう。ぜひ、今回の記事も参考にしてみてください。