仕事ができるクリエイターの見抜き方
制作に必要なクリエイターを確保する際、正社員の採用担当者も、外注を決めるディレクターも、「仕事ができる人材を見抜く」ことが1つのハードルとなります。
目に見えてクリエイターの地力が溢れ、自社のニーズに応えてくれる人材は、そう簡単には見つからないこともあるでしょう。
実績も実力もイマイチな場合でも、行動体質や精神性は「磨けば光る」という人材もいます。
そこで、今回は、仕事ができるクリエイターの見抜き方について解説していきたいと思います。
やったことがあるなしで判断しない
プレイヤーとしてのクリエイティブ経験がない採用担当者や発注者は、しばしば「求める分野をやったことがあるかないか」でマッチングを判断します。
金融メディアの担当者がライターを探す際に「これまで金融のライティングの経験はありますか?」と質問し、「ない」と答えると、その人材を弾くようなイメージです。
この探し方だと、以前に金融の分野をアウトプットしていないライターはすべて弾かれます。選択の幅も狭まってしまいます。
良いクリエイターというのは、「未開への親和性が非常に高い」という特徴があります。やったことない分野でも、主体的に取り組む、高いリテラシーで、既に経験のある人のクリエイティブの質をなんなく超えていきます。
実績の多様性は操作性へ繋がる
ポートフォリオを閲覧した際に、多様性のある活動が確認できれば、それは彼のコマンドの多さを意味します。
常に変化を取り入れる体質は、修正依頼後に、既存にこだわらない舵取りにも繋がっていきます。
過去のクリエイティブに捉われずに、再度、クライアントやディレクターのニーズを理解し、やり直すレジリエンスの根幹になります。一緒に仕事をする仲間としては非常に心強いと言えます。
実績の質はマネジメントで引き上げられるか?
実績の質で採用の是非を問うのが当たり前かもしれません。即戦力を求める場合なら尚更でしょう。
しかし、クリエイターへの提案・指示・精神的フォロー、こういったコミュニケーションだけで、クリエイティブされるものの質はとても高いレベルに引き上がっていきます。
良いディレクターは、自分のスキルと掛け合わせて、そのクリエイターの力が、既存のポートフォリオのものよりもどれぐらい伸びるのか、はたまた、落ち込むのかを常に熟考しています。
社内で使える人材が一向に見つからない、そんな事態に陥っているなら、もしかすると、教育力や采配力の高いディレクターを探すほうが先なのかもしれません。
相手軸を起点に創造できるか?
クリエイターはアーティストではありませんが、どこかアーティスト的要素を含んだものと捉えられがちで、クリエイター自身もそう思っている節があるようにも思えます。
クライアントワークにおけるクリエイティブの底力は、クライアント軸に考える力です。アイデアやノウハウはあらゆるところから引き出せる時代です。
すると、大事なのは「クライアントのニーズを理解する土台」を持って、アイデアやノウハウと結びつける作業になります。
相手軸に立つことを苦にしない、相手の立場を妄想的に楽しめる、そんなクリエイターはクライアントのニーズを叶える確率が高まります。
知的好奇心の余白が常にある
クライアントワークとは、クライアントの分野を取り扱う仕事です。なので、単に自分の求められた範疇のクリエイティブを実行するだけでなく、隙あれば、クライアントの分野について自然に掘り下げてしまうような「知的好奇心の余白」を持ったクリエイターのほうが、仕事ができる可能性が高くなります。
自然に「知的好奇心の余白」を持ったクリエイターは、本人は何気なく行動しているつもりでも、その行動がクライアントにとっては「サービス精神」や「愛着」に映ることが非常に多いのです。
知的好奇心の余白は、ディレクター職を含めた「コミュ力」が求められるあらゆる仕事ができるかどうかのチェックリストにも適用されます。知的好奇心の余白はしばしば相手の心を大きく開示することを促し、より広くて深い内容を引き出すきっかけになるからです。
視点としての外向性がある
コミュニケーション力に優れるクリエイターは重宝されます。なので、会話や対人関係で外向性がある人材がどこか優れているようにも思えるでしょう。
しかし、会社のクリエイターとして考えるならば、外向的なコミュニケーションそのもので人材を判断するのではなく、外向的な視点を常に持っているかどうかを見極める必要があるように感じています。
外に視点が向くことができれば、その視点をクリエイティブに生かすことができます。視点が内向的な場合は、アイデアやスキルは既存の内に秘めたものに限られるでしょう。自分の実力によりよい付加を行うには、視点としての外向性があるかどうかがポイントになるのです。
クリエイティブ的な素直さがある
素直であることは、成長性の高さを示します。しかし、素直さは会社への忠実性とは限りません。例えば、上司の指示に対してどんなに愚痴を零しても、いったんクリエイティブを行えば、ニーズに対して素直に向き合うかもしれません。
与えられた命題と向き合い、よりよりパフォーマンスを返す意志、それこそがクリエイティブ的な素直さだと言えます。表向きの態度や言動ではなく、クリエイティブ的な素直さを見極めれば、よい人材を確保できるようになるでしょう。
最後に:仕事ができるクリエイターはみんなで一緒に作るもの
仕事ができるクリエイターとは、究極のところ「仕事ができる環境や人間関係に拠るところが大きい」とも言えます。同じクリエイターでもどのように采配するかで、結果は異なります。その結果の連続によって、企業内で日々過ごすクリエイターは影響を受けていきます。
結局は、クリエイターの本質を捉えながら、よい影響を与えることを日々考えることも、企業に求められたことだと言えます。今回の記事にあるような仕事のできるクリエイター像を参考にしながら、既存の力だけに頼らずに、これから引き上げる、引き上がるという視点で、クリエイターを発掘してみて下さい。
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