メタバースの意味とは?注目される背景や代表的なサービスなども解説
デジタルプラットフォームサービスが台頭する昨今、仮想世界を意味する「メタバース」という単語を耳にするようになりました。メタバースは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。この記事では、メタバースについての理解を深めるため、注目されている背景や、メタバースに分類されるサービスについて解説します。
メタバースとは
メタバースは「超」という意味の「meta」と宇宙を指す「universe」を組み合わせた言葉です。元々はアメリカのSF作家、ニール・スティーヴンスン氏の小説「Snow Crash」の作中にある仮想世界を表現するための造語でした。
メタバースの意味
メタバースは一般的に、多人数が参加可能で、参加者が自由に行動できるネットワーク上の仮想空間を指す言葉として使用されます。イメージしやすいところで言うと、アバターを通じてネットワーク上の仮想空間を歩き渡る、オンラインRPGなどが挙げられます。一方で、シナリオなどの有無を指摘し、オンラインRPGとメタバースは異なるものである、と捉える意見も少なくありません。これは仮想世界の定義が広く、メタバース自体に厳密な定義付けがされていないことが原因です。それを踏まえたうえで、次項ではさまざまなタイプのメタバースについてご紹介します。
メタバースのタイプ
ここでは、メタバースとして挙げられる4つのタイプについて詳しくご紹介します。
・拡張現実
スマートフォンなどの端末などを通して、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示するタイプのメタバースです。現実世界を歩きながらスマホを通して目標を探す「ポケモンGO」などのゲームがその代表です。
・ライフロギング
Life(生活)logging(記録する)の名称通り、ユーザーの日常情報を仮想世界に記録・保存・共有するタイプのメタバースです。代表例としては、FacebookなどのSNSサービスが挙げられます。
・ミラーワールド
可能な限り現実世界に近づけて再現するタイプのメタバースです。グーグルマップのような地図サービスがミラーワールドに該当します。
・バーチャルワールド
現実には存在しない仮想世界を具現したメタバースです。ユーザーがアバターを利用して活動する、オンラインRPGなどもこのメタバースに含まれます。
メタバースが注目されている背景
コロナ禍における生活のデジタル化は、メタバースの普及に大きな影響を与えると予想されています。日常生活のデジタル化が進めば進むほど、Facebookやオンラインゲームなどを通してメタバースに触れる機会が増加することが原因です。かつて、スマホやSNSがいつの間にか普及していったように、メタバースが徐々に一般化していくことも十分に考えられると言えます。
メタバースに当てはまるサービス
ここでは、メタバースに当てはまる有名なサービスについて取り上げます。
アメーバピグ
サイバーエージェントが2009年よりサービスを開始し、わずか1年あまりで会員数が400万人を突破し、大成功を収めたコンテンツです。ジャンルは仮想空間生活アバターシミュレーションで、「ピグ」というアバターを通したユーザーとの交流をメインにしたゲームです。サービスの根幹であるAdobe Flashの廃止に併せて、2019年にPC版・モバイル版のサービスは終了しましたが、スマホ版は2021年9月現在もサービスを継続しています。
フォートナイト
アメリカのEpic Games社が提供するオンラインバトルロイヤルゲームです。リリースされたのは2017年9月と比較的新しいものですが、2020年時点で全世界のプレイ人口が3.5億人を超えるほどの急成長を見せています。戦いのない仮想空間で交流を楽しむモードも用意されており、バトルロイヤルゲームのジャンルに捉われない幅広さが魅力です。
あつまれどうぶつの森
2020年3月に任天堂が発売を開始したNintendo Switch用のゲームソフトです。コロナ禍で注目され、爆発的なブームを巻き起こしました。ゲームの主流がスマホやPCに移行する昨今、一般家庭でプレイできるゲームソフトでありながら、累計3,200万本以上と驚異的な販売数を記録しています。ユーザー同士が作成した島を行き来してコミュニケーションを取るという、仮想世界での生活をわかりやすく再現したシステムのゲームです。
メタバースで重要なブロックチェーンテクノロジーとは
メタバースを活用したビジネスを展開するには、データの資産性を守れるシステムが備わっていなければなりません。そのために活用できるシステムの第一候補とされているのが「ブロックチェーンテクノロジー」です。ここでは、その仕組みや種類、メリット・デメリットについて解説します。
仕組み
ブロックチェーンは、一箇所ではなく複数のコンピュータネットワークに取引データを記録する「分散型台帳技術」を指します。取引記録は一定量まで溜まると複数のブロック単位にまとめられ、その時点で最後にあるブロックに情報が保存されます。これを繰り返すことでブロックの前後がチェーンのようにつながり、情報が時系列でまとまるという仕組みです。
ブロックチェーンのデータは一箇所ではなく、複数の分散型コンピュータネットワークにそれぞれ保存されます。また、データを書き換えるためにはチェーンでつながれている後続の取引データすべてに手を加える必要があることから、データ破壊・改ざん防止にも効果があります。
ブロックチェーンの種類
ブロックチェーンには、パブリック型・プライベート型・コンソーシアム型の3種類があります。それぞれの概要は以下の通りです。
・パブリック型
特徴は、管理者が存在しないこと、誰でも参加できることです。仮想通貨で使用されています。
・プライベート型
特徴は、管理者が権限を持つこと、単独の企業・組織内に限定(参加には管理者の許可が必要)されることです。単体の企業・組織内での銀行取引や証券取引で使用されています。
・コンソーシアム型
特徴は、複数の管理者が権限を持つこと、複数の企業・組織内に限定(参加には権限が必要)されることです。業界・企業横断型の業務連携システムの構築で使用されています。
大まかに言うと、管理者の有無によってブロックチェーンの種類が分けられます。ちなみに、一般的にブロックチェーンというとパブリック型を指す場合が多くなっています。
ブロックチェーンテクノロジーのメリット
データの一部が破壊されても、他の複数ノードに同一データが保存されているため、すぐに復旧できることがブロックチェーンのメリットです。ブロックチェーンを停止させるにはすべてのノードを破壊しなくてはならないため、実質は不可能とされています。また、ハッシュ関数を利用しているブロックチェーンは、少しでもデータが改ざんされれば、対象箇所以降のデータブロックを変更し、分散されているノードすべてが更新されます。そのため、データの書き換えもほぼ不可能で、悪意ある改ざんが行われてもすぐに分かる仕組みです。加えて、ブロックチェーンは特定の金融機関を介さないため手数料が安価です。一般的に海外に送金するには多額の手数料がかかりますが、ブロックチェーンはユーザー同士が直接送金できるため、費用が最小限で済みます。セキュリティが高く、取引コストも安いことがブロックチェーンのメリットと言えます。
ブロックチェーンテクノロジーのデメリット
ブロックチェーンは、セキュリティ性が高く安価で利用できるシステムである一方、いくつかのデメリットが存在します。その代表的な例が、処理速度の遅さと、記録データの削除に関する問題です。ブロックチェーンは、データが膨大になりやすく、1回の取引処理に10分ほどの時間を要します。そのため、秒単位で株価が変動する証券取引などには不向きです。また、記録したデータの書き換えが基本的に不可能なため、処理の取り消しや削除がしづらいこともデメリットです。うっかり個人情報などを書き込んでしまっても、ほぼやり直しがききません。ブロックチェーンを利用する際は、操作内容がすべて記録されていることを意識しておく必要があります。
メタバースに取り組む企業事例
ここでは、メタバースの取り組みを実践する3つの企業をご紹介します。
Microsoft
世界最大級のコンピュータ・ソフトウェア会社であるMicrosoftも、メタバースの開発に力を注いでいます。2021年3月には、現実世界と仮想世界を融合させたMR(Mixed Reality)の新プラットフォーム「Microsoft Mesh」を発表しました。
5000億円以上もの資金を投入するなど、メタバースに最も力を入れている企業のひとつです。Facebookにより提供されているVRヘッドセット「Oculus」シリーズが市場をリードしていることもあり、今後もさらなるコンテンツ・ハードウェアの開発を続け、市場獲得を目指していくことが予想されます。
グリー
今後2~3年でメタバース事業に、100億円規模の事業投資を行うことを発表した企業のひとつです。グリーは、スマホ向けバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」を軸に、グローバルでの事業成長を目標としています。
まとめ
メタバースは「仮想世界」を中心に、広い定義で使用されている言葉です。さまざまな種類があり、いくつかの有名ゲームなどにも、メタバースの概念が取り入れられています。また、次代の大型市場とされていることから、有名企業が続々と参入しています。メタバースはビジネスだけでなく、興味関心の面でも注目されている概念です。実現しつつある「仮想世界」の動向に、今後も着目していきましょう。
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