クリエイターが取り入れたいカウンセリングテクニック5選
クリエイターがより第一線で活躍することを考えたときに、最優先で身に着けたいのがコミュニケーションスキルです。
そこで、今回はカウンセリングの現場で使われている会話テクニックから、クリエイターが手軽に取り入れることができるものを5つ解説していきたいと思います。
テクニック1:「I(アイ)」メッセージ
適切に「私」を使うと会話の浸透力は高まる
カウンセリングの世界には「アサーション」というものがあります。アサーションとは、お互いの「違い」を前提に、お互いの意見を尊重しながら正直なコミュニケーションをするための態度とスキルのことです。
アサーションは行動療法という心理療法の中から生まれたカウンセリング技法です。
例えば、送られてくるべき素材データが1日遅れた場合、ディレクターに対して、「1日も遅れてくるなんて、有り得ません!」というのは「YOU」メッセージです。
「1日も遅れるなんて、あなたは(YOU)は有り得ない」と相手を非難していますよね。
「I(アイ)」メッセージの場合は、「鈴木さんが1日遅れて送ってこられて、自分は作るのがしんどかったですよー!」という形になります。
相手を直接責めるのではなく、相手のミスに対して自分がどう思ったのかを伝えるメッセージとなります。
クリエイティブな現場では、ネガティブな場面にとれだけ切り込んでいけるかはとても重要です。「I(アイ)」メッセージを使って、サクッと本音を伝えることができれば、相手とのチームワークはとても良い方向に進んでいきます。
テクニック2:パラフレーズ
意外と強力なオウム返しの力
パラフレーズとは言ってみれば、「オウム返し」です。ただし、相手に「オウム返し」されていると思われてはいけません。
A:「クライアントからのGOサイン、あと2回ぐらいのディレクションでなんとかなりそうかなー」
B:「おお!GOサイン、あと2回ぐらいでいけそうなんですねー」
A:「俺はさ、ブランドテイスト的にはよりキャッチーなテイストを提案してるんだけど、どうも、向こう側の感覚がズレてる感じがしてなー」
B:「鈴木さんとしては、クライアントにはキャッチーなブランドがマッチしていると言ってるのですよね」
パラフレーズのコツは、相手の会話から「あなたは〜と言っているのですね」とフィードバックすることです。
相手を無理して励ましたりする必要があります。相手が何か「言いたいこと」を口からこぼしたとき、それは「話し足りていない」ことを意味します。
なので、パラフレーズを用いると、相手は自然に「言いたいこと」をどんどん開示するわけです。
テクニック3:バックトラッキング
感情の共有に一手間掛けるだけで重厚感が増す
バックトラッキングは、前述のパラフレーズにも似たテクニックです。相手の言葉を使って会話を進めていくのが基本です。
例えば、仕事の場面で、あなたへ「佐藤さん、あの〇〇社からから受注を獲ってきました!!」と、うれしそうに報告してきたら、どうですか?
いきなり感情で返すことが多いですよね。「やったな!」「良かったね!」と一言で終わりがちです。
そこで、相手の会話を使います。「えっ、あの〇〇社から受注獲得したんですか!やったじゃないですか!!」という具合です。
こちらのリアクションが一言で終わらずに、重厚感が増すので、相手は話を「より聴いてもらえている」という感覚になるわけです。
テクニック4:インタレスティング・インタビュー
相手の興味を深堀りする
相手の興味のあること徹底して深堀りする会話術です。傾聴というよりは、インタビューに近いニュアンスです。
「そういえば、ちょっと聞かせてほしいんですけど、ここ1ヵ月で鈴木さんが一番興味を持っていることって何ですか?」
「鈴木さんの一番アクティブになれる趣味って何ですか?最近、これにめちゃくちゃ熱中したってやつ聞かせてください!」
相手の関心事に対して、言い方を変えながら、複数のバリエーションで定期的に聞いていくと、相手との関係は自然に深くなります。
関心のあることは、相手が価値を感じていることであり、相手の熱くて深い価値観を引き出せる可能性が高いからです。
お互いの価値観を開示し合えばし合うほど、本音で向き合うことが心地よくなり、関係性が特別になっていきます。
テクニック5:ノンバーバルコミュニケーション
会話の質は言語そのものとは限らない
カウンセリングではノンバーバルコミュニケーションも非常に重要視されています。
例えば、大きくうなずき、大きなリアクションで相手が心を開きやすい状態にすることもそうです。
笑顔、声が大きい、ハキハキと聞きとりやすい声で話すといった小さなことも積み重ねれば、非常に大きなパワーを持つようになります。
相手の警戒心を外す場合は、基本的に「開く」ことを多くします。姿勢は猫背で地面へ向けて閉じるのではなく、体を反るぐらいに天に向けて開けたほうが警戒心を外すことができます。
口を開く、足を開く、腕を組まずに開く、あらゆる部分を閉じるのではなく、開いていきます。
最後に:日々のコミュニケーションでどんどん実験していこう
会話力はトライ&エラーの数で決まる
以上、クリエイターが取り入れたいカウンセリングテクニックを5つご紹介してきました。
無理なく手軽に取り入れられるテクニックになっていたと思います。
ぜひ、普段の会話の場から、こうしたスキルを試してみてください。「ちょっと、これ会話のテクニックらしいんですが、鈴木さん、会話に付き合ってもらっていいですか?」と相手に頼むのも良いでしょう。
会話の相手になってもらうだけでも、相手との仲を深めることにもなります。
日々のコミュニケーションでどんどん実験していってください。会話は考えながら、トライ&エラーした数で、その実力が決まっていきます。ぜひ、今回の記事も参考にしてみてください。
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