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データクリーンルームが「今」注目を集める理由。メリットと活用例もご紹介
TIPS 2022.4.27

データクリーンルームが「今」注目を集める理由。メリットと活用例もご紹介

近年の個人情報保護への関心の高まりとともに、Cookie規制の流れができたことで、現在「データクリーンルーム」が企業の注目を集めています。しかし実際は、名前は聞いたことがあっても、データクリーンルームについてよく知らないという方も多くいるでしょう。この記事ではデータクリーンルームの理解を深めるために、注目を集める理由と、メリット・活用例について解説します。データクリーンルームは、Cookieの代替となるデータ環境です。特にマーケターの方は、ぜひご一読ください。

データクリーンルームとは

データクリーンルームとは

データクリーンルームとは、インターネットサービスの基盤を提供するIT企業などのプラットフォーマーによって提供される、個人が特定されないデータ環境のことです。

仕組みとしては広告会社・企業などが保有するデータを個人が特定されない形で統合・連携することで、Cookieと同様に広告配信やユーザー分析の効果検証などに利用できるデータ環境を作ります。

マーケターから注目を集める背景

マーケターから注目を集める背景

データクリーンルームが注目を集める背景にCookie規制の流れがあることは冒頭で述べた通りです。ここではプライバシー保護の問題と、大手企業の脱Cookieについて解説します。

プライバシー保護の問題

CookieにはWebサイトの運営側から発行される「1st party Cookie(ファーストパーティクッキー)」や、広告事業者側から発行される「3rd party Cookie(サードパーティクッキー)」などがあります。

Cookie規制に際して強く影響を受けるのは、主に3rd party Cookieです。3rd party Cookieには、ユーザーが移動したWebサイトの記録・追跡や、選択した広告を表示する機能が組み込まれています。この機能は今までターゲット広告などに利用されてきました。しかし、近年になってWeb上でユーザーの行動を把握できるのはプライバシー保護の観点から問題だと提起され、世界的に規制する流れができあがりました。

Cookieフリー時代

Cookie規制の流れを受けて、企業の間ではCookieフリー(脱Cookie)が始まっています。例えば、Apple社では自社製品に搭載するブラウザ「Safari」の3rd party Cookie利用が2017年から規制され、現在では完全に利用できない状態です。また、検索エンジンとWebブラウザの最大手であるGoogleも、2023年後半には3rd party Cookieのサポートを完全終了する見込みだと伝えています。

日本でも、2022年4月に施行される改正個人情報保護法では、Cookieに対し明確な規制が加わっています。そのため、マーケターはCookie以外のマーケティング方法の開拓を迫られている状況です。

新しい時代に対応できる仕組み

これからのデジタルマーケティングは、個人のプライバシー保護に配慮できる仕組みを用いなくてはなりません。その解決策の一つとして、現在注目を集めているのがデータクリーンルームです。データクリーンルームを用いれば、従来のやり方と同等以上の広告効果と、ユーザーのプライバシー保護を両立させることが可能です。このようにデータクリーンルームはCookieの役目を引き継ぎつつ、新しい時代に対応できることから注目を集めています。

データクリーンルームのメリット

データクリーンルームのメリット

データクリーンルームにはプライバシー保護に配慮しながら顧客のニーズに対応できる他にも、情報判別の簡易化や、データの長期保存などが可能になるなどのメリットもあります。

ここからは具体的にはどのようなメリットがあるのか、紹介していきます。

個人を特定せずニーズに対応

データクリーンルームは提供側であるプラットフォーマーによって管理されたデータ環境です。集められたデータは個人が特定されない形で統合・連携されるので、情報保護法に抵触する心配もありません。

また、情報保護の安全性が確保されているため、プラットフォーム内外から正確性の高いデータが大量に集まることもメリットです。データクリーンルームで集められる情報は信頼性の高いものが多く、Cookieと比較してマーケティングへの活用が容易です。データクリーンルームを介することで、企業はこれまでと同等以上に顧客のニーズに対応した広告・販促施策が可能になります。

情報判別の簡易化

データクリーンルームで集められるデータはIDで統一されています。それによって、データクリーンルームでは名寄せが可能になりました。名寄せとは、複数のデータベースに散らばっている同一人物や同一企業のデータを、同じIDで管理するなどして一つにまとめることです。従来のCookieでは困難だった名寄せも、データクリーンルームでは蓄積されたデータからIDを照合して行えるようになります。このように、個人を特定することなく情報判別が容易になり、効率的なデータ管理が可能になるのもデータクリーンルームのメリットです。

データの長期保存

Cookieで集めたデータはキャンペーン単位でしたが、データクリーンルームでは蓄積されたデータを長期的に利用することが可能です。これにより、広告主は継続的にマーケティング活動が行えるようになります。

これまでデータクリーンルームが普及しなかった理由

これまでデータクリーンルームが普及しなかった理由

実は、データクリーンルームは新しいコンセプトではありません。プラットフォーマーが安全なデータ環境を提供するシステムは以前からありました。では、なぜ今まで普及しなかったのでしょうか。ここでは、その理由について解説していきます。

コスト面での負担

Facebookでは以前からデータクリーンルームのような空間を大手広告主に提供してきました。しかし、契約料が高額でシステムも拡張性が高いものではありませんでした。このようにコストがかかり利用の敷居が高かったことも、今まで普及しなかった要因の一つに挙げられます。

広告主との連携が必要

蓄積されたデータを管理するプラットフォーマーからすると、広告主にデータを提供しすぎることは利益的に望ましくありません。一方で、広告主の側でもプライバシー保護の観点から詳細な取引データの共有を渋るケースもあります。互いの利益を共有できる関係構築が難しかったのも今まで普及が遅れていた理由の一つでしょう。

運用の煩雑化

プラットフォーム側と広告主は異なる形式でデータを持ち寄ることになるので、標準化には基準作りをはじめ、多大な準備作業を要します。また、データクリーンルームの運用は手作業なので、誤って他のデータセットもメールで送ってしまったり、共有フォルダを作ってしまったりといった情報保護に関連したリスク発生にも注意しなくてはなりません。このように、準備や運用に手間がかかるのも、データクリーンルームの難点です。

データクリーンルームの活用例

データクリーンルームの活用例

前述したようなデメリットから、cooki規制前まではそれほど普及していなかったデータクリーンルームですが、今ではさまざまな活用方法が見出されています。ここではその一部として、顧客プロフィールの充実、オーバーラップ分析、キャンペーン測定での活用例をご紹介します。

顧客プロフィールの充実

例えばある企業がマーケティング戦略を決定するために、第三者機関からデータを収集し、顧客プロフィールの内容を充実させたいと考えていたとします。無作為に顧客情報を集めたいわけではなく、戦略に必要な情報だけを集めて内容を充実させたい時に、第三者機関がデータクリーンルームならそれが可能です。

例えば、蓄積されたデータから「このお客様はAよりBの商品を好む」「このお客様はCというジャンルに興味がある」など、豊富な戦略的インサイトを得ることができます。これらのインサイトは本来、CRMデータベースにデータを登録・統合などの工程を経て得られるものです。

しかし、データクリーンルームを活用すれば、他の企業によって提供されたインサイトが利用できるので、工程を省いて実用的な情報を盛り込んだ顧客プロフィール作成が可能になるのです。

オーディエンスのオーバーラップ分析

広告のターゲットであるオーディエンスにどのような共通点があるかを知るために、オーバーラップ分析は欠かせません。

広告業界におけるオーバーラップとは、1人のオーディエンスに複数の広告が表示されることであり、オーディエンスオーバーラップとは、同じオーディエンスに異なる広告セットでマーケティングを行うことです。 同一の商品の広告だった場合、オーバーラップが大きいほど、キャンペーンのパフォーマンスは低下します。

例えば、ファストフード店が20代の男性と、大学生をターゲットにした内容の異なる2種類の広告を出したとしたら、そのうち20代の男性の大学生はターゲット層がかぶっているため、ひとつひとつの広告が表示される頻度が減ってしまいます。つまり、自社の広告同士が邪魔をしあってしまうのです。より多くの人に広告を見てもらうためには、なるべくオーディエンスのオーバーラップを避けなくてはなりません。

各顧客にID番号を割り当て管理しているデータクリーンルームでは、ID番号を利用することで顧客のオーバーラップ分析が可能になり、より効果的な広告を出すことができます。

また、他社と協力することで、逆にオーバーラップを活かしたマーケティングを行う方法もあります。

例えば、ホテル会社Aと旅行会社Bを例に考えてみましょう。ホテル会社Aがデータクリーンルームを介して旅行会社Bの顧客リストを受け取ることで、両者の共通顧客を割り出すことができます。逆もまた然りです。この場合ホテル会社Aが、共通している旅行会社Bの顧客に特別なオファーを送るなど共同したマーケティングを行うことで、双方の新規顧客の獲得や利益につなげることができるでしょう。

キャンペーンの測定とアトリビューション

データクリーンルームを使えば、広告のアトリビューションも簡単に調べることができます。

アトリビューションとは、簡単に説明すると消費者が商品の購入や資料請求など何らかのアクションを起こすまでに、どのような広告やサイトを見てきたかなどを調査することを指します。

例えば、ある企業が広告代理店から100万インプレッション(広告表示回数)を購入し、掲載された広告がキャンペーンでどのような効果を出したか知りたいとします。この場合、企業と広告代理店が踏む手順は以下の通りです。

  • 企業側:キャンペーンのランディングページにアクセスした匿名化済みユーザーリストをデータクリーンルームにアップロード。
  • 広告代理店:広告を表示した匿名化済みユーザーリストをデータクリーンルームにアップロード。

その後、データクリーンルームではオーバーラップ分析がされ、その結果を利用者に提示します。簡単な手順を踏むだけで、利用者はキャンペーンの測定とアトリビューションについて十分な情報を得ることができます。

まとめ

まとめ

NTTドコモなど日本大手企業でも続々とデータクリーンルームの運用が始まっており、今後、データクリーンルームはCookieに代わりマーケティング戦略で重要な役割を果たすことが予想されています。マーケターの方はぜひ今のうちに、この新しいデータ環境についての理解を深めておくことをおすすめします。

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