アートとデザインの違い、そもそもアートとは?、エンタメやクリエイティブとの違いまで
アートとは
アートの定義
アートとは、芸術、とりわけ「美術」を意味する言葉ですが、デザインやエンタメと対比される「アート」は芸術を指します。
アート性があるとき、そこには「芸術性」があることを意味します。
アートとは「能力を究極に本質的に突き詰めたもの」
芸術性には2つの方向性があります。ます1つ目は「芸」(performance)か「術」(technique)を感じられること。「芸や術による凄味」がアート性です。つまり、私たちがアート性を感じるとき、「これはある能力を突き詰めたモノだ」と解釈します。アートは「能力を究極に本質的に突き詰めたもの」だと言えます。
アートとは「作り手の哲学が反映されたもの」
2つ目は、創造主の哲学です。作り手の哲学が反映されたものであればあるほど、それはアートだと言えます。これは作り手の解釈としてのアートです。
一方で、受け手は、創造主の作品に対する哲学から「味わい深い」「浮世離れしている」「奇抜だ」といった感覚を感じられるものを、「アート」だと解釈する傾向にあります。自身の理解の範疇を超えることで、「アート」というレッテルに落とし込むこともあるでしょう。
アートとデザインの違い
アートは哲学を具現化し、デザインは目的を具現化する
アートとしばしば比較されるのが「デザイン」です。デザインの業界を「アート」のように解釈している人もいるでしょう。
アートは創造主の哲学を具現化するものです。作りたいものを作るのがアートです。一方、デザインは直訳すると「設計」です。設計図を作るようなものがデザインです。
私たちが何かを設計する時、そこには目的があります。Webデザイン、建築デザイン、プロダクトデザイン、すべてにおいて、「利用目的」が存在するのです。
アートは創造主の気持ちを満たし、デザインはニーズを満たす
アートは作り手そのものです。自分の想いや趣向を芸術の土台のもとに作り込んでいきます。いっぽう、デザインはあるニーズを満たすためのものです。多くの場合は、クライアントとクライアントの顧客のニーズを満たすために作られます。
デザインが商業的であるのは、目的を具現化し、ニーズを満たすために作られるからです。逆にアートは、商業の場面に適用させるのが難しい側面を持っています
アートはファンを作り、デザインは仕事を作る
アートで稼ぐ人はアーティストと呼ばれます。デザインで稼ぐ人はデザイナーと呼ばれます。この両者の違いが、本質を分かりやすく表していると思います。
アーティストは、個性や芸やパフォーマンスなど、その人そのものから溢れるものでファンを作り、お金を稼いでいきます。
デザイナーは、デザインスキルを身に付け、デザインに関する仕事を得ながらお金を稼ぎます。
アートとエンタメの違い
アートはクラシック的、エンタメはポップ
アーティストと呼ばれる人はエンタメ業界にも存在します。その際に、アートとエンタメの違いに疑問を持つ人もいるでしょう。
エンタメは、辞書的な意味では「人々を楽しませる娯楽」を指します。このことから考えると、エンタメ業界でのアーティストとは、一般大衆を楽しませるポップカルチャーの中でのアート性を放った人と言えるでしょう。
「芸術」の単語を切り離すと、「芸」(performance)と「術」(technique)になります。もしかすると、「芸」(performance)と「術」(technique)という言葉に、強いアート性を感じないかたもいるかもしれません。
それは、エンタメの中での「芸」(performance)と「術」(technique)ばかりを見てきているからかもしれません。
アートの中でのアーティストはもっとクラシック的です。そして、哲学的です。そして、ほぼ主観を体現させます。「人々を楽しませる娯楽」に寄り添うことをしません。
アートとクリエイティブの違い
アートは創造物そのもの、クリエイティブは創造性がマッチした状態である
アートについて、「クリエイティブ」という言葉との比較を検索する人もいるようです。アートは純度の高い創造物と言えます。
これまで伝えたように、哲学も主観も詰め込み、圧倒的な芸と術で体現することは、その人にとって、成し遂げたかった創造物そのものです。クリエイトそのものです。
一方でクリエイティブとは、創造性がマッチした状態です。例えば、ある分野にマッチしたデザイン性の高いWebサイトは、クリエイティブですよね。
Tシャツという人間の衣食住に実用的に欠かせないものがオシャレであれば、それもクリエイティブです。
最後に:アートとは高い次元で「我がまま」であること
アートを続けられることは幸福なこと
以上、アートの定義を様々な角度からお伝えしてきました。今回はSTASEON(スタシオン)としてのアートを解説してきましたが、言葉の意味や捉え方は人それぞれで構いません。大事なのは、一つの言葉の意味を深く掘り下げ、熟考することです。
アートとは高い次元(難しい「芸」や高いレベルの「術」)で、我がままであることだと感じます。アートは「我がまま」の追求なのかもしれません。
自分が芸と術を使って、自分の哲学や想いを徹底して体現していくことができるのは、とても幸福なことなのかもしれません。
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