3Dモデラーとは?仕事内容や必要なスキルなども併せて解説!
昨今、3DプリンターやVRなどの3Dテクノロジーが話題となっています。そうした背景も一因となり、注目を浴びているのが3Dモデラーという職種です。3DモデラーはCGの造形(モデリング)に携わる仕事で、プラモデルを組み立てたり、イラストなどの創作物を編みだしたりするのが得意な人は大きな関心を寄せていることでしょう。
この記事では、3Dモデラーの仕事内容や必要なスキルなどを解説していきます。
3Dモデラーとは
3Dモデラーとは3Dソフトを駆使してゲーム、アニメ、映画、アプリなどで用いられる立体的形状を制作する仕事で、デザイナーが手掛けた作品を基にキャラクター、背景、モーションなどを3D化します。
仕事内容
3Dモデラーの仕事は4段階に分けられます。
・ミーティング
クライアントに依頼されたデザイン資料を基に、どのようなモデリングにしていくかなどの構成案や企画案を立てる業務です。認識の齟齬が生じないよう綿密に打ち合わせを行います。
・モデリング
従来のモデリングにはポリゴンやメタボールなどさまざまなノウハウが必要でしたが、近年は精巧的なハイメッシュ3Dモデルを容易に作れるようになったため、少ない作業で良質な作品に仕上げることが可能となりました。また、クライアントの要望によってはポリゴン数を抑えるために、リトポロジーと呼ばれるポリゴンメッシュの再構築を行い、より理想像へ近づけることもあります。
・テクスチャ
モデルに色・影・光などの細部の調整を施し、見た目の完成度を向上させる、テクスチャを行います。その他にも、高さに関する情報「ノーマルアップ」を追加し、高低差による質感などの表現も付加します。
・リギング
3Dモデルの骨格となるボーンを配置した箇所に回転軸やヒンジを設定し、モーションを付ける業務です。ボーンは対象物を動かすために必要な工程で、僅かな動作や円滑な動作を表現したい場合はボーンの量も増加します。リギングは、モーションやアクションなどの設計に熟知した人でないと難しいため、リギング専任のスペシャリストが担当するのが一般的ですが、3Dモデラーが行う場合もあります。
モデリングの手法
3Dモデラーが行うモデリングには3つの手法があります。以下では、ポリゴンモデラー、サーフェイスモデラー、ソリッドモデラーについて紹介します。
・ポリゴンモデラー
多角形面といった、三角・四角形面を組み合わせることで、物体を描くモデラーです。ゲームやアニメのキャラクターや背景といった、生物的な滑らかな表現を得意とします。
・サーフェイスモデラー
NURBSと呼ばれることもある手法で、数学的な面の形状を用いて作品を表現します。メカニカルで微細なデザインが要求される自動車の造形など、工業系の作品に用いられることが多い手法です。
・ソリッドモデラー
ポリゴンモデラーとサーフェイスモデラーの両手法を掛け合わせる手法です。製造業では最も使われるモデラーで、設計関連のグラフィックなどに活用されています。
3Dモデラーの将来性
3D技術の進歩が著しい昨今は、アニメやゲームはもちろん、映画などの映像コンテンツで3Dモデラーのニーズが増加しています。さらに、3Dモデラーは広告や工業などの業界にも必要とされており、今後益々高い技術を有した人材が求められると推測できるため、将来性が高い業種だといえます。実際に3Dモデラーの求人案件数は、3DCG関係の職種では比較的多く、単価も上昇傾向にあります。
3Dモデラーの目指し方
3Dモデラーを目指す場合は、CG制作のスキルを習得できる情報系の大学やグラフィック・プログラム系の専門学校を卒業し、知識・経験の習得のためにゲーム制作会社やアニメ制作会社などに就職するのが一般的です。
ここでは、資格や求められるスキルなどについて紹介します。
必須の資格
3Dモデラーに必須となる資格はありませんが、所持しておくと役立つ資格は存在します。たとえば、CGクリエイター検定はCG作成に関連した基礎知識が備わっていることのアピール材料となります。また、画像処理エンジニア検定や色彩検定などの資格があれば、モデリングに活用できる技術を学べるので就職で有利に働くでしょう。
求められるスキル
3Dモデラーに求められるスキルは主に4つあります。
・デジタルスキル
Maya、3ds maxといった定番ソフト以外にも、最新のソフトを取り入れてCG作成をする企業が多くなっています。そのため、Zbrushなどのスカルプトモデリングをはじめ、HoudiniやSubstancePainterなどの数式を展開するプロシージャル、UnrealEngine4などのゲームエンジンと、さまざまなソフトに対応できれば活躍の場が広がります。CGソフトウェアやハードウェアは性能の向上が早く、常に進化を続けている状態です。そのため、最先端のテクノロジーを逃さず取り入れ、業務に反映させてハイクオリティなCGを作れるように研鑽を積みましょう。
・空間認識能力
業務を進めるなかで、空間や物体を立体的に把握する空間認識能力が問われることもあります。空間認識能力を鍛え上げれば、より良質な3D作品の制作ができるでしょう。空間認識能力は折り紙やパズル、ゲームなどで鍛えられます。
・デッサン力
3Dモデラーは絵心がない人でもなれますが、デッサン力を磨くことでモデリングに必要なデザイン性や観察能力が身に付きます。
・英語力
3Dモデラーが使用するソフトは基本的に外国の製品が多く、公式のWebサイトやドキュメントは英文で説明されていることが珍しくありません。したがって、ソフトをはじめCGに関連した情報を調べる際は、英語が理解できると役に立ちます。
3Dモデラーに向いている人
3Dモデラーは仕事の性質上、立体物の仕組みや全体像を理解しなければなりません。生物や建物などあらゆる造形物に関する基礎知識を有していることに加えて、対象物の特徴を把握する観察能力が求められます。したがって、空間認識能力やデッサン力が優れている人は3Dモデラーに向いています。
また、地図の作製や立体パズルの組み立てが得意な人は空間認識能力に長けていることが多く、3Dモデラーに適しているといえます。
3Dモデラーに関連する職種
ここでは、3Dモデラーに関連する職種を3つ解説します。
モーションデザイナー
モーションデザイナーは、CG制作にあたってキャラクターの動作設計を担います。キャラクターの動作は作品のクオリティに関わる重要なものであり、いくら良いシナリオでも動作が不自然だと作品の評価が下がってしまうこともあります。また、モーションデザインでは人型のみならず動物や植物、架空の生物などを設計することもあるため、筋肉の仕組みや物理などの専門的な知識を深めことも必要です。
CGデザイナー
CGデザイナーは、コンピューターを使用してグラフィックスの作成を行う仕事です。CGは主にゲームやアニメ、映画、CMなどの映像コンテンツで多用されており、技術を活かす機会が多くなっています。建設現場や工業製品の設計などでも必要とされており、CGデザイナーを求める企業は増加しています。
CGアニメーター
CGアニメーターは、2D・3Dで作成したグラフィックにアニメーションを加える仕事です。従来のアニメーション制作においては1シーンごとに手作業で進めながら撮影を行っていたため、時間と手間の掛かる大変な作業でした。しかし、専用のデジタルツールが登場したことで、反復する動作や修正作業などが容易になりました。
アニメーション業界はもちろん、医療福祉やレジャーなどの宣伝に採用されることもあるので、普段からさまざまな出来事に興味を持つ姿勢が求められます。
まとめ
この記事では、3Dモデラーの仕事内容や必要なスキルなどを解説しました。
3Dテクノロジーは今後も急成長を遂げていくことが予想されており、それに伴って3Dモデラーのニーズも高まると考えられます。3Dモデラーは高いスキルや専門知識が求められる職種ですが、それに比例して仕事の達成感が得られる仕事です。3Dテクノロジーに関心がある人や立体的な創造物に興味を持っている人は、3Dモデラーを目指してみてはいかがでしょうか。
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