フリーランスのギャラ交渉術:自分の適正価格で気持ちよく仕事をする方法
フリーランスの中には、「つい安価で請負してしまう」と悩んでいる方も多いかもしれません。
長く付き合っているクライアントに対して、値上げしたいのになかなか値上げできずに悩んでいる人もいるでしょう。
そこで、今回はフリーランスが自分の想い通りにギャラ交渉をするための方法をお伝えしていきたいと思います。
さまざまな交渉術をご紹介するので、ぜひ自分にあった方法を取り入れてみてください。
それではいきましょう!
交渉術1:後ほどテキストで連絡する
その場で高値を言えないなら、詳細を作りテキストで伝える
ギャラに関してはその場で「いくらぐらいになりそうですか?」と聞かれることがありますよね。その際に、ぱっと高い金額を言えない人はこの方法を試してみると良いかもしれません。
「見通しをもっと細かく判断しないといけないので、後ほど詳細作ってお送りする感じでよろしいでしょうか?」
こういう風に具体的な数字を避けて、後で見積もりを作り、送るという流れで交渉をするのが良いでしょう。
「金額感だけでもいいので、どれくらいか分かりますか?」と聞かれても、「いえ、詳細次第で大きく変わるので、後ほどお送りします!」と断言しても構いません。向こうから即決を迫られることはあまり少ないからです。
交渉術2:超高値を伝えて減額する
本当に欲しい額から上乗せた額を最初に伝える
自分の作業やサービス内容が「実はあなたが思っている以上に、さまざまな労力が掛かる」という内容を伝えましょう。
そのうえで、「本当はこれって、〇〇万円ぐらいの仕事なんですよ!」と愚痴をこぼすような形で、欲しい額より上乗せした金額を言います。
最終的に「でも、斎藤さんとの付き合いもあるんで、■■万円ならうれしいんですけどいかがでしょうか?」と、この時に欲しい額まで下げます。
安価で請けてしまうタイプの人は、最初に高値を伝えることが苦手な人が多いですよね。しかも、本当にきちんと作業をしていて、適切に見積もったら結構な額になってしまう人も多いと思います。
超高値を伝えることはクロージングではないので、自分の労力や仕事内容の正当性を付けて、「普通に見積もってしまうと、本当にこれぐらいはいく」ような感じで話すと、ギャラ交渉が苦手な方も割と本音で話しやすくなります。
この前提があるため、次に述べる「■■万円ならうれしいんですけどいかがでしょうか?」という言葉が、意外にもスムーズに口から出るようになるのです。
交渉術3:他社や他者を上手く利用する
競合の見積もりで自分の見積もりが際立つように交渉する
自分の物差しだけで交渉するのではなく、他社や他のフリーランスの見積もりを用意し、それらを相対比較しながら、自分の欲しい金額に近づける手法です。
例えば、検索で「LP 相場」「セミナー 講演料 相場」などと検索すれば、さまざまなパターンの料金設定が出てきます。
その中で、自分の出せるクオリティやパフォーマンスと近似した会社やフリーランスが高過ぎると感じる料金を設定しているのであれば、それを比較対象に出すことで、自分のギャラにお得感を出すことができます。つまり、自分らしい料金を提示する後ろめたさを軽減することができるのです。
また、「実際にこの安さだとこんな低クオリティなものになってしまう」という事例を他社(他者)から探し出せると良いでしょう。
交渉術4:素人がやり切ることのコストを語る
フリーランスが請負うことのコスパの良さを植え付ける
例えば、あなたがWebデザイナーだったとして、過去の実績をクライアントが気に入ったとしましょう。
その際に、クライアントに「このレベルのサイトを初心者が作るなら、1年経っても完成しないかもしれません。なので、1年間の作業量をギャラにしたら下手すると、数百万円になっちゃいますよね。安く、早く、良く成果の出るように作るのが、自分の役割でもあります」と述べると、クライアントは発注に関する価値の高さを認識してくれます。
素人がやると膨大な時間と人件費が掛かってしまうことを、結果的に時短で安く請負えるのがフリーランスでもあるのです。この感覚をクライアントが腑に落ちれば、10万円単位のギャラを上げても、ローリスクハイリターンを感じてくれるので、交渉が通りやすくなります。
交渉術5:協力的な姿勢を見せながらも、獲得を追おうとしない
クライアントがあなたを追うような関係性を作る
「仕事を是が非でも欲しい」という雰囲気が滲み出ると、足元を見られて安く叩かれやすくなります。むしろ、「この仕事が別になくても問題なく、特別仕事が欲しいわけじゃない」という雰囲気を刷り込むことは大事です。
ただ、その雰囲気だけでは、冷めた感じを与えてしまうので、案件そのものに対しては協力的な姿勢を積極的に見せていきます。アドバイスを施したり、不安に寄り添ったりすることをきちんとしましょう。
よく使えるのは、「他社(他者)に頼むんだったら、こういうポイントに気を付けると、より質が高くてニーズを満たすことができますよ…」という話を盛り込むことです。これは暗に「自分にそこまで頼んでくれなくてもいいです」というイメージを伝えながらも、クライアントが誰に頼むにしても、クライアントの目的を叶えることについて寄り添っていることを理解させることができるからです。
自分自身は協力したい、そして、今回もクライアントのために話を深く聞き出し、気を付けるべき点やアドバイスを真摯に伝え、不安にも寄り添った。そのうえで、「自分も他のお客さんや新規のお客さんのこともあるので、この案件でこのクオリティなら、どうしてもこれ以上値段を下げれない」という話は、ギャラ交渉が苦手な人でも割と強く話していけると思います。
最後に:ギャラ交渉はさまざまなトライの積み重ねが大切
ギャラ交渉をトライ&エラーしていこう
以上、フリーランスのギャラ交渉術を解説してきました。なるべく自分を高値で売り出し、気持ちよく仕事ができるような交渉のアイデアを提示してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ギャラ交渉は、相手と決裂してもぜんぜん構いません。ギャラの感覚は人それぞれです。求められる内容に対する金銭感覚は本当に人それぞれです。
今回のメソッドでは、クライアントの金銭感覚を短時間で補正し、こちらの感覚に委ねてもらえることもありますが、まったく変わらないという人も存在するでしょう。限られた時間でやれることをやれれば、それはそれで問題ありません。感覚が大きくズレる人と仕事をすると、プロジェクトそのものが間延びして、結果、高いギャラで受けても、工数が多く、満足感も低く、今後の人間関係として付き合いたいものでもなくなるでしょう。
ギャラ交渉の際に、毎回同じようなコミュニケーションを取ってしまうと、自分を変革することが難しくなります。
ギャラ交渉は遊び心を持つぐらいで良いでしょう。「今回はブラックジャックのように、かなりの高値で攻めてみよう!」という風に、自分の癖を意図的にズラして、さまざまなギャラ交渉を試みるのです。
自分というフックを外し、いろんなタイプに変幻しながら交渉できるようになると、あなたは多くのクライアントから高額なギャラを得られるようになるでしょう。ぜひ、今回の記事も参考にしてみてください。
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