VRクリエイターとは?必要なスキルやスクールなどを紹介
まるで現実を体験しているかのような仮想空間を作る「VR」という技術は、「Oculus Rift」や「PlayStation VR」といった安価な装置が2016年に販売を開始したこともあり、現在普及が進んでいます。VR、は人間が装着する機械を作るだけでは成立しません。装着した機械を通して見る映像があってこそ完成します。
この記事では、VRの映像を作る「VRクリエイター」という仕事について、実際にはどのような仕事なのか、何を学ぶ必要があるのか、そしておすすめのスクールを紹介していきます。
VRクリエイターとは
VRクリエイターとは、VRで使われる映像を作成する仕事で、VRエンジニアと呼ばれる場合もあります。ここでは、VRクリエイターはどのような仕事なのかを解説します。
仕事内容
VRクリエイターの仕事はVRの映像を作ることですが、VRの映像には大別して「CG」と「実写」に、この2つを合成した「AR」を加えた3種類があります。CGではゲームを中心にエンタメに関する映像を作ります。実写VR映像の使い道は現在どんどん広まりつつあり、医療、教育、旅行、不動産業界などの他に軍事や製造業、農業といった分野でも活用が始まっています。ARは、現実世界に仮想世界を乗せる技術で、ゲームアプリの「ポケモンGO」はこのAR技術によって生み出されました。
平均年収
VRクリエイターの年収は、求人ボックスによると2020年時点でVRエンジニアを含むバックエンドエンジニアの年収はおよそ550万円程度となっているので、VRクリエイターも同程度と見積もることができます。
また、「IT人材白書2020」によればVRエンジニアを含む先端IT技術者においては、年収1000万から1500万の人の割合が15.2%と最も多く、次いで年収600万から700万が13.6%となっており、他のITエンジニア職種と比べて高いといえます。
将来性
求人サイト「Hired」によると、2019年の1年間でVR/ARエンジニアの求人数は2018年から14倍に伸びています。求人が伸びているのはVR/ARの業界が伸びている表れでもあります。ゴールドマンサックスは、VR元年と呼ばれている2016年に「2025年までにVR/ARの市場規模はおよそ9兆円、2016年時点でのデスクトップPC市場と同程度に達するだろう」と予測を立てました。将来的には大容量の通信が可能な通信規格「5G」の普及が、VRの普及を促すといわれています。
VRクリエイターになるには
ここからはVRクリエイターとして活躍するために何をすればいいのか説明していきます。
必要なスキル
VRクリエイターはITエンジニアの一種なので、コンピューターを使いこなすスキルが求められます。
まず、ゲーム開発エンジンであるUnityとUnreal Engineのうち、最低でもどちらか片方を使いこなせることが必須条件です。Unityはスマホゲーム、Unreal Engineはリアルな3Dゲームを開発する際に用いられます。また、ゲームエンジンが使えればプログラミングコードを書かずにゲームを制作できますが、仕事を進めるうえでプログラミング言語スキルは必須となります。習得すべきプログラミング言語の例は以下のとおりです。
・JavaScript
・C#
・BluePrint
・C++
・Ruby
・GO
必要な免許・資格
VRクリエイターに必要な免許や資格はありませんが、「VR技術者認定試験」を受けておくと一定のスキルがあることをアピールできます。
受験するには日本バーチャルリアリティ学会によって主催される「VR技術者認定講習会」を受講する必要があり、試験と講習会にはどちらも「セオリーコース」と「アプリケーションコース」の2つがあります。一方の試験合格すると「バーチャルリアリティ技術者」、両方に合格すると「上級バーチャルリアリティ技術者」の資格が認められます。
知名度はまだ低く、講習場所は東京のみですが、この資格を取得しておけば「VRの能力」だけでなく「VRへの情熱」をアピールすることができるでしょう。
必要な資質・向いている人
VRの中では、360度どの方向から見ても問題ない3Dを制作できる立体造形力が求められます。VRの世界を作るために様々なものをCGで描くことになるので、デッサン力や日常生活での観察力も求められます。「そもそもどのようなVR世界を作るのか」「このようなVR世界だったらものがどのように見えるのか」といった発想力も重要なスキルです。
また、VRではチームで作業をするのが一般的です。クライアントの要望を引き出す、専門家ではない相手に技術を分かりやすく説明するシーンも発生するため、高いコミュニケーション能力が求められます。
VR/ARは未開拓の業界です。そして、農業や製造業、教育など様々な分野での応用が見込まれていることから、新たなジャンルにチャレンジするフロンティアスピリットや、最新の技術をキャッチアップする探究心があると望ましいでしょう。
未経験から目指せる
VR/ARは一般人の手に届くものになってからまだ10年も経っていない、黎明期にある技術です。そのため、経験豊富なVRクリエイターはまだほとんどおらず、VRクリエイターの絶対数も不足しています。業界全体がこのような状態のため、独学でVRクリエイターを目指すことも可能ですし、新卒採用した人材をゼロから教育してVRクリエイターに育てる企業も存在します。比較的未経験者でも目指せる職種といえるでしょう。
おすすめのVRスクール3選
VRについて独学で学ぶ場合、教科書を購入したり、学習サイトや動画を利用したりする方法があります。しかし、独学は相談できず挫折しやすい、自分にとって適切な教材を選ぶのが難しいといったデメリットがあります。そこで、効率よく学習を進めたい方にはVRスクールの受講をおすすめします。以下では、VRの技術を学べるスクールを3つご紹介します。
・アミューズメントメディア総合学院
「AMG」と呼ばれることもあり、ゲームプログラマー学科の中に2019年からVR・AR専攻を開設しました。2年制で1年目は共通の講義を受け、2年目は専攻によって異なる授業を受けます。即戦力の人材を育てることを目指し、産学共同、現場実践教育に力を入れており、1年目から3本のゲームを作成します。実際に、在校生が制作に関わったゲームがsteamで販売されることもあります。
・バンタンゲームアカデミー
VR/ARについては3年制のゲーム学部VR・MRクリエイター総合のコースで学びます。また、この3年制のコースとは別に高卒資格・大卒資格も取得可能なコースもあります。VRゲーム開発エンジンであるunityの認定校であり、実践的な授業を展開しているのが特徴です。最大25名という少人数クラスの採用や、4,500本以上の動画講座のオンライン配信で学習をサポートしています。
・ヒューマンアカデミー/夜間・週末(短期)講座
VRクリエイター養成講座が秋葉原校と大阪校で開講されており、これらの授業はリアルタイムライブ配信を通した双方向のやり取りで受講することもできます。株式会社ディーワン監修のコンテンツを、週1回3時間、全10回で学びます。また、通信講座でもVR基礎講座を開講しており、5つの課題をディーワン監修の教材で学ぶことができます。
まとめ
VRクリエイターになるにはどのようなスキルが必要なのか、学ぶ場にはどのようなものがあるかを解説してきました。VRは黎明期にある業界です。もしVRクリエイターに興味があれば、未経験でも飛び込んでみる価値があるといえるでしょう。
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