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食いっぱぐれない武器を持て。自分の手で未来を拓くクリエイターのための生存戦略とは。(前編)
INTERVIEW 2020.11.16

食いっぱぐれない武器を持て。自分の手で未来を拓くクリエイターのための生存戦略とは。(前編)

株式会社ミクシィ デザイン本部 制作室 コンテンツデザイングループ マネージャー 越智純平

『モンスターストライク』…“モンスト”の略称で言わずと知れた日本を代表するスマホアプリ。「ひっぱりハンティングRPG」という独自性の高いコンセプトが熱狂的な支持を獲得。リリース8年目で世界累計利用者数5400万人を突破した。さらにその世界観は単なるゲームの枠を超え、アニメ化やグッズ販売、動画番組配信なども含めて広がりを見せている。なかでもオンラインライブ配信イベントは回を重ねるたびにブラッシュアップ。コロナ禍をものともしないユーザーとの熱いタッチポイントとしてプレゼンスを発揮している。今回はオンラインイベントの運営や制作物のディレクションを手掛けてきたコンテンツデザイングループのマネージャー、越智純平さんにインタビュー。前後編の2回にわけてイベントの舞台裏、そしてインハウスクリエイターとして意識すべきことについて語っていただきました。

過去最高のイベント、XFLAG PARK 2020

―まずは10月3日、4日に開催された 『XFLAG PARK2020』(通称:フラパ)、お疲れさまでした!(※当インタビューは10月12日に行なわれました)

ありがとうございます。当イベント初のオンライン開催だったのですが、おかげさまでユーザーさんからは過去最高という評価をいただいています。しんどかったですけど、そういう声は本当に励みになるというか、やってよかったという手応えを感じています。

―越智さんはどういった関わり方をされていたんですか?

僕は主にゲームステージコンテンツの統括を担当していまして、ゲームを活用したコンテンツやニュースまわりの取りまとめ役でした。

―そもそもオンラインイベントのご経験は?

実は今年の2月に 『MONSTER STRIKE de PARTY』というライブ配信イベントをやったんですね。コロナとはまったく関係なく、モンスト公式Youtubeチャンネル5周年のタイミングでライブ配信やりたいね、という流れで実現したイベントでした。その後、7月に開催した 『MONST FREAK 2020~宴~』(通称:モンフリ)は、当初リアルイベントの企画だった。それをコロナ対策で急遽オンラインでの実施に切り替えたという背景があります。

―つまり実質2回の実績をもって今回のイベントに臨んだわけですね

結果論ではありますが、2月のライブ配信はやっておいてよかったな、と思っています。その前例と実績が社内でも認知されたおかげで、7月のモンフリの成功につながったわけですから。あのときはプロデューサーから「2月のようにやってくれ」と言われましたからね。ウチのグループに頼めば何とかしてくれる、みたいな空気ができたのは大きいですよね。

―社内的にも信頼が生まれたわけですね

2月のイベントは外部の制作会社を一切入れず、ほぼ内製でやりました。機材やスイッチャー、音響などは社外にお願いした部分もありますが、少なくとも内容に関してはすべて自前です。台本から素材から制作物に関しても、香盤表まで用意しました。その経験がモンフリに活かされて、今回のフラパにもつながったと思います。

―PARTY、モンフリ、そして今回のフラパ。規模は拡大の一方です

フラパは大きいですね、間違いなく。去年はリアルだけで幕張メッセに約4万人集めたイベントですから。ただフラパに関しては前の2回と違って制作会社に入ってもらったので、僕らは上流工程に集中することができました。おかげでディレクターはみんなモンフリのほうがしんどかった、って言ってます。

―全体の作業量が減った、ということですか?

それもありますけど、モンフリのときはバックアッププランがなかったので。演者、音響さん、カメラマン、その他関係者の誰がコロナに感染してもその時点で終わってしまう状況でした。もちろん対策は取るんですけど、気にしないといけない点がめちゃくちゃ増えてしまって本番まで寝れませんでしたよ。

―その点フラパは万全だったわけですね

前回の反省もありましたし、制作会社側でもバックアッププランを考えてくれていたと思います。そういう面で余計なプレッシャーから解消されたし、その分コンテンツやイベントのクオリティに注力できたわけです。

すべては「ユーザーサプライズファースト」のために

―ではフラパで最も苦労なさった点は?

前回のイベントの面白さを超えなければいけない、というところですね。そのためにはどうすべきか、どうしたらいいだろうか、とディレクターやプロデューサーと議論しながら準備を重ねていきました。ゲームコンテンツしかり、ニュースの演出しかり。

―演出の判断軸みたいなものってあるんですか

「ユーザーサプライズファースト」ですね。これは社長の木村がずっと言い続けていることで、ミクシィの企業理念でもあります。とにかくすべての価値基準、判断基準がユーザーサプライズファースト。もちろん演出も、です。テンション上げっぱなしではサプライズ感ないよね、とか。わざと一回落としてから一気にアゲてみるか、みたいな。

―生配信のイベントにも演出がかなり重要ってことですね

直前まで何が起きるかわからないから、プロデューサーと夜な夜な話しながら詰めていきました。たとえばニュースでも発表する順番や期待値の上げ方でユーザーからの見え方は変わっちゃいますから。トライアル&エラーを繰り返しながら、これならイケるだろう、ってところまで事前にしっかり作り込んでいます。

―細部へのこだわりが、過去最高という評価にあらわれた?

ユーザーがどんな情報を欲しがっているかも重要だし、それがどれだけの力を持っているかも見極める必要がある。また発表する順番も最初がいいのか、それとも途中で一回休憩したあとがいいのか。数え切れない検討を経ての本番ですから、過去最高の評価は本当にうれしいですね。もちろん外部の制作会社含めた関係者全員に与えられたものですが。

―そういう越智さんのスキルや感覚はどうやったら鍛えられるんですか

そうですね…僕、入社してからかなり長い間モンストニュースの生配信を担当していたんですよ。以前はXFLAG STORE SHIBUYAの地下で生配信をやっていました。生配信といっても僕も特に知識や経験なかったんですが、機材の設置や配線など何もないところから立ち上げて、なんとかいまの状態まで持っていったんです。

―もともと発信側としてすべてを知り尽くしていたと

ニュースの流れもずっと見てきたし、演者の人たちと一緒にやらせてもらってきたので。やっぱり演者さんたちは誰よりもユーザーの熱量を感じているわけですよ。当然ユーザーのマインドにも精通しています。だから彼らに相談して情報の順番を決めたり、実際に僕もスイッチングしながら「このタイミングでこれを流そう」みたいなことを実践したり。そういった現場経験を重ねていったことがまずひとつ。

―他にもあるんですね

もうひとつは僕がモンストのヘビーユーザーってことですね。ユーザー目線というよりもまず自分が嬉しいか、驚くか、ワクワクするかを考える。この順番でニュースが出されたらとか、このタイミングでこの発表をまさかしないだろうと思うはず、だからあえて出したらシビれるだろうなあとか(笑)。どうすればユーザーを唸らせることができるか。それは常に自分自身への問いかけでもあります。

ビジネスとクリエイティブの橋渡し役

―とはいえ、時にはハズしてしまうこともあったりしませんか?

もちろんあります。やってみないとわからないこと、仮説立ててやること、予想の上での判断。そういうのはいくらでもあります。あと、なんだかんだ言っても僕らは依頼されている立場ですから、こちらが「こうしたい」ということがあって提案はしても、無理強いはせず、事業部側の意図を汲み、尊重します。 一方で、もっと事業側との連携をスムーズにしたほうがユーザーに良いものを提供できるという思いもあって、僕はいま、制作側と事業側を兼務するようにしているんです。自分からやらせてくれ、って言って。ただ、誤解がないように言っておくと事業側と制作側に軋轢みたいなものはなくてあくまでポジティブなんです。

―と、いいますと?

みんな「ユーザーサプライズファースト」に基づいて考えたり、発言するんですよね。本質のところで同じ方向を見ているんです。だからニュースの順番ひとつとってもこっちのほうがユーザーにとってはアガるんじゃない?っていう意見がでてくる。それっていうのは文句じゃなくて、よりよくしようとする視点じゃないですか。

―まさに清々しい議論ですね

社長の木村はモンストの産みの親なんですよね。モンストをサービスとして育てていくうちに、社内でぶつかりあうんじゃなくてユーザーのほうを見ようよ、という風土が醸成されていったんです。それが「ユーザーサプライズファースト」で、メンバーはみんなその考え方のもとに集まっているからブレがない。

―採用にも筋が通りますね!越智さんも理念に惹かれてのご入社ですか?

僕はミクシィに勤めていた大学時代の友人から声をかけられたんです。動画の組織を立ち上げたはいいけど、人が足りないから来てくれ、と。ただ、入社してからは「ユーザーサプライズファースト」という言葉とともに仕事に取り組んできました。そしていまではすっかり新人に言い聞かせる立場に(笑)。

―そもそもクリエイターを目指したきっかけは?

映画です。中でもハリウッド作品が好きで。当時ハリウッドのVFXに興味があって、合成とかやりたかったんです。で、ご当地ではAutodeskのInfernoやFlameを使っているという情報を得るんですが、日本でそういう高額ソフトを使っているのはCM業界。なので就活はCMのポストプロダクションしか受けなかったんですよ。

―ポスプロがキャリアのスタートだったんですね

念願かなってFlameいじったりいろんな編集機材を使い倒しつつ、アシスタントみたいなことをやっていました。その後、一度ゲーム会社に転職します。コンシューマーゲームの大手。動画経験者を正社員ではなく契約社員で募集していたんです。そこで宣伝業務に携わるんですが、あっさり半年で契約を切られてしまって。

―えっ!?

なんというか、社会人としての基礎ができていなかったんですよね。ずっとポスプロで働いていたせいか、ビジネスにおける最低限のスキルが身についていなかった。メールとかも不慣れで。考えてみればポスプロって制作会社の人としかやりとりしないから、一般的な社会人の素養は育ちにくい環境なんです。

―それは大変でしたね…

やることはやっていたんですが、なかなか周囲や仕事にうまく馴染めず、半年で契約終了。もう一度ポスプロに戻ることになったんです。友人から声がかかるのはその少し後ですね。でも、このときの経験がミクシィに入社してからの僕を作ったといっても過言ではありません。いまは契約を切られたことにも感謝しているぐらいなんです。
後編へつづきます)


【サービス概要】
■XFLAG PARK
「XFLAG PARK」は、「モンスターストライク」をはじめ、ミクシィのエンターテインメント事業ブランド「XFLAG」がプロデュースするゲーム・アニメ・音楽・スポーツなど、多彩なジャンルが融合したステージやアトラクションを提供するLIVEエンターテインメントショー。2016年から毎年開催しており、今年は初のオンライン開催となった。「離れていても、ココロはつながる。」をテーマに、オンライン開催であっても、友だちと一緒に盛り上がれるコンテンツを提供した。

■モンストニュース
毎週木曜16:00にモンストのキャラクター情報やイベント情報などといった最新情報をYouTubeで配信。毎回約3〜4万人(配信中の同時接続数)の方が視聴している。

■XFLAG STORE
2017年5月に、東京・渋谷にXFLAG初の常設店舗として「XFLAG STORE SHIBUYA」をオープン。2018年6月には、大阪・心斎橋に2店舗目となる「XFLAG STORE SHINSAIBASHI」をオープン。ともに、大型タッチディスプレイを配した近未来的な売場で、「プレイする」感覚で商品の購入が可能。

取材・編集:早川博通( @hakutsu)
撮影:小野千明

株式会社ミクシィ デザイン本部 制作室 コンテンツデザイングループ マネージャー

越智純平

1985年愛媛県生まれ。大学卒業後、CMのポストプロダクションでキャリアをスタートさせる。その後、ゲーム会社で契約社員として宣伝業務に携わるも半年で契約解除の憂き目に。学生時代の友人の紹介により2015年、ミクシィに入社。現在、デザイン本部のコンテンツデザイングループを率いるマネージャーとして、事業部を跨いで縦横無尽に活躍中。

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