クラウドエンジニアとは?必要なスキルや年収などを徹底解剖!
近年、ITエンジニアの求人市場は急速に拡大しています。その中でもひときわ脚光を浴びているのが、今回紹介する「クラウドエンジニア」です。インフラの簡略化によるコスト削減など、今やクラウドは、ITシステムの基盤に欠かせないものとなりました。それに比例して、クラウドの専門家であるクラウドエンジニアの働き口も増加しています。
この記事では、企業からの需要が高まっているクラウドエンジニアについて詳しく解説していきます。仕事内容や平均年収、求められるスキル、キャリアパスについてみていきましょう。
クラウドエンジニアとは
クラウドエンジニアとは「クラウド」製品の扱いに精通した技術者のことで、システム設計や構築、運用を担当するエンジニアのことを指します。クラウドとは、ソフトウェアやインフラがなくてもインターネットを経由して受けられるサービスのことです。身近なところで言うと、インターネットメールやファイル共有などがクラウドサービスに該当します。
ここからは、クラウドエンジニアの仕事内容と年収について解説していきます。
仕事内容
クラウドエンジニアの仕事は、クラウドサービスのシステムを設計し構築、保守と運用を行うことです。それぞれの主な仕事内容は以下の通りです。
・設計
企業の目的に適ったクラウドサービスを考え、そのための機能や性能を設計します。どのような構成にするか、納期はどれくらいか、予算やコスト、セキュリティ対策を定めます。また、これらの情報を共有するための設計書を作成するのもクラウドエンジニアの仕事です。
・構築
設計書をもとに、クラウドシステムの構築をします。ソフトウェアのインストールや設定、データベースの構築、構築作業後の負荷テストなどが主な業務内容です。IT関連各社が続々と新しい機能を開発しているため、構築に役立つ情報を常に意識しておく必要があります。
・保守・運用
構築したクラウドが正常に動いているかを保守し、運用していきます。クラウドOSのバージョンアップ、システム監視、コスト管理などが主な仕事です。ちなみに、クラウドはWeb上にあるため、物理機器に関する作業はほとんどありません。
平均年収
2021年4月の時点でのクラウドエンジニアの平均年収は、約594万円となっています。
2020年9月に発表された国税庁の日本人の平均年収が436万円なので、比較しておよそ1.4倍近い差があり、高収入な仕事であることがわかります。一方で、クラウドエンジニアの全体の給与幅は369〜998万円と格差が大きく、勤務先や実績、必要なスキルによって給与に大きな差が出ていることが伺えます。
クラウドエンジニアの需要は世界的にも高く、スキル次第では海外で勤務をして高収入を得ることも可能です。特にIT大国アメリカでは、IT人材獲得競争に積極的です。アメリカの求人サイト「Glassdoor」によれば、2019年時点でのクラウドエンジニアの平均年収は日本円に換算して約1,067万円であるとされています。プログラマーやシステムエンジニアと求人情報と比較しても高めであることがわかります。
インフラエンジニアとの違い
インフラエンジニアの仕事は、クラウドを含むITインフラの設計・構築・保守・運用です。クラウドエンジニアと仕事内容がほぼ一致しますが、クラウドエンジニアがWeb上にあるクラウドを専門としているのに対し、インフラエンジニアは物理的な機械設備やサーバーなどの扱いも業務範囲に含まれています。そのため、広い意味ではクラウドエンジニアもインフラエンジニアの1つと言えます。
求人情報などの記載では「物理的な機械設備やサーバーを業務対象」とするのがインフラエンジニア、「クラウドを業務対象」とするのがクラウドエンジニアと分けられるのが一般的です。近年ではクラウドがITインフラの中心になりつつあるため、インフラエンジニアを経てクラウドエンジニアに転向するケースも少なくないようです。
クラウドエンジニアが扱うクラウドサービス
クラウドエンジニアに必要なスキルとして、クラウドサービスの扱いに長けていることが第一に挙げられます。
クラウドサービスは多種多様ですが、その中でもクラウドエンジニアが重視すべきなのが「GCP」「AWS」「Azure」の3つです。この3つは「Web開発における基盤となる」という部分で共通しています。
ここからは、クラウドエンジニアが業務で扱うことになる3種類のクラウドサービスについて解説していきます。
GCP
GCPとは「Google Cloud Platform」の略で、Google社が提供するクラウドサービスです。
世界最大のデータセンターからGmailのような身近なサービスまで、Google社が提供する技術を利用してWeb開発業務を行うことができます。Googleの高性能なセキュリティ機能を持つ豊富なインフラを活用できるほか、BigQueryによるビッグデータ解析や、機械学習に関連した技術も使用可能です。
AWS
AWSとは「Amazon Web Services」の略で、ネットショッピングで有名なAmazonが提供しているクラウドサービスです。自社の在庫管理やデータ分析を行うために構築したITインフラを、一般ユーザーに公開したことが始まりとされています。
AWSは豊富なAPI・インターフェース技術を持つため、Web開発が比較的容易です。また、全世界で利用可能で、200以上のフル機能のサービスが利用できるため、幅広い用途で活用できます。加えて、新たなテクノロジーとして定着しつつある、モノとインターネットをつなぐ技術「IoTシステム」の構築にも利用できるのも大きなメリットです。
Azure
Microsoft Azureは、Windowsでおなじみのマイクロソフトが提供するクラウドサービスです。マイクロソフト製品との相性が良く、事務作業で一般的によく使われているWord・Excel・PowerPointといったoffice系ソフトとの連携がスムーズにとれます。
情報システムを自社内で設備して運用する「オンプレミス」との連携も可能で、オンプレミスとクラウドを融合させた、ハイブリッドクラウドの構築にも利用できます。
クラウドエンジニアのキャリアパス
クラウドエンジニアを目指すのであれば、将来の道筋を決めるためにもどのようなキャリアパスがあるかを事前に確認しておくことが大切です。
ここからは、クラウドエンジニアのキャリアパス「スペシャリスト」「プロジェクトマネージャー」「コンサルタント」について解説していきます。
スペシャリスト
スペシャリストとは特定分野を極めた専門家のことです。クラウドエンジニアのスキルをとことん追求したプロフェッショナルを目指す人におすすめです。
スキルを向上させるための強い意志と日々の努力が必要になります。IT技術は日々進化を続けているため、その進化に置いていかれないよう、常日頃から最新の知識・技術の習得に努めなくはなりません。
そんなスペシャリストの魅力は、習得したスキルを現場で活かし、先頭に立っていけることでしょう。努力が成果に結びつくことはやりがいを感じられる大きな要因の1つです。スペシャリストは現場の要求に直接応える立場から、その成果をより実感できる仕事といえます。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクト全体の進行を管理するまとめ役のことです。コミュニケーション能力が高く、相手のことをしっかり考えられる人が向いています。
いわゆる管理職なので、実際に作業するよりも人をまとめ上げる統率力や広い視野が必要とされます。スペシャリストのように一つの分野だけに専念するわけにいかないのが難しいところです。
一方で、プロジェクトマネージャーは職場に大きな影響力を持つことができます。個人のエンジニアと比較して、より高い視点から仕事を動かすことができるようになります。もし、現場の要求に応えていくことより1つのプロジェクトを完了させることに魅力を感じるなら、プロジェクトマネージャーを目指すべきでしょう。
コンサルタント
コンサルタントとは、助言や指導を行う専門家です。クラウドエンジニアとしての知識や経験を活かし、クライアントの問題解決を手助けします。論理的な思考が得意で、専門知識を活かしたい人におすすめです。
具体的には、クラウド技術で問題解決を試みるクライアントに対し、インフラの構築・運用などの解決策を提案します。また、単純な問題解決だけでなく、改善による利益増加を目指すため、経営戦略も必須です。そのため、コンサルタントになるためにはクラウド技術の最新知識だけではなく、ビジネススキルや経営術についても学ぶ必要があります。
多くの専門知識が必要ですが、クライアントと一緒に経営視点に立って問題を解決できた時の達成感は大きいでしょう。また、結果を残すことができれば、それに見合った高収入を得られるのも魅力の1つです。
まとめ
今回はクラウドエンジニアの仕事内容や平均年収、求められるスキルやキャリアパスについて解説しました。
クラウドエンジニアは専門知識やスキルが必要とされる一方で、平均年収・将来性が高く、やりがいがある仕事であることがわかりました。IT関連の仕事に就きたいと考えていて、まだ具体的な目標が定まっていない方は、クラウドエンジニアを目指してみるのはいかがでしょうか。
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