ブランディングとは?目的・メリット・実施のポイントを分かりやすく解説
スマートフォンの普及やSNSの発達などによってユーザーはブランドと接触する機会が増えています。そこで、企業は消費者やユーザーとの取引を一度きりではなく、継続して取引してもらい「ロイヤルカスタマー化」を目指す施策に注力するようになりました。そこで重要となるのがブランディングの施策です。この記事ではブランディングの目的・メリット、そして実施する際のポイントについてご紹介しています。
そもそもブランディングとは?
ブランディングについて理解を深めるためには、まず「ブランド」について正しい知識が必要です。
ブランドと呼ばれる製品やサービスは「識別されている」状態にあるものを指します。ポイントは「消費者やユーザーに認知され、価値が認められた製品やサービス」がブランドとして識別されるのであって、企業側がいくら宣伝・販促活動を行ったとしても、消費者側に認知と価値観の共感が成されていない状態はブランドとして成立しているとは言えません。
そしてブランディングとは「ブランドを総体的に演出して消費者やユーザーに与える価値・体験を最大化する」ための施策・活動のことです。ブランディング活動とはブランドを形成するための活動全般の事を指し、製品やサービスに競合以上の価値を付与することをはじめ、デザイン、シンボルマーク・ロゴタイプ、キャッチコピー、コーポレートカラーなどを策定する活動や効果測定を指します。
なお、製品やサービスの品質が市場で認められていて、競合よりも高い価値を実現できていればブランディングは必ずしも必要な施策ではありません。では、なぜ多くの企業・ブランドがブランディングを行っているかというと、「市場において製品やサービスの優位性を確立させる」ためです。例えば、国内スマートフォン市場においてトップシェアを誇るスマートフォンブランド「iPhone」は、数年来に渡り消費者に「スマートフォンと言えば」というイメージを浸透させて市場での優位性を確立することに成功しています。
当然のことながらブランディング施策にはコストが必要です。同じ市場で競合が強大なブランドとして成立しいる場合、それを覆して市場の優位性を確立するのは決して簡単なことではないでしょう。このような市場でブランドは新たな価値観を形成するために戦略的なブランディング施策が必要です。
ブランディングの目的とメリット
ブランディングの最大の目的はブランドのもつイメージがブランドと消費者・ユーザー間で共通している状態を作りあげることです。消費者・ユーザーがブランドに高い共感力を示している状態では、販促活動や値引きを実施しなくてもユーザーがブランドを選択してくれるとされています。さらに、ブランドの価値が向上した状態では以下のようなメリットを得ることができます。
集客力の向上
ブランディングにおける集客力とは、広告の掲載やメディアへの露出を増やして購買につなげる一時的なものではありません。消費者やユーザーとの間で長期的な関係性を構築し、ブランドのファンを増やして価値観が伝達される、そしてさらなるユーザーが集まってくる状態がブランディングにおける集客です。なお、集客力の高いブランドは販促活動の効率も非常に高い上に、一度ユーザーとなればブランドから離れることが少ない特徴を持っています。
収益の向上
消費者やユーザーに確かな価値があると認識されたブランドは、市場価格での優位性や値引率の低減といった収益性の向上につながる作用を生み出します。これは、機能性が同等でも高価なブランドの製品が市場シェアを独占するケースなどから読み取ることができます。さらに、近年重要視されているLTV(顧客生涯価値)の向上は収益性の向上に深く関係しており、ブランディングによって顧客との取引を継続化することによって、長期的な収益性の向上に結びつけることが可能になります。
販売活動の効率化
様々な理由から営業・販売活動の効率化が求められる昨今においては、ブランディングによる販売活動の効率化は事業規模に関わらず有効です。従来の販売活動のように一人でも多くの認知を獲得するのではなく、限られたセグメント内で有効的な認知を獲得することに注力する方法へシフトするなど、ブランディングによってアプローチ先を明確化させることで販売活動を効率化できます。
ブランディングのポイント
ブランディングの効果は集客・収益・販促などあらゆる局面においてマーケティングを効率化させることができます。ここからはブランディングを実施する上で必須となるポイントについてご紹介します。
構成要素の把握
ブランドは5つの要素によって構成されています。これらの構成要素を把握して戦略的に実施するブランディングは消費者やユーザーに強い印象を与え、想定以上の価値をブランドにもたらすでしょう。
・ブランドポジショニング:ブランドが「何のために」「誰のために」存在しているか、存在意義を定める要素です。ポジショニングを明らかにすることで、ターゲットにもたらす価値が明確になります。
・ブランドパーソナリティ:優れた製品やサービスには確固たる個性が存在します。この個性が強いほど消費者やユーザーとの間に強い親近感を生み出すことになります。
・ブランドアソシエーション:消費者やユーザーがブランドを見聞きした際に連想されるであろうイメージを定義しておくことで、ブランドがまとう雰囲気を定着させる役割を果たします。
・ブランドストーリー:ブランドの設立や製品やサービスが生まれるきっかけなど、物語は消費者やユーザーとの心理的距離を縮める役割を果たします。
・ブランドプロミス:ブランドが製品やサービスで自分たちにどんな価値をもたらしてくれるのか、これこそが消費者やユーザーの最大の関心事であり、ブランドが果たさなければならない約束事です。
多角的な分析
ブランドの現時点でどのように認知されているのか分析と把握を行います。この分析の結果がブランディングの基礎となるので、時間とコストをかけて丁寧に実施することが望ましいです。分析によって現状と課題が明らかになるほか、あらたなビジネスチャンスが発掘されることも少なくありません。したがって分析は一方向のみならず、多角的に行う必要があります。
ペルソナの策定
ブランドのシンボルとなるペルソナを策定することにより、ターゲットとの共感をより鮮明にイメージすることが可能です。明確なペルソナの策定によってブランドの世界観や理念やミッション、そして顧客提供価値が設計可能になります。
独自性の発掘
製品やサービスの独自性には市場価格や機能の優位性などが代表的です。これらの面で差別化を図ることができない場合、新たな独自性で差別化を図ることが必要となるでしょう。製品やサービスと消費者やユーザーの関係性を多角的に分析、「新たな顧客属性」や「新たな価値観」などに着目して独自性を発掘し、消費者やユーザーに新しい価値観の提案を行うといったアプローチを行います。
具体化と目標設定
ブランディングはWebマーケティングと同じように効果測定を行うことが有効的です。そこで、重要目標評価指標「KGI」を設定し目標設定を明確化しましょう。例えば、1月当たりの売上などを設定した重要業績評価指標「KPI」を設定し、KGIの数値を落とし込むことでブランディングが上手くいっているか否か、効果測定を行うことが可能になります。
まとめ
サブスクリプション型サービスの普及などでブランドが提供する価値は長期的で総体的なものになりました。LTVを向上させていくことは企業やブランドの活動において重点的な課題となることは間違いありません。ブランディング施策を実施してブランドと顧客との関係性を今一度見直し、ファン化したユーザーが長期的に利益をもたらしてもらえるように、企業やブランドも継続的に価値を提供していく必要があるでしょう。
▼関連記事
・オンラインサロンとは?利用のメリットとデメリット、選び方を紹介!
・クラウドファンディングって?種類からメリット・デメリットまで細かく紹介!
・オンラインセミナーとは?概要から開催手順、成功させるポイントを解説!