ブロックチェーンの活用サービスを紹介!独自通貨など事例6選
ブロックチェーンは新たな画期的な技術として注目を浴びています。暗号資産の根幹技術として有名ですが、活用できるのは限られた分野だけではありません。ブロックチェーンの技術を使えば、そのデータを改ざんできないものとして管理・使用することができます。活用シーンは次第に増えており、今後はさらに多くの分野での応用が期待されています。そこでこの記事ではブロックチェーンの概要や関連するサービスなどについて紹介します。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンを一言で表すと、「取引データ技術」のことです。
取引データを「トランザクション」、複数のトランザクションを「ブロック」、そしてブロックを連ねて保存する状態を「ブロックチェーン」と呼びます。暗号資産のビットコインの中核の技術としてもブロックチェーンは話題になりました。
このブロックチェーンは分散管理される特徴があり、不特定多数のユーザーのコンピューターに保存されます。通常の通貨と違い管理する機関がなく、権限が集中することがありません。システムがインターネット上に散らばっているため、改ざんが極めて難しく、セキュアなサービスが実現できると多くの分野から期待されています。
ブロックチェーンの3つの種類
ブロックチェーンは大きくわけて3つの種類があります。それぞれにメリットとデメリットなどの特徴があるので違いを理解しましょう。
パブリックチェーン
仮想通貨で採用されているのがこのパブリックチェーンです。ブロックチェーンといえば「パブリックチェーンのこと」と言っても過言ではないでしょう。誰でもデータを見ることができる特徴から機密データには不向きですが、透明性という観点では最も優れています。しかし、大量の処理を行うのは不得手という特徴があるので注意しましょう。
また、パブリックチェーンには管理者が存在しないため、新情報を追加するには参加者の合意形成が必要です。合意形成とは処理の整合性を各参加者が検証し、参加者それぞれのデータと同期を得ることで「マイニング」とも呼ばれます。仮想通貨のマイニングを行うと報酬を得ることができるため、マイニング専用のコンピュータを用意する方もいます。
プライベートチェーン
プライベートチェーンではパブリックチェーンと異なり、参加するためには管理者の許可が必要です。また、外部に公開したくないデータなどはプライベートチェーンに格納できます。さらに、合意形成やマイニングの必要がなく、パブリックチェーンに比べると多くの処理に対応できます。しかし、中央管理者がいることで独断で台帳を書き換えたり、ルールを変更できたりするため、管理者が機能しないと取引ができない仕組みでもあります。
また、パブリックチェーンでは分散型台帳として多数のユーザーが管理しますが、プライベートチェーンでは管理者のデータサーバにある台帳が正しいものとされます。プライベートチェーンの台帳には、基本的に許可された管理者のみがアクセスできる仕様です。
コンソーシアムチェーン
コンソーシアムとは共同事業体という意味で、多数の組織や企業で結成された団体のことです。コンソーシアムチェーンでは管理者が複数おり、中央集権を回避して、許可した管理者のみが扱えるようにしています。そのため、透明性と信頼性を保ちながら速度を担保できる手法です。このコンソーシアムチェーンはパブリックチェーンとプライベートチェーンを合わせた手法であり、複数企業で運用するようなサービスで利用されています。
ブロックチェーンの活用事例
リーマンショックが2008年に起こったその直後に暗号資産とともにブロックチェーンは生まれました。インターネットにつぐ発明とも言われるブロックチェーンは、データの改ざんが極めて難しい分散台帳システムで、集権型の社会を改革する存在として注目されました。しかし、これまでは活躍が期待されながらも、暗号資産=ブロックチェーンという図式が根強いイメージでした。
ブロックチェーンが生まれて約10年が経った今、各産業ではブロックチェーンが活用され始めています。以下では、ブロックチェーンの活用事例をご紹介します。
独自通貨:三菱UFJフィナンシャルグループ
三菱UFJフィナンシャルグループは、MUFGコインと呼ばれているデジタル通貨「coin」を実用化する方針を固めました。coinでは、スマホアプリで銀行号座の預金とコインを交換することができ、個人間送金が瞬時になされ、なおかつ低コストで行えます。このメリットは加盟店決済やIoT決済の手段として期待されています。具体的には、ホットペッパービューティーやホットペッパーグルメ、じゃらんなどのサイトで使用できる見込みです。暗号資産は価格変動が懸念材料ですが、coinは1円が1コインに固定するステーブルコインとなる予定です。ブロックチェーンを活用したステーブルコインが普及すれば、お金のやり取りを極めて安全性の高い状態で手軽にできるようになるでしょう。
ゲーム:CryptoGames
CryptoGames株式会社は、2019年6月にクリプトスペルズというカードゲームをリリースしました。これはブロックチェーンゲームと呼ばれるもので、内容がブロックチェーンと結びついています。ブロックチェーンゲームではありますが、イーサリアムもウォレットも必要ないことが特徴です。カードはNFTといった独自のトークンで発行し、ユーザーの所有権を担保します。ゲーム配信初期のクラウドセールで約3000万円という国産ブロックチェーンゲームではトップクラスの売上を叩き出したため、大きな話題になりました。
トレーサビリティ:ウォルマート
ウォルマートはアメリカのスーパマーケットチェーンを展開する企業です。ウォルマートは食品の透明性や安全性を実現するためにIBMと連携し、サプライチェーンの情報にアクセスし、トレース可能のプラットフォームを構築しました。このサービスは「IBM FOOD TRUST」と言い、業界を跨いだ食のトレーサビリティとして構築を目指しています。
スマートコントラクト:GA technologies
株式会社GA technologiesは、AIを利用した中古不動産プラットフォームサービス「Renosy」を運営しています。GA technologiesはブロックチェーン技術を用いた不動産デジタルプラットフォームの構築を開始しました。このプラットフォーム内でスマートコントラクトとしてブロックチェーン技術を基盤として構築することで、決算・資産の移動、登記、契約というデジタル化が困難とされる不動産業務を、安全性を担保しつつ低コストでデジタル化します。仲介を主な業務とする不動産事業者に対しても、大きく業務改善やコスト削減を実現することで、不動産業界全体の活性化を図っています。
権利・資産の管理:スタートバーン
スタートバーン株式会社は、世界中のアートに関わるすべての人が必要とする技術を提供し、豊かな社会の実現を目指している企業です。アート×ブロックチェーンをメインに、さまざまな事業を展開しています。具体的には、ブロックチェーンによる来歴証明書・作品証明書の発行をするアート作品の登録・販売サービスの「startbahn.org」を運営しています。これは、サービス外にも権利の移転が可能で、二次流通時の著作権や真贋管理に活用することが可能です。このネットワークは、さまざまなアート業界の制作者と連携し、世界中のアート作品を管理することを目指しています。
身分証明:ソフトバンク
ソフトバンクはブロックチェーン技術開発企業TBCASoftと共に、ブロックチェーンによる情報管理・認証を促進するグループを立ち上げました。TBCASoftが提供するアプリケーションフレームワークを基盤として、通信事業者はデジタルIDの管理・認証をすることができます。この提案が浸透すれば、世界中の通信事業者から企業やユーザーにデジタルIDの認証サービスが提供されるでしょう。
まとめ
ブロックチェーンを根幹技術とする暗号資産のおかげで、ブロックチェーン自体もさらに有名になりつつあります。この記事で紹介したようにブロックチェーンは暗号資産だけに使える技術というわけではりません。ほかの分野でもブロックチェーンを使うべく、各機関は研究部門を立ち上げて技術の応用を目指しています。このブロックチェーンの技術が世界に普及・浸透すれば、多くの分野でデータを不可侵のものとして扱えるようになるでしょう。
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