SDGsとは?17の目標や政府・企業の取り組みを分かりやすく解説!
高度経済成長期を経て、戦後の日本は予想をはるかに超える発展を遂げました。世界経済も同様にIT化が普及し、さまざまなテクノロジーが今もなお生まれ続けています。 しかし、輝かしい発展の裏で環境問題や資源不足などの社会的な課題の深刻化も世界中で叫ばれており、各国の環境団体が警鐘を鳴らしているのも事実です。
そこでこの記事では、世界の抱える問題の解決に大きく関わるSDGsについて解説します。政府や起業のSDGsの取り組み事例などを詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
SDGsとは
https://www.unic.or.jp/files/sdg_poster_ja.pngSDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」という意味です。それでは、持続可能な開発目標とは、具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか。
SDGsの概要
SDGsは、2016年から2030年の15年間で達成すべき世界共通の目標のことです。2015年9月に国連で開催された持続可能な開発サミットにて、国連加盟国である全193カ国によって採択されました。 発展途上国や先進国問わず、地球上のほぼすべての国が採択した国際目標であるため、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」と宣言されています。
SDGsの17の目標
SDGsには、世界各国が通して目指すべきだと定めた17の目標があります。
・貧困をなくす
・飢餓をゼロに
・すべての人に健康と福祉を
・質の高い教育をみんなに
・ジェンダー平等を実現しよう
・安全な水とトイレを世界中に
・エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
・働きがいも経済成長も
・産業と技術革新の基盤をつくろう
・人や国の不平等をなくそう
・住み続けられるまちづくりを
・つくる責任つかう責任
・気候変動に具体的な対策を
・海の豊かさを守ろう
・陸の豊かさも守ろう
・平和と公正をすべての人に
・パートナーシップで目標を達成しよう
世界中が一丸となって、期限であるこの15年の間で全17項目の目標達成に向けての行動が求められています。そして、2030年以降も「持続可能な社会」を実現させ続けることがSDGsの目指すゴールです。
SDGsの169のターゲット
17個の目標に対して、SDGsのターゲットは169個あります。したがって、各目標内に平均約10個以上のターゲットが紐付けされています。ちなみに、1つの目標に対して最も少ないターゲット数が、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と目標13「気候変動に具体的な対策を」の5個です。一方で、最もターゲット数が多いモ項目は、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」が19個です。
日本企業のSDGsの取り組み事例
ここからは日本企業のSDGsの取り組み事例をいくつかご紹介します。
目標1:パナソニック
パナソニックでは、目標1である「貧困をなくそう」に貢献するため、「すべての人が手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保するため」という指標を掲げ、ソーラーランタン10万台プロジェクトを行っています。また、カンボジアでは農村部での識字率向上に向けた取り組みも実施されました。さらには、日本とインドをつなぐ「手仕事布」の取り組み、貧困根絶のための農村部での雇用の創出、人身売買の防止、貧困層の生活改善を旨とする取り組みなど、数多くのアクションを起こしています。
目標5:日立製作所
日立製作所では、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を達成するべく、性別・国籍・職歴・年齢・性的指向・価値観を1つの個性として捉え、個人と組織の持続的成長につなげるダイバーシティ&インクルージョンを目標に掲げました。取り組みとして、日立製作所は、毎年女性従業員を対象としたグローバル女性サミットを開催しています。2017年度のサミットは米国で開かれ、9カ国のグループ会社21社から、120人以上が出席しました。イベントでは、執行役社長兼CEO東原敏昭氏や社外からのスピーカーによる基調講演のほか、職場におけるアンコンシャス・バイアス (無意識の偏見) や自身のキャリア開発についてなど、さまざまなテーマでワークショップが開かれています。
目標6:ヤマハ発動機
ヤマハ発動機は、目標6である「安全な水とトイレを世界中に」を達成するため、表流水を浄化して飲料水にする「ヤマハクリーンウォーターシステム」を開発しました。そして、安全な水へのアクセスが困難な地域へ設置して、途上国内の水質問題解決に貢献しています。加えて、この活動は不衛生な水によって発生する住民の病気を低下させるとともに、子どもや女性の水汲み労働の軽減し、学習や生産活動時間への転用を可能にしているのもポイントです。さらに、水の販売や配達事業の振興、煮沸不要による薪の削減にも大きく貢献しています。
目標7:富士電機
富士電機は、目標7である「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成のために、「豊かさへの貢献」「創造への挑戦」「自然との調和」を経営理念に掲げています。そして、エネルギーや環境事業で、安心・安全で持続可能な社会の実現に貢献していくことを経営方針に定めています。環境問題解決に向けては、パリ協定に基づく日本の「地球温暖化対策計画」などを踏まえ、「低炭素社会の実現」「循環型社会の実現」「自然共生社会の実現」で構成される「環境ビジョン2050」を策定しました。それと同時に、これらの取り組みを踏まえたうえで企業行動基準を改定しており、社員の行動規範をより目標に沿ったものとしました。そして、サプライチェーン全体で課題の解決向けて活動し、SDGsの達成に貢献すると明記しています。
目標8:博報堂DYアイ・オー
博報堂DYアイ・オーは、目標8「働きがいも経済成長も」達成のため、障害のある社員と健常者が同じ人事規定、報酬体系、評価制度のもと協働しています。また、障害のある社員とインターン生との交流会を定期的に開催しています。さらに、親会社である博報堂DYホールディングスは、社会課題解決型イノベーションを起こすためのヒントの提供を目的とした、シンポジウム「デザイン思考でSDGsに挑む」を2018年12月に開催しています。このシンポジウムは、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンと国連広報センター支援のもと行われました。
目標12:ファミリーマート
ファミリーマートでは、目標12「つくる責任つかう責任」達成のため、食品製造における無駄な廃棄の削減に取り組んでいます。廃棄物の発生抑制と再生利用を重要課題と捉え、今までの生産プロセスを全面的に見直し、発注精度を向上を目指しています。また、ゴミではなく資源として再利用できるように、来店客の適切な分別廃棄のご協力をお願いするとともに、店舗全体での分別も徹底しています。そのほかにも、「ecoぱーとなー」をはじめとした環境情報の電子配信により、ストアスタッフ全員に環境関連法令遵守など、教育にも積極的です。さらに、お惣菜のおいしさを損なわずかつ添加物を増やさずに消費期限を延長できるガス置換包装への切り替えも実施するなど、さまざまな角度から生産と消費に関する課題解決に貢献しています。
まとめ
今回の記事では、SDGsの概要を始め、政府・企業の取り組み事例を紹介してきました。SDGsは今後世界の企業が指標にすべき行動指針として大きく役立ち、私たちの子孫に住みよい暮らしを受け継いでいくための架け橋となるでしょう。もちろん SDGsの実現のために世界が一致団結することは容易ではありません。そして、政府や企業の取り組みに甘えているだけでは、SDGsの目標は実現不可能です。私たち一人一人が現状から目を背けずに、何か改善できるアクションを起こすことこそ、本当のSDGsの目標のひとつと言えるのではないでしょうか。
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