クリエイターが知っておきたい「音声コンテンツ」の知識:種類・市場・将来性など
デジタルコンテンツが世の中にどんどん浸透しています。ニュースアプリでテキストコンテンツを読み、YouTubeやSNSライブ配信で動画コンテンツを視る、そんなことはもはや当たり前です。
そして、ここにきて注目されているのが、「聴く」ことを届ける音声コンテンツです。
そこで、今回はクリエイターやクリエイティブ業界の方向けに、音声コンテンツの知識を掘り下げて解説していきたいと思います。
音声コンテンツで大事なポイント
ポイント:音声コンテンツと音声メディアを分けて考えよう
まず、音声コンテンツの知識を掘り下げるうえで大事なのが、音声コンテンツと音声メディアを切り分けて考えることです。
ナレーターが本の内容を読んで、それを聴くというコンテンツは「オーディオブック」であり、オーディオブックを聴くためのメディアの一つに「Amazon Audible」というものがあります。
そして、メディアは、マスメディアやプラットフォームだけでなく、コンテンツと受容者を媒介する(繋ぐ)すべてのモノを指します。ここが非常に重要で、IoTが進んでいることが、音声コンテンツの市場拡大に繋がっているからです。
プラットフォームやメディアにとらわれずに、音声コンテンツを幅広く捉えようとする視点を持つことは非常に大切です。
音声コンテンツの種類
音声コンテンツとはどんなコンテンツがあるのか?
もしかすると、皆さんの想像以上に、音声コンテンツには多くの種類があることに気づかされるかもしれません。以下に音声コンテンツの種類をピックアップしてみましょう!
<音声コンテンツの種類>
・ネットラジオ
・オーディオブック
・音声講座/音声セミナー
・音声ブログ記事
・音声対談
・音声小説
・音楽LIVE(映像なし)
・音声キャラクター配信
・マインドフルネス瞑想ガイド音声
・リラックス目的の風景音
・ペットの鳴き声ややり取り音声
極論、音声で伝えられるものは何でもコンテンツになります。そして、「音声のみ」で聞きたいというニーズは非常に多いのです。
音声コンテンツの市場規模
音声コンテンツの市場は可能性に溢れている
『令和元年版情報通信白書』の統計では、2017年の日本における音声コンテンツ市場の規模は約7,500億円。市場の99%がラジオ(27%)と音楽(72%)です。
2017年のネットオリジナルの市場規模は1%の約82億円となっています。しかし、この数字は5年前の約2.5倍。
市場規模は現状で小さいながらも、確実に発展していて、将来性・可能性に溢れていると受け取ることができます。
Edison Research社「The Infinite Dial 2019」の調査を参考にすると、米国におけるオンライン音声コンテンツの聴取状況は2010年には週間聴取ユーザーが30%以下、月間聴取ユーザーが20%以下だったにも関わらず、2019年には週間聴取ユーザーが65%以上、月間聴取ユーザーが約60%にまで跳ね上がっています。
音声コンテンツが注目されている理由
「今」音声コンテンツが注目されているの?
音声コンテンツが注目されているのは、IoTが大きく関係しています。IoTとはモノをインターネットに繋ぐことです。
最も馴染みのあるものに、「スマート(AI)スピーカー」があるでしょう。家庭で使用するものには、Amazon Echoやgoogle homeがあります。
また、スピーカーだけではありません。例えば、メルセデス・ベンツには、対話型インフォテイメントシステム“MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)というものが搭載されています。
「ハイ、メルセデス!」と声を掛けると、様々な要望に対応します。
スマートスピーカーは、AIによる学習機能で、特定のユーザーに個別対応できる能力を備えています。
IoTやAIにより、受付やガイドやカスタマーサポートなどは、機械が柔軟に担うようになります。
私たち人間の最も根本的なコミュニケーション、「会話」はまさに「音声コンテンツ」と言えるでしょう。
時代の総合的な流れによって、今、音声の重要性が再注目され、音声コンテンツにもスポットが当たっているのです。
音声コンテンツのメリット
メリット1:ユーザーの想像力を掻き立てる
音声コンテンツはビジュアルが不足していますが、今やそこが大きなメリットです。
時代が進むにつれて、リッチコンテンツがスタンダートになっているため、シンプルなコンテンツの個性が際立つのです。
実際に、動画の時代と言われても、小説などの「文字のみの読み物」は書店にずっとトレンドのように並んでいます。
音声は音声のみだからこそ、私たちが様々な想像を広げるエスコートをしてくれる優れたコンテンツになるのです。
メリット2:作り込みがシンプル
クオリティの高め方が非常にシンプルです。音質とコンテンツの質の両者を高めるのみです。
素人でも努力の成果が見えやすい点は音声動画に取り組む際の大きなメリットだと言えます。
メリット3:ながらコンテンツとして音声は優れている
何かをしながら受容するコンテンツとして、音声は非常に最適です。
BGM(バックグラウンドミュージック)は豊富にあって馴染みがあっても、BGM(バックグラウンドムービー)だと意識して視聴することは滅多にないと思います。
音声はほどよく黒子になります。
オーディオブックは、他人から話を聴くようなほどよいリラックス感で、読書体験を補完できます。読書だと、やはり目で文字を追うわけですから、しっかりと集中しなければ、コンテンツを味わった感覚は得られません。
「聴く」という行為は、何かをしながら受容するにはとても優れているのです。
マルチタスクが激しくなる時代に、音声コンテンツは相性がとても良いでしょう。
最後に:音声のみで提供できるものはたくさん存在する
音声のみでコンテンツを開拓・開発していこう
以上、クリエイターが知っておきたい音声コンテンツの知識を分かりやすくまとめていきました。
音声コンテンツには様々な可能性があります。自社やクライアントの音声に注目すると、面白い活路が見いだせるかもしれません。
例えば、採用ツールで、動画というのは定番ですが、社内のコミュニケーション環境を音声のみで届けても良いでしょう。ヘッドフォンで聞くと、デスクに座っているような臨場感を体験でき、志望者とのミスマッチが減る可能性もあるでしょう。
単なる一般的な音声をハイクオリティにまとめるだけで、ユーザニーズを満たすかもしれません。
料理動画は定番ですが、「料理の音声」(材料を切った音、揚げた音、炒めている音)などを集約すれば、グルメで音フェチな人から人気のメディアになるかもしれません。
ぜひ、音声コンテンツに対する可能性を自分自身で掘り下げてみてください。
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