本を起点に認知や売上を高めるブックブランディング術について
クラウド、スマートフォン、SNS、MA、CRMなど、テクノロジーの進化によって、今やWebを活用することは、ブランディングの主流になっています。
そこで、見失いがちなのがリアルの手法です。リアルな場を活かしたブランディング手法には今も大いに活用できるものがたくさん存在します。
その中でも、ブックブランディングは、かなり効果的で、認知や売上を押し上げる効果があります。もちろん、Webのブランディングと掛け合わせることも可能です。
今回は、ブックブランディングの手法について掘り下げていきたいと思います。
ブックブランディングとは
本をツールとして事業を展開させるブランディング手法
ブックブランディングとは自社で書籍を作り、その書籍を潜在顧客との接点にし、事業を展開させる手法です。
一般的にリアルな告知方法は、チラシ、冊子、パンフレットなどの紙媒体を考えることができると思います。
そして、紙媒体での告知の最大の問題は、「読まれる前に捨てられる」という点にあります。
また、チラシや冊子やパンフレットは、無差別に送られてくると嫌ですよね?一般的な紙媒体の広告物は、「貰って嬉しい」と思われることが滅多にありません。
すると、チラシや冊子に「無料特典」や「クーポン」をつけることを考えると思います。ただし、これでは企業が自分たちのコンテンツに強いブランド感を出すことができなくなります。
それらの問題をすべて解決するのが、書籍です。なぜなら、書籍はメディアとしてもコンテンツとしても質感がチラシや冊子やパンフレットと異なります。
書籍は本屋に置かれ、人が買います。だから、本が送られてくると、捨てられる率が減ります。「この本の著者はどんなすごい人だろう?」と勝手にブランドを感じる人もいるでしょう。
そして、著者プロフィールだけでなく、本文のコンテンツまで読んでくれるのです。潜在顧客に送付する際に、著者直筆の手紙を添えれば、さらに読まれる可能性があるでしょう。
ブックブランディングではどんな内容の本を作るのか
ブックブランディングで展開する書籍の中身
ブックブランディングで定番なのが、経営者のストーリーです。経営者のストーリーを通して、自社の想いや強みをコンテンツにすることで、潜在顧客に自社をアピールします。
潜在顧客に売り込みたい商品やサービスが1つに絞れている場合は、その商品やサービスの開発秘話や今後の展開などを書籍の軸にします。
企業の福利厚生のために、「酸素カプセル」を売り込みたい場合、「酸素カプセルがいかにビジネスパーソンの生産性を高めるのか」をテーマに書籍を作り、後半に自社製品が他社の酸素カプセルとどう違うのかをコンテンツに入れ込みます。
その本を多くの企業に送付することで、酸素カプセル導入のお問い合わせを得ることができます。
ブックブランディングが最適な企業とは
適性1:顧客単価が高い
本を印刷するには費用が掛かります。部数や紙質にもよりますが、書店に並ぶような本を目指す場合、約100万円以上は掛かります(版代がかなり掛かるので、部数を増やしても値段は思ったよりは大きくなりません)。
顧客単価が高い商品ほど、ブックブランディングと相性が良いと言えます。
適性2:B to B
B to Bの商品やサービスは、複雑で専門性が高いケースが多いため、書籍などを通じて、丁寧に理解を深めてもらうことができ、かなり相性が良いです。
本来難しいからと理解を避けていた内容を、書籍というブランド感のあるメディアコンテンツだからこそ読もうとするモチベーションを持ってくれます。
適性3:業界で質が明らかな特長がある
業界の中で明らかな特長を持っているのであれば、ブランド価値を一気に高めるためにブックブランディングを行うことはかなり得策だと言えます。
適性4:読書のメリットを与えられる
会社や商品やサービスのストーリーをコンテンツにしながら、自然に読書のメリットが与えられるようであれば、ブックブランディングと相性が良いです。
このことを考えると、健康食品や美容品や医療器具などはブックブランディングと相性が良いと言えます。
適性5:経営者が前に出るのが好き
自分自身を商品として考えているような経営者の場合は、ブックブランディングに積極的に関わってくれるため、味のあるコンテンツが完成します。
出版社を作ってブックブランディングをしよう
書類を提出すれば、すぐに出版社は作れる
ブックブランディングの手法として、出版社を自社で作ることをオススメします。
出版社は、日本図書コード管理センターで出版社(者)登録をすれば、すぐに作ることができます。
すると、ISBNコードを発行することができ、書籍の裏にバーコードを付けることができます。
このことで、書籍の見た目が商業本とほぼ変わらなくなるのです。
コンテンツに価値があれば、本として同時に販売しても良い
これがブックブランディングの究極系だと言えます。潜在顧客へ自ら送付し接点を増やしていく書籍を、同時に販売することもできるのです。
そして、コンテンツに価値があり、一定のニーズを満たすような本であれば、書籍は売れるでしょう。
売ることを見越す場合、商業本と同じ体裁であることは非常に大事ですから、出版社登録しておくべきだと言えます。
最後に:ブックブランディングは潜在顧客へ媚びずに繋がれる手法である
施策は私たちの想像以上にたくさん存在する
以上、ブックブランディングについて掘り下げてきました。
ブックブランディングは潜在顧客に媚びることなく、自分たちの伝えたいことを全面に打ち出し、理解を示してくれた潜在顧客と接触を深め、顧客へ育てることができるとてもエレガントな手法です。
Webのブランディングは、一定の検索ニーズがあったり、バズを起こす要素があったり、独自の性質があります。Webブランディングではできないことができるのが、ブックブランディングです。
企業を輝かせる手法は私たちの想像以上にたくさん存在します。ぜひ、様々な可能性を見出し、最適なブランディング手法を展開させていってください。
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