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変化は面白い。失敗はもっと面白い。クリエイティブ出身のCEOが仕掛ける飽くなきスクラップ&ビルド。
INTERVIEW 2021.5.25

変化は面白い。失敗はもっと面白い。クリエイティブ出身のCEOが仕掛ける飽くなきスクラップ&ビルド。

スペースラボ株式会社 代表取締役CEO 柴原誉幸

さまざまな場面でこれまでの常識が通用しなくなり、新たなスタンダードの確立が余儀なくされているコロナ禍の日本。生き残るために従来のスタイルからの脱却を模索する企業も少なくない。そんな中、ひときわ勢いのいい、まさに脂の乗ったクリエイティブ集団がある。スペースラボ株式会社だ。東京、名古屋、大阪を拠点に50名以上のバーチャルデザイナーが在籍。国内最大級の3DCG制作会社として、バーチャル空間における新たなコミュニケーションの可能性を開拓している。いま、同社を率いる柴原誉幸CEOのもとには多くの企業や団体から問い合わせがひきも切らないという。ではなぜ、スペースラボはコロナ禍においてなお元気なのか。自ら現場主義を公言する柴原CEOにお話をうかがうことで、その秘密に迫る。

すべての過去はいまにつながっている

-もともとは建築デザイナー志望だったそうですね

そうなんです。大学も建築学科で。でも当時は歴史上最悪の就職氷河期で、建築会社もゼネコンもまったく募集がなかった。唯一、入れたのが展示会のデザイン事務所。パース書きながら提案、という仕事が中心の会社で、まる2年やっていました。

-技術そのものは学生時代に?

研究室でCG制作を覚えました。すごく恵まれた環境でPCは使い放題だし、ソフトも買ってもらえました。まずはCADを覚えて、次にCGだったかな。プレゼン用の資料作りなども研究室でマスターしましたね。

-いきなり即戦力として活躍できたわけですね

パースの仕上がりが良いという評判でコンペでも常勝でした。楽しかったですね。俺って天才だなって思い上がって(笑)その勢いで独立するんですが、半年で挫折。営業を知らなかったんですね。単なる若手技術者でしかなかった。そしてNYに飛ぶんです。

-NYに?武者修行ですか

アンディ・ウォーホルが好きで、だったらNYだろうという単純な理由です。最初は学校に通うつもりでしたが結局、現地のデザイン事務所で働くことに。机の上より現場のほうが性分にあってるんですよね。世界的ブランドのショップ施工とかいろいろやらせてもらって楽しかったんですが…

-またなにかトラブルでも?

営業とケンカしちゃって(笑)。まだ若かったから。で、事務所も辞めて日本に帰ってきました。そこからインテリアデザインの会社で寝る間もないほどのハードワーク。でも全然悲壮感はなかったです。やっぱり仕事楽しかったからね。自分から熱中して打ち込んでましたし。

-その頃の下積みがいまに生かされている?

実はその頃、CGの映像も作っていたんです。スノボの映像。大学の先輩から引き継いだ仕事でした。ただ引き継いだはいいんだけどその頃お金がなくて自分用のPCが買えなかったんですね。そしたらその先輩が秋葉原に連れて行ってくれて「パーツ買って自分で作ればPCが安く手に入るぞ」って。なるほど、と思いました。

-お、自作PC!それっていまの事業にも…

はい、グループ会社の株式会社CybabaでクリエイターのためのPCを開発製造販売やってます。しっかりいまにつながっているんですよね。また当時もパソコン構築とCG制作ができるヤツ、という評判でブッキングされたプロジェクトが多くありましたよ。

-設計デザイン、CG、映像、PCと八面六臂の活躍ですね

それでちょうど30歳のとき、自分のスキルを活かして何ができるかを考えた。周囲を見渡すと、ずっと付き合ってきた仲間はみんな建築デザイナー。彼らを助けることができて、それまでの自分のスキルが活かせるのはなにか。それがパース制作だったんです。

-それがスペースラボのはじまりだと

当時、CGパース作るとき、いわゆるウォークスルー動画も手がけられる会社って1社もなかったんです。それで差別化も図れるんじゃないかなと。設計スキルもあって、CGもつくれて、映像編集もできる。これならぜったい勝てるな、仲間の役にも立てるなって。

立ち上げ当初がいちばんキツかった

-最初は一人で独立だったそうですね

そうですね、最初はひとりで。でもすぐ、1ヶ月後には1人入ってきて、半年後には3〜4人に。2年目のときはすでに10数名という規模になっていましたね。そう言うと急成長みたいに見えるかもしれませんが、最初のころはもう本当にしんどかったです。

-どんなことで?

いまでこそ僕らプロフェッショナルですけど、当初はお世辞にもCGパースのプロとはいえなかったわけですよ。仕事は仲間から入ってくるけど同業他社に比べると下手くそだったんです。パースを書く、納品する、下手だといって戻ってくる(笑)。それを直して出すの繰り返しで。

-それは疲弊しそうですね…

CGパースは感性とテクニックの世界なんですが、どんなにがんばっても上手いって言われないんだから凹むよね。だからもう誠意しかなかった。お客様が納得いくまで何度でもやり直す。いまスペースラボの行動指針の一つにもなってるんですが、請けた以上は最後までやりきれというのはそのときの経験に基づくものです。

-いまのハイクオリティな作品からは考えられないです

しかも素人である新人がどんどん入ってくるから、教えながら育てながらでやってましたからね。そりゃしんどいのも無理がない。でもじわじわとクオリティを高めていって、会社規模も大きくなって。ようやくひと息つけるかな、ってところまではいったんですが…5年目ぐらいですかね、40名規模になった頃から別の危機感を覚えるようになったんです。

-と、おっしゃいますと?

ウチの会社がある程度のシェアを取っていけるようになったんです。当時の商業パースの3〜4割は押さえていたかな。インテリア業界を眺めればだいたいどこかにウチのパースがあったし、コンペには必ず呼ばれてました。しかも勝率も高いと。

-順調そのものじゃないですか

だけど売上が伸び悩んでいたんです。これ、このまま続けていてもマーケットの限界だなって。厳しいよねって。そこから名古屋や大阪、福岡って支店展開をはじめるんですが、それでも競合が増えて、やっぱりどこかで頭打ち感を覚えていたんです。

-目の前の小さな成功に浮かれることなく

やっぱりやる以上は成長したいじゃないですか。でも市場的に伸びないのではどうしようもないですよね。あと面白みもね。だんだん物足りなくなってきた。特にここ2〜3年で強く感じていたのは技術革新の速さですよね。

-ソフトの進化ですか

このままいけばパースってどこかのタイミングで誰でもつくれるようになるな、と。最新のCGソフトを見てもそれは明らかです。僕らクリエイターもいままでの技術に頼っていられないんです。でもここ10年間、社内で技術革新が全く起きていなかった。これはいかんと。

-社内外に同時に危機感を覚えたんですね

4年ぐらい前にVRが出てきて、とりあえず飛びついたんだけどなかなか芽が出なくて…試行錯誤していくなかでようやくブレイクしはじめたんですよ。でもそれも単なるビジネスモデルだけじゃなくて世の中の大きな変化、そして僕ら自身の社内変革もあってこそかなと。

誰かのためになることをしたい

-とはいえ変化や挑戦って一般的には避けられがちです

もともとパースが好きで入社してくれたメンバーの中には、僕が「今のままだとパース事業は将来的に厳しくなると思う。先のことはわからないけど今から勉強しよう」と呼びかけたら辞めてしまった人もいましたね。僕ももう少し上手い伝え方、やり方があったと思うので、反省していますが。

-いまだに変革による成長痛は続いていますか?

やっぱり変化を楽しめなくて辞めていく人もいます。会社そのものがどんどん変わってきているんで。一年前とガラッと変わってますよ。とはいえ軸そのものは変えていないつもりなんですけどね。

-それはいったい?

好きなのはCGでありデザインなんだけど、軸というのは「誰かのためになること」に置いています。そもそもスペースラボ起業のきっかけも建築の仲間を助けたい、ってことでした。そこが原点というかスタートラインなんです。その軸があれば、CGやデザインじゃない事業だって構わないと思っています。

-ハイスペックなクリエイター向けPCを作ったりとかも

それもそのひとつですよね。あと以前はインテリア業界を活性化させるためのパーティも主催していたんですよ。300〜400名規模のイベントを夏冬1回ずつ。それはデザイナーとクライアントをつないだり、会社間の壁を壊してマッチングの機会を増やす目的だったんですけど。

-もともとそういう性格なんですね

僕という人間は特にやりたいこともないし、目標も持っていない。金銭欲も物欲もないんです。ただ、誰かのためになることをしたいだけ。それでいうと最近は会社経営にやる気が出てきましたね。人がどんどん増えているから。

-規模が大きくなると経営が大変になると聞きますが

僕は逆ですね。入ってきてくれたメンバーの人生、どうやったら幸せになるかを考える。給与をもっと渡せるようになるには業績あげなきゃだし。そういう想いが活力になるんです。はじめのころは会社も大きくなくていいかなんて思ってたけど、最近は大きくすることでどこまで可能性を見せてあげられるか、に挑戦したい欲がでてきています。

-社内変革で最初に取り組んだことはなんですか?

この一年はスペースラボの技術の棚卸しとサービスの追加でした。メンバーが個々にもっているさまざまな技術を明確にして、それらの組み合わせによって新しい事業が展開できないだろうか、という試みですね。パース以外にもできることをどんどん増やしたんです。

-足元から見直したわけですね

なおかつシステムを入れたことが大きかったかな。データベースを持つようになったんです。そうするとできることの幅が飛躍的に広がるんですよね。絵の裏側にDBがあるだけでなんでもできるようになる。同時にマネタイズポイントも一気に増えていきました。

-無限の可能性にワクワクしますね

それに加えてVRですからね。つい先日も顔を映し出すアバター同士で雑談できるバーチャルオフィスをブラウザ上で実現するプラットフォーム『XD SPACE』のリリースがあったばかりだし。いま、実は会社を興してからいちばん楽しい時期かもしれないです。

クリエイターにとって何より大切なのは、インプット

-スタッフにとっても成長のチャンスですよね

僕にとって成長とは、自立して自分ひとりの力でご飯が食べられるようになること。やっぱり技術職であり、クリエイターだからね。この会社でスタッフに残せるものってなんだろうって考えると、究極それはお金じゃなく、一生食えるスキルだと思うんですよね。

-個人の成長が会社の成長につながる、と以前より提唱されてます

損してもいいからクリエイターが成長できる体制をずっと作ってきました。たとえば支店を出すのも営業面だけじゃなくて、教育ですよね。いま地方を仕切ってたメンバーを東京に戻して感じているのは、みんなしっかり鍛えられてきたな、ってこと。出して良かったと実感しています。

-最近の若手クリエイターを見て感じることは?

「モノを視る」ということに欠けているな、と。いい意味でオンラインで全て解決できる世の中じゃないですか。そうなると実際のモノを見て、触れてという機会が減っていくわけです。リアル体験も少ないし、人間同士のぶつかりあいから生まれる味みたいなのは薄くなってしまう。

-しっかりと視てインプットしないとVRも作れないですよね

いまリアルで体験できていることはバーチャルではすべて同じことが可能ですからね。ある意味もうひとつの生活スペースをつくることになるわけだから。そのためにも普段からどれだけしっかりと世界を視ているか。これが大事なんですよね。

-ただ単に眺めているだけじゃなくて、ってことですね

あともうひとつ言えるのは、これは絶対に忘れちゃいけないんだけど、クリエイター稼業を選んだ瞬間に会社がどうこうじゃなく、自己責任で仕事するってこと。スキルアップや勉強はそもそもクリエイターになった時点で当たり前のことだと。

-無意識でやるレベルじゃないと、ってことですか

最近はそのあたりをセパレートしちゃうんだよね。オンとオフみたいな。分けるのはいいんだけど結局自分の首を締めるだけだよって。それこそ四六時中考えつづけているのがクリエイターなんだから、そういう体質になりたくないのなら辞めたほうがいいと思うんです。

-厳しくするのも自分次第ですもんね

クリエイターって自分さえ頑張れば国境だって超えられるでしょ。絶えず努力できれば世界でも活躍できる。国の壁さえ自分次第ってこと。それはわかってほしいですよね。君が寝ている間にも頑張っている人はたくさんいて、そういうところで戦っているんだよ、と。

-なんだか自分も、もっと頑張らなきゃとおもえてきました

あとは当たって砕けろは当たり前。失敗は面白い。失敗してちょうどいい。どうしてもみんな変化や挑戦、あと失敗を恐れがちだけど、スペースラボはその真逆をいっているから安心して失敗してほしいです。なんせ僕がいちばん失敗するんだから。

-ミスは仕方ないと

誠意持って一生懸命やってるメンバーは失敗大歓迎です。逆に中途半端にやってミスったらそれはもう怒りますよ。それぐらいチャレンジできる環境をさらに整備すべく、いま組織図も見直しているところです。

-まだまだ柴原社長のスクラップ&ビルドは続いていきますね。本日はありがとうございました!

▼「スペースラボ」に関するプレスリリース

・世界初・顔を映し出すアバター同士の会話で雑談を促すバーチャルオフィスがブラウザ上で実現
・スペラボ社、「バーチャル展示会360」のパッケージプランを発表
・スペラボ社、アプリを使わずブラウザ上で展開できるバーチャルプラットフォーム「360-SPACE」を提供し、福祉業界初のバーチャル展示会「バーチャルEXPO2021」の制作・運営を担当
・世界初、Webブラウザでアバター同士の音声会話が可能に。スペラボ社、仮想環境におけるコミュニケーションシステム「XD-SPACE」を開発

取材・編集:早川博通( @hakutsu)
撮影:小野千明

スペースラボ株式会社 代表取締役CEO

柴原誉幸

1978年三重県生まれ。大学の建築学科在学中にCGと出会う。建築デザイナーを目指していたが就職氷河期により挫折。展示会デザイン事務所に職を得る。同時に学生時代より継続してスノボ映像制作会社で映像ディレクターとして活躍。ノンリニア編集などの技術を習得する。その後、NYで店舗設計、日本でインテリアデザインや建築設計などの経験を積み、2009年にスペースラボ株式会社を設立。現在に至る。

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