LTV(Life Time Value)の意味・重要性を分かりやすく解説
LTV(Life Time Value)とは?
答え:顧客が生涯を通じ御社に支払う価値のこと
LTVとはLife Time Value(ライフ タイム バリュー)の略で、「顧客生涯価値」を意味します。海外では、CLV(Customer Lifetime Value)と呼ばれています。
・Life(生涯の)
・Time(時間・機会を掛けてくれた)
・Value(価値)
お客様さんがどれだけの顧客単価で長くサービスや商品を利用し続けたのかを示す指標です。
商品やサービス単位でLTVを見ることもあるでしょう。しかし、今最も大事なのは、「企業」対「顧客」でLTVを考えて、顧客へ様々な対応をしていくことです。
LTVが重要になってきた理由
なぜ、LTVが大事なのか?
時代の移り変わりが早く、企業は商品やサービスを「売り切る」ことよりも、繋がった「顧客との関係性を良好に保ち続ける」ことに価値が出てきたからです。
顧客との関係性が良好であれば、時代によって商品やサービスが変わったとしても、その変わった商品やサービスへ好意的にコンタクトしてもらえるからです。
顧客との関係がコミュニティ化すれば、コミュニティに顧客が価値を感じます。商品やサービスが大きく変わったとしてもニーズを満たすものを打ち出せば、企業は時代の変化に対応することができるようになります。
1商品・1サービスのLTVも注目されていますが、1企業を1商品・1サービスと見なしてLTVを考えていくことが、より大切な時代になっています。
LTVの算出方法
1.単純な数字としてのLTV
LTV=顧客単価×継続期間×収益率
顧客単価に継続時間を掛け合わせ、収益を測定する指標です。
2.新規顧客コストを考えたLTV算出方法
LTV=顧客単価×継続期間×収益率÷新規顧客獲得コスト
最後に新規顧客獲得のコストを割ります。この指標が悪ければ、新規顧客獲得のコストを下げるか、より顧客単価を高めるか、顧客継続をより長く目指すのか、現実的な施策を練り直す必要があります。
3.顧客維持コストを考えたLTV算出方法
LTV=顧客単価×継続期間×収益率÷既存顧客維持コスト
既存顧客に対するアプローチが、顧客単価の高低、継続期間の長短に関係しているかどうかを分析する際に役に立ちます。
そして、上記の3つの算出方法を総合的に分析し、LTVをより高めていきます。
LTVと商品・サービスのパーソナライズ化
個人の特殊な事情へ手軽にアプローチできる時代
ITを中心とする技術革新が進む中で、企業は顧客一人ひとりの特性や個性により沿ったアプローチを行えるようになっています。
例えば、アンケート調査を実施し、ある回答を選んだ40代以上の顧客にだけ、特別なリリースを送るということも可能になりました。
また、解析できる情報も非常に多くなり、すべての顧客に一括して同じアプローチを投げ掛けるのではなく、顧客一人ひとりに寄り添うことができるようなシステムやツールが揃っており、LTVを高めるとうことがとても行いやすくなっています。
LTVと商品・サービスのサブスクリプション化
所有とは違う購入利用の形態が望まれている時代
「商品を買う」という完全な所有ではなく、シェアやレンタルによるサービスが隆盛しているのもLTVが注目されている一つの理由です。
時代が複雑に多様に高度になっており、すべての商品やサービスを購入するということが難しくなっているからです。
そこで、初期コストが低いサブスクリプションサービスが受け入れられているわけです。
LTVが高まる事例
事例1.アプリを使ってLTVを高める
アプリを導入することで、LTVが高まるとされています。例えば、プッシュ通知の開封率はメルマガより高くなれば、メルマガとアプリの連動性を高めたり、メルマガ会員をアプリへ切り替えさせることで、LTVが高まります。スマホ画面にアプリのアイコンが並ぶことでマインドシェアを獲得できるとも言われています。
事例2.定期購入ポイントの改善を図る
定期購入を促す接触点に問題がないかチェックしましょう。例えば、あるショッピングカートを解約し、新たなショッピングカートを導入したところ、LTVが大きく改善されたとうい例があります。
点となるコンバージョンを想定するのではく、定期購入・利用を見越して、最初の購入のポイントで、精神的なフォローを入れたり、継続したくなるモチベーション作りを促す仕組みを作ることでLTVが高まっていきます。
事例3.潜在顧客のリテラシーを高める
LTVを潜在顧客という時制から見ていくと、また違った対策ができます。例えば、「体験会を体験するとLTVが5倍に!」という事例があります。なぜかというと、体験会を開くことで、顧客が商品やサービスをより友好的に活用できるリテラシーが高まったからと言えます。
また、直接企業との交流が深くなり、企業から顧客へのアプローチの反応率が高まるだけでなく、顧客から企業への積極的なアプローチも促されます。友好的な交流の機会が増えることで、顧客は自分が育ちながら、より主体的に商品やサービスを使っていくのです。
最後に:LTVはある分野における顧客のコンシェルジュ
顧客に寄り添う町医者的存在がLTVを抜群に引き上げる
LTVは顧客をエスコートするジェントルマンのような役割を担うと非常に存在感を打ち出すことができます。そのためには、顧客が悩んだり、相談したいと思ったときに、自分たちの企業へのコンタクトをきちんともらうことです。
例えば、健康食品の通販会社であれば、顧客がギモンに思ったことに対して単にカスタマーサポートとして答えるだけでなく、知識や他の健康との兼ね合いを教育し、啓蒙していくことが大事になります。そのことで、青汁を購入していただけの人が、酵素サプリをクロスセルしてくれる可能性もあります。
単純に売り切る営業力が高いだけではダメな時代です。顧客の長期的な幸福を体現できる知識を兼ね備えていなければなりません。そう言った意味では、LTVはある分野における顧客のコンシェルジュであるとうい姿が美しいでしょう。
社内にラボラトリーがあったり、知見を深める部署があったり、そういった情報を、顧客のライフスタイルに合わせて、商品やサービスと掛け合わせていくことが、とても大きな強みなります。
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