目指すは、経営者を虜にするクリエイターの集団。クライアントから必要とされる翻訳者とは。

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目指すは、経営者を虜にするクリエイターの集団。クライアントから必要とされる翻訳者とは。
INTERVIEW 2020.3.23

目指すは、経営者を虜にするクリエイターの集団。クライアントから必要とされる翻訳者とは。

株式会社コンパス 取締役/クリエイティブディレクター 熊谷和士

株式会社コンパスのHPからWORKSを覗いてみてほしい。そこに並ぶは各業界で存在感を放つ名うての企業ばかり。これだけのナショナルクライアントを抱えるクリエイティブブティックであればこの先も順風満帆と言えるだろう。しかし、同社取締役として組織を牽引する熊谷さんは現状に甘んじることなく、新たな針路をとっていくと語る。果たしてコンパスが指し示すクリエイティブの未来とはどんなものか。あるいはこれからのクリエイターが目指すべき姿とは何か。若手クリエイターへのメッセージも交えて語っていただいた。

クリエイターのタレント性を最大限に高める

―コンパスのクリエイティブにはどんな特徴があるんでしょうか

いわゆる会社としてのブランド力や知名度を高めるのではなく、もっと個にフォーカスしていこうと考えています。わかりやすく言うとひとりのクリエイターの価値をどこまで高めることができるか、ということにチャレンジしていきたい。

―クリエイターをプロデュースするイメージでしょうか

制作会社って、世の中にいっぱいありますよね。普通にビジネスのことを考えたらクライアントに寄り添っていくクリエイティブ集団を目指すはず。でもそこをあえて逆でいく。寄り添うのではなく、クライアントから必要とされるクリエイターを育てていきたいんです。

―属人性というか個にフォーカスするんですね

クリエイターという存在が企業活動にとって必要なんだ、という状況をつくっていかないとマーケットそのものがなくなっちゃう。作業のクオリティや制作体制を整備したり強化したところで、他社との明確な差別化は図れませんから。似たりよったりだし、真似されるし。だけどクリエイターのタレント性にフォーカスすれば、独自性が際立つじゃないですか。

―クライアントが求めるクリエイターとは具体的に言うと…

その人じゃないとできない、というクリエイティビティを持っていることがまず第一義。その一方で私たちはアーティストじゃない。だから企業にとって利益をもたらせる必要がある。その部分でどこまで存在感を出せるか、ということがカギを握っているね。

―まさに商業デザイン、商業文案の最たるものですね

そのクリエイティブディレクターがそこにいる、ということだけで企業のブランド価値が上がるようなね。なくてはならない社外の相談役としてのポジションを確立できることがベストですね。デザイナーだとかコピーライターとかって問題じゃなく、企業のグランドデザインを良い方向に導いていける存在として。

―経営者の仕事に近づいていくように思えますが

経営陣は常に伝えたいことをたくさん持ってるわけですよ。でもそれを上手く伝えるスキルがあるかというと……わからないよね。そこに私たちは“可視化する能力”で介在できる。ステークホルダーに伝わるような言葉にする、ビジュアライズする。いわば翻訳者ですよ。それがコンパスのクリエイティブだし、クリエイターとして目指すべきひとつの到達点なんです。

効率の中にエモーショナルを上積みしていく

―昔と違ってクリエイティブでモノを売るのが難しくなってませんか

モノを欲しいと思うまでのストーリーが違うだけで、本質的なところは変わっていません。確かにデジタル化が進んで、商品を手にするまでのブランド体験は大きく変容しました。でも気持ちよく買うための接点をつくる、という点においては不変なはず。

―気持ちのよさ、ですか

たとえばクライアントがイベントで集客をするとき、効率を考えながらもその中にマインドに訴えかけるような、エモーショナルな要素を上積みしていく。それによって前向きな気持ちでイベントに参加する人が増えるでしょう。その人たちってイベント終わって帰るとき、おそらくめちゃくちゃ満たされた気持ちを味わっているはず。クリエイティブって、その気持ちにたどり着くためにあると思うんです。

―いわゆるファンをつくるのがクリエイティブだと

それが企業から必要とされるクリエイティブですよ。レイアウトがどうこうじゃない。色味やフォントサイズの問題でもない。満足度やエモーショナルをいかに企業へ、そしてその企業から消費者へと還元する形でコーディネートできるか。ここにこれからのクリエイターは関わっていくべきでしょう。

―数値化の対極にある文化ですね

Web制作の現場でよく聞くのが「ここのボタンを大きくして位置をここにしたら集客力が0.2%上がります」とかいう話。だからいつも言ってるのが、そりゃそうだろうけどさ、どういう気分でそのボタンを押してもらうのかのほうが重要だろって。そんなのどこの会社でもできること。それよりもそのクリエイティブに触れたユーザーの気持ちの部分をいかに丁寧に作り込むか、が大事なんです。

―そこにこだわるのがコンパスのクリエイティブなんですね

そこを刺していかないといずれ必要とされなくなります。そのためにはクリエイターがもっともっと自らをブラッシュアップしていかなくては。ウチの名刺って個人の名前をいちばん大きく扱っているんだけど、それは個の名前を売るというか、人となりを売っていこうという姿勢のあらわれでもあるんです。

―でもタレント性を磨きすぎると独立されてしまいませんか?

そこは……しょうがないんじゃない(笑)。若い人が野心を持って出ていくのはいいことだと思います。別に会社で抱え込まなくても、個とつながり続けていければ。逆をいえばコンパスがそういったタレントたちが集まってくる『場』になれるといいですね。理想としては、ですけどね。

画づくりで終わらないことが肝要

―そういった構想を描くきっかけって何かあったんでしょうか

いまコミュニケーションの質がおざなりになってきていると感じるんですよね。結果、デザインやコピーの価値は下がる一方。言葉も、デザインも、参入障壁が低くなった。形をつくるところだけでお金をとろうとしても、いずれ行き詰まるでしょう。

―CMSやアプリも進化しているし、素人でも形にはできますよね

やろうと思えばクライアントでもできることをやっていても当然、価値はありません。昔の職人技も必要なくなっている。じゃあどこでマネタイズするのか、という問題と向き合わなければならない。でもいまだにページいくら、工数や人月でいくらみたいな請求がまかり通っている。みんな大手ベンダーのやり方を真似しているだけ。それじゃいずれ淘汰されてしまう。そんな思いからコンパスの目指すべきクリエイティブを再定義しよう、という動きになったわけです。

―タレント性のあるクリエイターに必要な素養ってありますか

ひとつには資質ですよね。どうしても向き不向きってのはある。そのうえで、個人的な意見を言わせてもらうと、普通の考え方をしないタイプが好き(笑)。ちょっと変なぐらいがちょうどいいかな。あとは貪欲であること。必要なのはそれぐらいでしょうか。そういう子がいたら半年ぐらい見極めて、長けている方向へ導きますね。

―長けている方向ですか

その子にいちばんあった道を見出して、そこをつくってあげたほうがお互い幸せですよね。目的としては経営陣の翻訳者なわけだから、アプローチがデザインだろうが、コピーだろうが、極端な話、ミュージシャンだっていいわけです。これ、プロデューサーだっておんなじですよ。

―プロデューサーもですか

バジェットとスケジュールってすごくクリエイティブ必要でしょう。全体の予算の5割をCMで、残り3割をWeb、2割イベントみたいな配分はクリエイティビティいりますよ。無茶なスケジュールでもそれをいかに武器に転換できるか、ってことも然り。クリエイティブ性のないプロデューサーって大成しませんからね。

―経営センスみたいなものは必要ないですか

ものの見方はやっぱり若いうちから経営の中枢とやりとりすることで磨かれますよね。グランドデザインから描いていき、いま何がコミュニケーションとして必要なのか、といった視点はいりますよ。ただ、クリエイターがやるのは経営ではないですから。経営者の考えていることを可視化することですからね。

―冒頭でもおっしゃっていた翻訳者ですね

そこがないとただのデザインや制作物で終わっちゃうよね。するといずれAIに喰われてしまう。画づくりのレベル、つまり平面ではなく立体で考えること。三次元、四次元の視点で仕掛けていくクリエイターこそ存在価値が認められる社会がくるでしょうね。

勇気をもって、本質をブラさずに

―そういったクリエイターの価値を継続するために何が必要でしょうか

自分の考え方をブラさないことでしょうね。翻訳者であるという本質を常に忘れないこと。さきほどもいいましたが経営者は言いたいことがいっぱいある。上手くないだけなんです。たとえばオリエンのブリーフィングがものすごく細かい場合。よく見ていくと本当にやりたいことってここだけだな、ってわかることがあるんです。

―はっきりとは言語化されてなくても?

そこを抜き取ってアウトプットする表現力がないから、そうなるのも仕方がないんです。だから私たちクリエイターが経営者がやろうとしていることの裏にあるものを想像力で汲みあげる。そしていろんなしがらみや人間関係、組織のパワーバランスも考慮した上で、違うときはそれは違うと勇気を持って言うべきなんです。

―勇気いりますね…

そこは初志貫徹ですよね。社長が本当にやりたかったことはこれですよね、とハッキリ言う。もちろん企業の組織体のことも考えて、取り巻き含めて関係者をどう盛り上げていくのかまでをコーディネートする。いわば参謀のような存在。それ、絶対に企業が手放したくないクリエイターですよね。

―確かに。最初におっしゃっていた意味がしっかり腹落ちしました

でもこれ、クリエイティブの本質にむしろ近づいていると思いますよ。だって形をつくるだけなら昔から誰でもできるわけだし。以前から存在感あるクリエイターはみんなこういうスタンスで仕事してきたと思います。私もそうだったし。

―ありがとうございます。最後にこの道を目指す若手クリエイターにひとこと

この仕事、コピーにしてもデザインにしても、ものすごく奥深いし、面白いです。追求していくとゴールにたどり着けないぐらい奥が深い。だから、興味があるなら絶対にチャレンジするべき。みんな好きでやってるんだからね。

―モノづくりへのピュアなマインドは昔も今も変わらないと

誰かに何かを伝えたいという欲求は誰しも持ってると思うんですよね。その部分を追求するかどうかの違いだと。表現の仕方はそれこそ自由だし。コンパスでいえば経営陣の翻訳者でありさえすれば、どんなアプローチだってアリですよ。ミュージシャンだっていいんだから(笑)。

―本日はありがとうございました!

取材・編集:早川博通 撮影:小野千明

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株式会社コンパス 取締役/クリエイティブディレクター

熊谷和士

20歳でグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタート。制作会社勤務を経て23歳で独立。自らプロダクションを立ち上げ、大手ナショナルクライアントやホテルなどのアートディレクションを手掛ける。その後、コンパスの前身となるクリエイティブブティックにジョインし、現在に至る。撮影時にも構図、ポージングなど自らアイデアを連発する生粋のクリエイティブディレクター。

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