採用ブランディングとは?成功事例や運用の流れなども解説
採用ブランディングは、近年の採用活動において必要不可欠なものとして注目されています。
注目されていることは把握していても、詳細について理解できていないという方も多いかもしれません。
今回の記事では、採用ブランディングという施策の詳細についてご紹介します。
また、採用ブランディングの成功事例や運用の流れについても併せて解説していきます。
採用ブランディングとは
採用ブランディングは、自社をブランド化して採用力を高めるマーケティング手法のひとつです。
ここでは、採用ブランディングが注目されている背景や必要性、注意点などをご紹介します。
採用ブランディングが注目されている背景
採用ブランディングの注目には、採用市場における人材獲得競争の激化が背景にあります。
人材獲得競争が激化している原因としては、少子高齢化やリーマンショックなどによる影響で30代前後の「中間層」が増加し、20代の若手人材が不足していることが挙げられます。
そのため、採用ブランディングを通じて自社に興味や関心を持ってもらい、自社の採用力を高めようという試みが増加傾向にあります。
また、SNSなどの発達により、企業のSNSアカウントやブログから不特定多数の求職者に向けて、自社の採用情報を求人サイトに掲載せず発信できる点も、採用ブランディングを積極的に活用する企業が増加している要因のひとつです。
採用ブランディングの必要性
採用ブランディングが必要とされる理由として、主に以下が挙げられます。
- 企業の認知度向上
- 採用コストの削減
- 競合他社との差別化
- ミスマッチの防止
- 既存社員のモチベーション向上
採用ブランディングは求職者に自社を認知してもらい、求人への応募を増やす目的で行われます。
自社に対して興味や関心のある求職者からの応募が増えれば、採用する人材の質も高められるかもしれません。
採用ブランディングの注意点
採用ブランディングは効果が表れるまでに時間がかかるため、長期的な取り組みが必要です。
一般的に、採用ブランディングによる認知度の向上やブランドイメージの定着、応募数の増加などの効果が出るまでには約2~3年程度かかるといわれています。
そのため、情報とメッセージの発信を継続して行い、自社のブランドイメージを浸透させる必要があります。
また、その際、ブランドイメージの低下を防ぐために、常に最新の状況をアップデートしつつ、情報に一貫性を持たせるという配慮も必要です。
企業全体で企業理念や価値観などの情報共有を継続的に行い、徐々に浸透させることで採用ブランディングの効果が見込めます。
採用ブランディングを導入した企業の成功事例
ここでは、実際に採用ブランディングを導入した企業の成功事例をご紹介します。
三幸製菓
「チーズおかき」や「雪の宿」などのヒット商品を多数生み出している新潟の米菓メーカーです。
2013年から求人サイトに求人を掲載することを廃止し、代わりとして「おせんべいが好き?」「新潟勤務でも働ける?」の2つの質問を選考フローに入れて、日本一短いエントリーシートとして話題を集めています。
その結果、応募者をふるいにかけてマッチ度の高い人材だけを集められるようになりました。
また、2つの質問が話題を呼び、おせんべい好きが集まる新潟の会社というイメージが定着しました。
他にも、応募者が17種類の中から得意な選考方法を選べる「カフェテリア採用」など、独自の採用手法も実践し話題になっています。
サイボウズ
企業向けのクラウドサービスを提供する会社で、優秀な人材にもかかわらず育児や介護などの事情で就職が難航している層にターゲットを絞り、最長6年間の育児・介護休暇介護制度や、自ら勤務時間や働き場所を選択する「働き方宣言制度」など、充実した福利厚生で1人ひとりのワークスタイルに合わせた制度を作り上げています。
また、自社サイト内に「ワークスタイル」というページを作成し、自由で働きやすい企業であることを求職者に発信・認知させています。
その結果、共感した人材からの応募を多数獲得し、さらに獲得した人材の離職率を大幅に改善することにも成功しました。
タニタ
健康用品の製造・販売を行い、社員食堂で従業員の健康に配慮したメニューを提供している会社です。
レシピ本を出版してヒットさせ社員の健康状態を可視化する「タニタ健康プログラム」などの健康に特化した経営に着手し、その結果、健康に対する貢献度が高い企業というブランドイメージを浸透させることに成功しました。
また、従業員の健康に配慮したメニューの情報を発信することで、仕事に意義を感じた方や健康的に仕事がしたい方など、健康に関心が深い人材を確保する基盤を作り上げています。
マクドナルド
世界中に店舗を出店している大手ハンバーガーチェーンで、2014年・2015年と不祥事が相次いだため業績が悪化していました。
そこで、社長を中心に復活プログラムを展開し、原点回帰をキーワードとした積極的なアプローチにより、見事業績を回復させています。
採用面においては、中途採用ページに独自の教育施設や人事評価制度など20項目以上のキーワードとともに社員インタビューを掲載させました。
その結果、採用者の企業理解を深めるとともに、キャリアアップへの期待感を抱かせることに成功しています。
GYAO
日本最大級の動画配信サービスを提供する会社で、2017年度からWebサイトからの新卒エントリーを廃止にし、スマホアプリによるエントリーに限定しています。
廃止の背景には、エントリー対象となる学生が自社の動画コンテンツをスマホで視聴している割合が多かったことがありました。
エントリー可能な媒体を新卒採用アプリのみにした代わりに、充実した情報発信にも力を入れました。
その結果、以前よりもエントリー数は少なくなったものの、会社と応募者のミスマッチを減少させることに成功しています。
また、採用担当者が学生1人ひとりのエントリーシートをアプリ上で確認可能になったことで、面接時の質疑応答がより効率的に行えるようになりました。
採用ブランディングを運用する流れ
ここでは、採用ブランディングを運用する流れについてご紹介します。
ターゲットを明確化する
始めに、採用市場や業界全体の中で自社の立ち位置を分析し、どのような理念や魅力があるかを明確にする必要があります。
自社の魅力を明確化した後は、自社に合う人物像の明確化を行います。
学歴や専門知識、仕事への価値観などのさまざまな角度を基準としましょう。
また、求める人物像によって請求内容や発信手段が異なってくるため、企業理念などを事前に見直したうえで、ターゲットを絞り込む必要があります。
情報を精査する
ターゲットを明確化したら、ブランドコンセプトの選定を行いましょう。
ブランドコンセプトでは、企業として掲げる思想の一貫性などが求められます。
ブランドコンセプトを選定できれば、企業の価値観や方向性に共感する人材を集めることにつながり、企業側と求職者側双方にメリットが得られます。
次に、求職者と従業員への情報を発信する手段を決めましょう。
発信の手段としては、求人サイトや会社説明会、SNSなどといった方法が挙げられます。
従業員に対して発信する理由としては、企業内で認識が共有できていないと、担当者が求職者に伝える内容がバラバラになり、信用を損なう原因になりうるということが挙げられます。
また、求職者と従業員の採用に関する認識を共有させることも理由のひとつです。
継続的に運用する
採用ブランディングは、効果が期待できるまでに時間を要するため長期的な取り組みが求められます。
そこで、今までの取り組み成果の分析や最新の採用市場の動向、新たに必要となる人物像などを考慮して、PDCAサイクルを回していく必要があります。
また、継続的な運用には予算と人件費の確保が不可欠な点も把握しておきましょう。
採用ブランディングのおすすめコンサルティングサービス
ここでは、おすすめする採用ブランディングのコンサルティングサービスを3つご紹介します。
uloqo
上流工程の企画から下流工程の実業務まで一気通貫で支援するコンサルティング会社です。
取引先実績数は60社以上にものぼり、契約継続率は90%を超えています。
採用コンセプトの設計や採用サイトのディレクションなど、採用活動における業務代行などのサポートに加え、コンサルタントとは別に専属のサポート担当が事務処理を行うため、スピーディな対応を実現しています。
予算と課題に応じてカスタマイズしたサービスの提供が可能で、支援後の追加費用は発生しません。
スタートアップ企業から上場企業まで、企業規模に関係なく支援実績を誇っています。
AGEHA
企業が求めるターゲットの心理に耳を傾け、一貫したコンセプトを基に採用活動全体のブランド構築を進めて支援する会社です。
これまでに500社以上の実績を誇り、丁寧なリサーチ活動を行いながらコンセプト作りを行っています。
採用ブランディングの他には、インナー&アウターブランディングやマーケティング・コミュニケーションなどの事業も行っています。
企業独自のメディア「BiZMiLのサーベイ調査」を活用した根拠あるプランニングや、フレームワークの活用により、感性だけではなく理性も考えながらのPDCAサイクルを実施しているのも特徴です。
パドルデザインカンパニー
中小企業に特化したコンサルティング会社です。
各ブランドコンセプトの開発やコーポレートサイトの制作など、アートディレクション全般を支援しています。
採用に成功しても定着に結び付かない採用は意味がないと考えており、緻密な採用市場分析と明確化したターゲットの分析から、企業の思いと求職者の熱意を結び付けるコミュニケーションをデザインしています。
まとめ
今回の記事では、採用ブランディングについて紹介しました。
採用ブランディングは、近年の人材不足による採用競争の激化によって注目を集めており、企業認知度の向上やミスマッチの防止などに効果があります。
ただし、効果が見込めるまでには時間を要するため、長期的な取り組みが必要です。
上記で説明した運用の流れを参考に、採用ブランディングを活用して自社の採用活動を効率化させましょう。
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