クリエイターのはじめてのGoogle Analytics(カスタム編)
前回の記事では、「Google Analyticsの基本的な使い方」を説明しました。今回はより自分の使い方やサイトの特性に合わせて、取得したい項目や分析軸をカスタムしていく方法を説明していきます。
次項から大きく4つの軸でカスタム方法を説明します。
①独自のゴール設定をする
②独自の分析軸を設定する
③独自のレポートを作成する
④レポートを外部サービスに出力する
ゴールとなる「目標」の設定方法
前回の記事で「コンバージョン」は目標の達成度合いから、算定されることを説明しました。今回はその「目標」についてどのように設定していくのか解説します。
「目標」はかんたんに言うと、サイトの目的および目的に至るプロセスごとに設定します。例としてマッチングサイトを用いて説明しましょう。マッチングサイトごとに細かな指標はあるものの、大きく以下のプロセスに分解されます。このプロセスごとに目標を設定していきます。
①「会員登録」
②「投稿」or「応募」
③「マッチング」
目標の設定は、「管理」>「ビュー」>「目標」から設定することができます。ここに「+ 新しい目標」というボタンがあるので、ここから設定をしていきます。条件としては到達ページや滞在時間など目標ごとの条件を設定します。「会員登録」などの例だと、「登録ありがとうございます」というサンクスページが設けられている場合が多いので、到達ページにこのサンクスページのURLを設定します。
もちろん前述の例はものすごく単純化した例なので、実際の目標はもっとたくさん設定していきます。例えば会員登録の前に仮登録がある場合、書類を提出して本人確認をしないと応募ができない場合など、サイトごとの制約はぜひ設定していきましょう。サイトでとりうる行動について、どのプロセスに問題があるか明確にわかるような目標を設定していけるとベターです。
分析軸となる「セグメント」の設定
目標を設定したら、今度は分析したい独自の軸であるセグメントを設定していきましょう。セグメントの追加は「管理」>「ビュー」>「セグメント」から設定できます。この画面で「+新しいセグメント」ボタンをクリックすると、ユーザー属性やテクノロジーなど、様々な条件でセグメントの定義ができます。
ここで1点補足になりますが、よく初めて目標やセグメントを設定する場合、両者を混合してしまうことがあります。目標とセグメントは以下の整理になるので、押さえておきましょう。
・目標・・・アクション数を測定するための条件設定
・セグメント・・・目標をより細かく分析するためのユーザー条件
たとえば目標で「会員登録」を定義した場合、全体での会員登録数やすでにデフォルトで用意されている「新規ユーザー」や「リピーター」などのセグメント別に分析することはできます。しかし「広告経由ユーザー」や「SNS経由ユーザー」など、用意されていないセグメンとは新たに設定する必要があります。
独自のカスタムレポートを作成方法
ここまで目標やセグメントを独自に作成する方法を説明してきました。ただせっかく目標やセグメントを設定したけれども、一覧で見たい項目(指標)がデフォルトのレポートで用意されていない場合があります。
例を挙げると「ユーザー」>「モバイル」>「概要」の場合、デバイスカテゴリごとに、集客、行動、コンバージョンと表示される指標は決まっています。コンバージョンは目標から1つだけ設定できますが、2つのコンバージョンを並べたい(仮登録と本登録など)または、通常コンバージョンで表示される以外の値を表示したい場合はカスタムレポートの作成が必要になります。
カスタムレポートは、「カスタム」>「カスタムレポート」から作成することが可能です。ここで表示したい指標、表示したい表側(ディメンション)や表示方法を設定してレポート作成が可能です。なおセグメントはカスタムレポートを作成する際には設定できません。作ったカスタムレポートを更新する際に、利用したいセグメントを設定しましょう。
Googleスプレッドシートとの自動連携
Google Analyticsのレポート結果については、PDFやエクセル、Google Spreadsheetなど様々なフォーマットにその都度出力することが可能です。ただ定期で出力するレポートについて、その都度Google Analyticsから出力するのは面倒ですよね。Analyticsの実績を自動更新するサービスとして、Googleは2つの無料で利用できるサービスを用意しています。
1つ目はGoogle Spreadsheetです。Google SpreadsheetにはGoogle Analyticsに対応したアドオンが用意されており、このアドオンを追加することでGoogle Analyticsからレポートを出力することが可能です。また追加したGoogle Analyticsのアドオンの「Schedule reports」から設定することで、任意の時間軸でレポートの更新が可能になります。
Google Spreadsheetについては表計算ソフトであるため、他のレポートとの連携が非常に容易になります。また再集計用のシートを別シートに足しておいて利用ことも可能です。エクセルでも同様のことは可能ですが、表計算ソフトとして利用するのであればSpreadsheetが最も便利です。
ダッシュボードとして利用可能なGoogleデータポータル
現在GoogleによるBIツールとして、利用が進んでいるのがGoogleデータポータル(旧Googleデータスタジオ)です。BIツールとは、大量のデータにアクセスし、データのグラフ化などをかんたんに可能にするツールです。特にKGIやKPIを一覧化して「ダッシュボード」の作成を容易にし、経営の意思決定に利用されることが増えています。
GoogleデータポータルはGoogleが提供するGoogle AnalyticsやGoogleSearchConsole、Google Spreadsheetはもちろん、その他のデータベースからもデータ接続して集計・グラフ化することが非常にかんたんなツールです。時間軸でのデータの更新もボタン一つで可能なので、集計作業やグラフ化の手間を大幅に削減してくれます。
ではGoogle Analyticsをデータ接続する際、Spreadsheetとデータポータルとどちらが良いのでしょう?筆者の見解だと「利用シーンによる」というのが答えになります。Google Spreadsheetの利点は表計算ソフトならではの他レポートへの連携の容易さや再集計の簡便さです。
一方でグラフ化やその他のデータベースのアクセスについては一手間かかります。逆にデータポータルは多くのデータベースからのデータ集約やそのグラフ化については非常に優れています。ただし基本的には図示化が得意分野であり、そのデータの再集計や分析の深掘りにはあまり得意ではありません。当面のところは基本指標のトラッキングはデータポータル、再集計や分析にはSpreadsheetを利用するのがベターかと思います。
Google Analyticsのカスタムやレポートの自動連携で、アクセス解析や方針決定にかかる時間は大幅に削減され、より質の高い施策実施に繋げられるようになってきています。Google Analyticsおよびその周辺領域のソフトを利用できること自体、一つのスキルとして高く評価される傾向もあるため、どんどん使い込んでいきましょう。
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