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ディレクターが取り入れたいコーチングテクニック5選
TIPS 2020.1.27

ディレクターが取り入れたいコーチングテクニック5選

ディレクターの皆さんは、クリエイターやクライアントとの対話にコーチングのスキルを取り入れていますか?

コーチングは、傾聴・質問・承認を軸とし、「沈黙を受けいれる」、教えないコミュニケーションスキルです。

そこで、今回はディレクターが取り入れると、自身のディレクターとしての能力がさらに一枚上手になるような、コーチングテクニックを解説していきたと思います。

1:自己肯定式改善発掘法

クリエイターへ自発的な改善を促すテクニック

ディレクターは、クリエイターへの的確な指示を出すことが求められます。何をもって的確な指示かというと、「クライアントの意向に沿ってきちんとクリエイターが仕上げてくれる結果」によって、その指示の質が決まります。

つまり、クリエイターが自発的に手を動かしてくれれば、明確な指示を出していなくても、それは素晴らしいディレクションと言えます。

そのために使えるのが「自己肯定式改善発掘法」です。クリエイターを肯定しながら、クリエイター自身が改善点を発掘し、自ら行動を起こすことを促します。ステップは以下の手順です。

ステップ1.自己採点させる
ステップ2.採点の意図を聞く
ステップ3.良いと判断した部分を聞く
ステップ4.もっと良くなるには、どうすれば良いか聞く

例えば、第一案をクライアントに見せて、クライアントから様々な要望が出たとします。通常なら直接その旨を伝え、修正を促しますよね。

自己肯定式改善発掘法は、まず、自分の制作物を自己採点させます。100点満点中何点かを聞きましょう。その後、その採点の意図を聞きます。

そして、まずは、本人がどんなことについては良いと自己判断したのかを聞きましょう。

そして、最後に、今よりもさらに良くなるには、どうすればよいか尋ねます。

この時、「今よりさらに良くなるための要素」=「クライアント要望」という構図ができると、ディレクターは指示をする必要はなくなります。

ディレクターは、「よし、それでいこう!」とクリエイターの行動を後押しするだけでやり取りが済んでいきます。クリエイターは自分でコミットメントしたので、モチベーション高く行動してくれる可能性が高まります。

2:選択式修正依頼法

修正指示をより爽やかに行うテクニック

修正の依頼はディレクターの腕の見せ所です。修正の仕方一つで、クリエイターの制作意欲や制作思考は変わっていきます。

そこで、使えるのが選択式修正依頼法です。

このAのサイトのエッセンスか、このBのサイトのエッセンスを取り入れて欲しいんだけど、鈴木的にはどっちがいいかな?

このように、選択式で修正を依頼します。そのため、選択肢となる対象を用意する必要があります。過去の制作物やデザイン集などからピックアップすると良いでしょう。

どっちが良いかを聞いた後は、「なぜそれを選んだのか」という理由を尋ねましょう。

そうすることで、ディレクターが選択肢を用意したとしても、最終的には自分の意思で考えて決断したという自覚を持たせることができます。

3:クリエイティブ・オープン・クエスチョン

クリエイターとのパートナーシップを深めるテクニック

オープン・クエスチョンとは、相手に考えや気持ちを話させる質問です。コーチングでは、その時の感情や感覚を尋ねる質問をとても重要視しています。

ディレクターがクリエイターとの関係を深く構築する場合は、クリエイティブに関する感情や感覚をやり取りすると良いでしょう。

「自分がかなりいいと思ったデザインが一発で通らない時の気持ちって、どんな感じ?」

「短納期で、締め切り迫られていて、ハイスピードで制作してるときってどんな気持ち?」

「教材とかサイトとか意外に、クリエイティブな感覚ってどうやって磨いてたりするの?」

クリエイティブ・オープン・クエスチョンを繰り返すと、ディレクターは、クリエイター独自の思考回路や行動体質を理解することができます。

すると、そのクリエイターに合わせたコミュニケーションが自然に促されて、結果的にプロジェクトが成功しやすくなります。

クリエイティブ・オープン・クエスチョンで大事なのは、相手の答えに、本気で関心を抱こうとする姿勢です。

4:NO WHY原因追及法

原因追及に強いネガティブ感情を付加しないテクニック

ディレクターから指示を受けたものを作るクリエイターにとって、クリエイターの立ち位置は「上」という感覚を持っているでしょう。

同じ立場だとしても、制作に関する舵取りの最終決定がディレクターなら、ディレクターが権力者だという認識を持つはずです。

そのため、ディレクターからの「なぜだ?」「どうしてだ?」といった言い方は、クリエイターにネガティブな感情を与えてしまう可能性を持ちます。

「これ、単純にアドバイス欲しいんだけどさ、あと、何の要素が足されると、完成に近づくと思う?」

「結構いいのにさ、クライアントにハマらない原因はどの点にあると思う?」

「ここの配色ってさ、この色に決めた要因って、感覚的なもの?それか、何か参考にしたものとかある?」

このように、「なぜ」を避ける言い方で原因を追究する会話をしていくと、ディレクターとクリエイターが同じ目線に立つことができます。

5:If質問

現実を離れることで様々な感情の起伏を生むテクニック

If質問は「もしも、〇〇の場合、鈴木だったら、どうする?」といったごく単純な質問です。

これって別に何も特別なテクニックではないように感じますよね。

しかしながら、実務の現場では「必要な話以外はしない」という発想の人も多いです。

ディレクターであれば、「プロジェクト進行に関係ないことは話しても無駄」と考えている人もいるでしょう。

しかしながら、If質問は、クリエイティブ・オープン・クエスチョンと同様に、相手の本音を大きく開示し、感情の深い部分で一体感を身に着ける機会を与えてくれます。

例えば、クライアントのヒアリングで、

「もしも、こんなWebサイトのテイストだけはやめてくれってのは、ありますか!?」

と、聞くのはとても良いことです。クライアントが「いやー、過去に〇〇みたいな案件があって、この時はすごく嫌な制作物ができたんですよ!」と本音で愚痴をこぼしたら、そのやり取りはとても成功したと言えます。

なぜなら、クライアントはディレクターに今後はより本音を漏らしやすくなるからです。すると、第一案を出す前に本音をすべて聞き出せば、その意向通りに作って、そのまま納品という形になる可能性が高まります。

クライアントにも、クリエイターにも、If質問を適度に入れて、会話に感情の起伏が起こる機会を作ることはとても重要なのです。

最後に:様々なコミュニケーションを取れるディレクターになろう

クリエイティブな案件で、コーチングスキルを求められる場面は増えていく

以上、ディレクターが取り入れたいコーチングテクニックについてお伝えしてきました。

ディレクターの大きな仕事である「指示」は、トップダウン的な物言いになりがちです。そのため、ディレクターのコミュニケーションは、ハラスメントやプレッシャーを生みやすい要素を持っています。

ディレクターが柔軟にクリエイターと関係を築くためにはコーチングはとても時代にマッチした手法だと言えます。

クリエイターだけでなく、クライアントへコーチングスキルを用いることができれば、よりクライアントから信頼され、より深い案件を得ることもできるでしょう。

関わる人の個性に合わせて、変幻自在にコミュニケーションを変えられるカメレオンディレクターは最強です。ぜひ、今回の記事も参考に、コーチングを取り入れてみて下さい。

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